表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

55/97

3-18 「シルヴィア先生」

 仕事で疲れてウトウトしてしまって、投稿少し遅れました。(英訳を10時間位して脳が溶けそうです...)


 そして7万PVありがとうございます!

 

ー宗教国家エピクロス 首都ラミア郊外 鍵の迷宮


 仮眠を終えて気力と体力を回復させた私達は、順調に迷宮の第6階層を進んで行った。

 第6階層は脅威度B級に属するコボルトが出現したが、”黄昏の輝き”のコンビネーションの前では脅威にはならなかった。

 因みに私はと言うと、戦闘中は邪魔しない様に”背景”に徹している。



 そして暫くすると、第7階層への下り階段を見つける。


「第7階層からはゴブリンの出現が確認されています。気を引き締めて行きましょう。」


 シルヴィアさんが警戒を強める。

 脅威度Aと言う事もあり、やはりゴブリンはこの世界で相当強い魔物の様だ。


「シルヴィーそろそろいつもの(・・・・)をお願い!」


「分かりました。」


 シルヴィーさんはクリス姉ちゃんに返事をすると、詠唱省略で幾つかの呪文を連続発動させる。


『エンチャントオーラ!』

『エンチャントボディ!』


 すると私達の身体が一瞬青白い光に包まれた後、ゆっくりと光が消える。


「これで魔法、物理攻撃は多少軽減されます。完全に防いでくれる訳では無いので、安心は出来ませんが...。」


 かなり有用そうな支援魔法だ。

 恐らく今までは魔力温存の為に使用していなかったのだろう。

 つまりは今までは本気を出すまでもない...っと言う事ね...。流石はクリス姉ちゃんの率いる”黄昏の輝き”だ。


「シルヴィーこっちも頼む!」


『エンチャントウェポン!』


 すると今度はロビラさんのスレッジハンマーに赤い光が収束し、薄らと光を放つ。

 武器の強化魔法だろうか?




 暫く歩いていると2体のゴブリンが奥から出現する。私の時と違って武器は持っていない様だ。

 そしていつも通りクリス姉ちゃんが前に出てゴブリンに先制攻撃を仕掛ける。

 が、ゴブリンの不可視の鎧(インビジブルメタル)に弾かれる。


「っ!硬いっ!」


 クリス姉ちゃんが2激目の刺突を繰り出そうと軽やかに身を翻し、レイピアを構えた瞬間、ロビラさんが走りながら叫ぶ。


「クリス!下がれっ!」


 クリス姉ちゃんが華麗にバックステップを取った瞬間、破砕音が鳴り響き先程までクリス姉ちゃんが居た地面が砕け散る。


 え?何が起こったの!?


 私には何も見えなかったが、恐らくゴブリンの攻撃だろう。私が驚いているとロビラさんが走り出し、クリス姉ちゃんの前に出る。


「コイツら...素手じゃないっ!」


 そう言ってロビラさんは、ゴブリンの見えない(・・・・)攻撃を受け止め、弾く。その瞬間ロビラさんのスレッジハンマーから赤い光の残渣(ざんさ)が明滅した。

 恐らくさっきシルヴィアさんがロビラさんの武器に掛けた支援魔法の効果だろう。


「ふんっ!はっ!」


 ロビラさんは次々に見えない(・・・・)ゴブリン2体の攻撃を受け流す。

 それにしてもロビラさんは、あの見えない(・・・・)攻撃を一体どうやって受け止めてるんだろう...?


「そりゃあ!!」


 ロビラさんがスレッジハンマーの柄を短目に持ち替え、横凪にスイングすると、大きな粉砕音と共にゴブリンがバランスを崩す。恐らくゴブリンの見えない(・・・・)武器を破壊したのだろう。

 その瞬間、ロビラさんのすぐ後ろで隙を伺っていたクリス姉ちゃんが前に出る。


千光の嵐(サウザンドストーム)!』


 クリス姉ちゃんの目にも止まらぬ連続した刺突攻撃が、バランスを崩したゴブリンに炸裂し、ゴブリンが後方へと吹っ飛ぶ。

 

 仲間を討たれ怒ったのか、もう一体のゴブリンが奇声を上げてクリス姉ちゃんに襲い掛かる。

 しかし、クリス姉ちゃんは華麗なバックステップでそれを躱し、ロビラさんと挟撃し、もう一体のゴブリンも敢え無く切り捨てられる。




「やっと手応えのある奴が出てきたわね。」


 戦闘を終えレイピアを鞘に収めながら一息つくクリス姉ちゃん。

 クリス姉ちゃんのスタイルの良い曲線美と、細く鋭利なレイピアが対になり、非常に絵になる。


「ゴブリンの得物は様々で色々と謎が多い。気を抜くなよ。」


 そう言ってロビラさんは、50kgはありそうなスレッジハンマーを軽く回して、地面に叩き付ける。

 顔も身体付きも12、3歳にしか見えないが、ロビラさんの盾技術と武器破壊は確かに一流だった。


 あ!そう言えばさっきのは一体どうやって()てたんだろう?


「あのーロビラさん。さっきのゴブリンの攻撃ってどうやって受け流してたの?

 私にはさっぱりゴブリンの武器が見えなかったんだけど...。」


「あぁ...あれか?あれはな...()だっ!!」


 ロビラさんがキメ顔で無い胸を張る。


「ロビラ違うでしょ...。ドワーフは暗い所でも目が良く見えるんですよ。

 だから恐らくロビラは、ゴブリンの武器が通過する時に発生する風による砂埃の流れが見えていたんだと思いますよ。」


 シルヴィアさんが解説してくれる。


「うん、そんな感じだ!」


 適当だこの人...。

 しかし、タネは分かったけど、それをやって退けるには超人的な反射神経と冷静さが必要になるだろう...。ロビラさんもやはり凄い...!


「流石は破壊神(・・・)ロビラさんっ!」


「おいジャスミンっ!それはやめろって!!」


 ロビラさんが顔を赤くして私を(たしな)める。


「ぷぷっ!ジャスミンもっと言ってやって!」


 クリス姉ちゃんが吹き出して、ロビラさんをからかう。


「おい!クリスっ!」


 ロビラさんがクリス姉ちゃんに軽くパンチする。

 が、クリス姉ちゃんは先程のゴブリンの攻撃を躱した時の様に華麗に避ける。


「ちょっと二人とも...!真面目にやって下さい...。ここはダンジョンなんですよ?」


 シルヴィアさんがはしゃぐ2人に釘を刺す。


「ごめん...。」

「わるいわるい。」


「全くもぉー。」


 クリス姉ちゃんとロビラさんが素直に謝り、シルヴィアさんが呆れる。

 何だかシルヴィアさんが生徒を叱る先生の様で凛々しかった。

 


 

 その後何度かゴブリンとの戦闘を繰り返し、私達は8階層へと進んで行った。


 気に入って頂ければ、ブクマ&評価宜しくお願いします。

 次回は水曜投稿予定です。

 閲覧数次第ではそれ迄に8万PV記念の閑話が入るかもですが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ