閑話 「ヤスは見た!2」
少し長目ですが、昨日に引き続き6万PV記念の閑話(ヤス回)です。
今回は”性的な表現”を含みます。苦手な方はご注意願います。
〈ヤス視点〉
ー宗教国家エピクロス ハルキスの町 歓楽街
ソフィを宿へと送った後、俺はハルキスの町の歓楽街へと来ていた。
勿論そう...市場調査の為にだ!
ラミアは宗教国家エピクロスの首都と言うだけあり、そう言う店は厳しく取り締まられており見かける事は無かった。
しかし、この町には裏でそう言う店があるらしいと言う事が俺の情報網で分かっていた。
まずは”案内所”に入る。
この世界の歓楽街へはオリガ王国を根城にしていた時に何度か行っており、熟れている。最近は”子供達のお守り”でめっきり行けていないが...。
まぁ、基本的にシステムは元の世界と大きくは変わらない。だからこそ”案内所”は重要だ。
「たのもー。店を紹介してくれー。」
俺は案内所に入り、恰幅の良いおっさんに話し掛ける。
「らっしゃい。みねー顔だが、どんな店を探してんだ?」
この”案内所”ってのは非常に大切な所だ。”レモン市場”であるこの業界は、ここで殆ど決まると言っても過言じゃない。
ここで気を付けなければいけないのは、『旅客だと思われない事』と『収入があると思わせる事』だ。
1つ目の理由は、リピーター客にならないと判断されれば、今回の稼ぎを優先され所謂”ボッタクリ店”に案内される危険性があるからだ。
次に2つ目の理由は、金が無い客だと思われれば”当たりの店”には案内されないからだ。
「ラミアから来たんだが、この町には教団の偉いさんの護衛依頼でさっき着いたばかりだ。
で、この町ならラミアとは違ってそういう店が有るって聞いてな、暫く滞在しようと思ってる。」
そう話し、俺はおもむろに持っていた『魔鉱切』を壁に立て掛ける。
おっさんの視線が『魔鉱切』へと向かう。
茉莉花曰く『魔鉱切』は”チタン何とか”で出来ているらしく、オリハルコンをも切断するこの世界に存在しない物質だ。さぞ物珍しい剣に見えるだろう。
「ほぉ...そうかい。ならいい店があるぜ!」
おっさんはそう言って俺をその店に案内する。
────────────
「ここだ。」
おっさんは一見普通の飲み屋に案内する。
「ん?ただの酒場にしか見えねぇが?」
「この店に入って、1番高い酒を注文しろ。
で、その後割り方を聞かれるから、”オススメ”をオーダーしろ。それで分かるはずだ。」
成程な。裏で営業してるだけあって、合言葉の様なものが決まってるのか。
何かこう言うのってドキドキして来るな...。
そして俺はおっさんと店の前で別れ、店へと入っていく。
店に入り、おっさんに言われた通りの合言葉を言うと店の2階の個室に通された。
個室の中は薄暗く、思わず『魔鉱切』を構えてしまう。
が、しかし、次の瞬間それは杞憂だと気付く。
俺が個室の中の椅子に腰掛けていると、ノックの直後扉が開き、中に女の子がゾロゾロと入って来たのだ。
「当館にようこそいらっしゃいました。本日はどうかゆっくりしていって下さい。
では早速ですが、お気に召した者をお選び下さい。」
女の子達のリーダーらしき女性が取り仕切り、俺に選ぶ様に促す。
よく見ると女の子達の胸元には番号札が付いていた。
成程...元の世界で言う”アジアのカラオケスタイル”か...。アジアは国によって”カラオケ”の指す意味が変わってくる。歌を歌う普通の”カラオケ”を指す為に、わざわざ”ファミリーカラオケ”と呼んだりする国もある位だ。
女の子は銀髪ショートの童顔系から黒髪ロングのお姉さん系まで色んなタイプが揃っていた。
だが銀髪だけは遠慮しておこう...。
「...じゃあ7番の子で。」
どの子もレベルが高く、迷ったが俺は黒髪ロングのお姉さん系を選んだ。最近は俺の周りの女と言えば子供ばっかりだったからな...。
「分かりました。
では着替させますので、隣の部屋でお待ち下さい。」
リーダーの女性に促され、俺は隣の部屋へと向かう。
隣の部屋は先程の部屋より大分明るかった。
俺は取り敢えず、備え付けてあった安物のベッドに座る。ギシッと言う木の軋みが、今から行われる行為の想像を掻き立てる。
暫く悶々も待っていると、部屋の扉が開き、さっきの女の子が入って来る。
「お待たせ。エリヴィラよ。」
エリヴィラはスラッとした体型だったが出ている所は出ており、大人の色香を感じさせるいい女だ。
薄手のミニチャイナ服の様なスリットが入った短いスカートを履いており、それが一層彼女の魅力を引き立てていた。
「俺はヤスだ。明るい部屋で見た方がやっぱり美人だな。」
「まぁ、お上手!ふふふ...でも嬉しいわ。」
そう言うとエリヴィラは、俺にキスして来た。柔らかい舌が俺の口内に差し込まれる。
俺も負けじとエリヴィラの柔らかく艶やかな太腿に手を這わせる。するとそこで違和感を感じる。
これって...。
「ふふふ...着けてないわよ。
いつでも来て...。」
そして、俺はエリヴィラに溜まりに溜まった欲望を吐き出した。
────────────
ハッ!いけねぇ!
どうやら久し振りに頑張り過ぎたせいか、眠っちまった様だ。
俺は隣で一糸まとわぬ姿で寝ぼけているエリヴィラの枕元に1万ロアを置く。
「えっ...こんなに!?
ありがとう!また来てね。もっと頑張るから!」
「おぅ、期待してる!」
俺はエリヴィラに別れを告げ店を後にすると、既に真っ暗になった道を猛ダッシュで進み、宿に向かう。
ー宗教国家エピクロス ハルキスの町 宿屋
俺は予約していた宿に入り、受付で宿主のおばちゃんに鍵を貰った後、部屋へと向かう。
ソフィは確か隣の部屋か...一応一言掛けとくか...。そう思い、ソフィの部屋の扉をノックしようと扉に近付くと、中から人の声が聞こえて来た。
ん?ソフィと誰か居るのか?
俺は扉に聞き耳を立てる。
「んっ...はっ...お姉様っ...!あぁっ!!」
それは苦しそうな、喉の奥から絞り出す様な声だった。
お姉様って...茉莉花の事か?
いやでも茉莉花は今”鍵の迷宮”に居る筈だ。
それにこの声って女のあの声だよな...。ソフィの茉莉花に対する感情は、尋常じゃないとは思っていたが...まさかとは思ったが...そうか、そう言う事だったのか...。
ってまずい!こんなのがバレたら、ソフィに殺されちまう...!
そう思い俺がゆっくりと聞き耳を立てていた扉から離れ様とすると後ろから声を掛けられる。
「あれ、ヤスさん。そっちはソフィさんの部屋ですよ!
ヤスさんの部屋はお隣ですよ!」
廊下を歩いていた宿主のおばちゃんに声を掛けられる、その途端ソフィの部屋から嬌声がなり止む。
ヤバい...終わった...!
だからと言って今ソフィの部屋に入る訳にも行かず、取り敢えず自分の部屋の扉を開けて、ベッドに座る。ギシッと言う木の軋みが、今から行われる行為の想像を掻き立てる。
暫く戦々恐々と待っていると、部屋の扉が開き、ノックも無しにソフィが入って来る。ソフィは部屋に入り扉を閉めたと思ったら、消えた。
すると次の瞬間、ソフィは俺の喉元に白いナイフを突き付けていた。
「お姉様に話したら殺す。」
「ま、待て...不可抗力だ...!悪意があった訳じゃねぇ!」
「ん...この匂い...。女物の香水...。...ふーん。」
ソフィは何かを悟った様に頷いた後、俺から離れ話し始める。
「お姉様に話したら、”ヤスが夜になると女の人の香水を撒き散らしながら帰って来てた。しかも私の部屋を覗いて宿主に注意されてた”って言った上で黒の大剣を脱退後に殺す。」
俺は血の気が引いていくのを感じた...。ソフィは茉莉花絡みになると何をしでかすか分からない...本気でやりそうな気がしたからだ。
「わ、分かった。誰にも話さない。
だ、第一誰も得をしないからな!」
俺がそう言うと、ソフィはコクリと軽く頷き、自分の部屋へと戻って行った。
俺は冷や汗と香水の匂いを濡れタオルで拭き、ベッドに座り、気持ちを落ち着かせる。
あれが”白銀の報復者”のプレッシャーか...。
おっかねぇ...。
読んでいただきありがとうございました。
明日からは通常通り本編(迷宮探査)を投稿していきます。
次回は8万PVで閑話等(本編の可能性も)を入れたいと思います。




