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3-16 「事案」

 イフリートの素性が明らかに...。

ー宗教国家エピクロス 首都ラミア郊外 鍵の迷宮


 何とか、倒せた...。


 イフリートを倒したものの暑苦しさと疲労で、片膝をつく。

 って、いけない!さっきの()を助けないと!私は息つく間も無く、黒いローブの女性と私自身に『エクスヒール』を掛ける。

 『エクスヒール』はクリス姉ちゃんに秘密にしてくれと言われている為、茉莉花が使えるとなると確実に追求されるだろう...。ここは黒騎士のまま使用するしかない。


 良く見るとこの焼け焦げてボロボロのローブってフランケルの着ていたローブと同じだ。だとすると、物理現象まで防げる訳じゃないから恐らくさっきの『フレア』を連発されて、爆風で何度も何度も...。


 お願いっ!間に合って...!




「うっ...。私は...?」


 黒いローブの女性が小さくうめき声が上げながら起き上がる。

 しかし、その瞬間...。


「キャーーー!!!こ、殺さないで!!...きゃっ!」


 突然悲鳴をあげ私から後退り、壁に背中をぶつけて倒れる。

 あぁ...まぁ...意識失って起きたら、すぐ側に禍々しい黒騎士が膝を着いていたら驚くよね...。


「待て。我はお前に危害を加えるつもりは無い。

 身体を見てみろ。傷が癒えているであろう?」


 私は出来る限り優しく話し掛ける。

 でも、自分で設定しておいて何だけど、黒騎士ボイスは超アルトで、悪魔みたいな声何だよね...。


「あ...ほ、ほんとだ...全身火傷を負ってたのに...痛くない...!

 す、すいません!そうとは知らず...命の恩人に失礼な態度を...。」


 黒いローブの女性は何度もペコペコと頭を下げる。

 すると焼け焦げてボロボロになっていた黒いローブが崩れ落ち、女性の平たくない胸が露出する。


「あ...いや...!...きゃうっ!」


 またも黒いローブの女性は私から後退り、壁にぶつかり尻餅をつく。


 

 そしてその時、喧騒と共に隣の部屋で聞き慣れた声が聞こえて来た。


「よし倒したわ!待ってて、今助けるから!」


 この声はクリス姉ちゃん!さっきの悲鳴を聞きつけて来たんだ!まずいっ!傭兵である黒騎士はこの迷宮には入れない。ここに居る理由が説明出来ないのだ。


 そして、今のこの状況を第三者に見られたら間違いなく事案(・・)だ。


 『黒騎士に襲われた女性が胸を肌蹴(はだけ)させて押し倒されている』...と。

 

 まずいっ...!茉莉花としても黒騎士としてもまずいっ!



「我はもう行かねばならぬ。我がここに来た事は誰にも言うな。いいな?」


「は...はい、分かりました...!

 あ、あの私はアンリと言います。ありがとうございましたっ!」


 アンリさんのお礼の言葉を背に受けつつ、クリス姉ちゃんの声がする扉と逆側の部屋へ入る。それと同時にさっきの部屋からクリス姉ちゃんの声がした。

 危ない!何とか間一髪クリス姉ちゃんと遭遇せずに済んだ...。




 その後暫く時間を潰し、私は鍵の迷路を突破する。さっきのイフリートがここの”鍵の間”のボスらしく、特に魔物は出て来なかった。


「あっ!ジャスミン!ラッセルの仲間は見つけたわよ!」


 私が鍵の迷路の出口に出ると既にクリス姉ちゃん達が待っており、さっきの黒いローブの女性を含む”ウェザーコック”の3人が無事保護されていた。


「「本当にありがとうございました!」」


 ラッセルさんを筆頭に”ウェザーコック”の人達が私達に頭を下げる。


「困った時はお互い様よ!それに私達も奥に用事があるからね!」


 クリス姉ちゃんが気にしないでと言った感じで手を振る。”ウェザーコック”のメンバーに気遣わせない為だろう。クリス姉ちゃんのこうゆう驕らない、優しい部分が本当素敵だと思う。




「私達はギルドに報告があるので一旦地上に戻る事にします。

 それがどうやらアンリが”イフリート”を見掛けたらしいんですよ...。」


「「「”イフリート”!?」」」


 ”黄昏の輝き”のメンバーがハモる。

 やはりヤバい敵だったのだろうか?


「あの...クリス姉ちゃん、イフリートって強いの...?」


「強いなんてもんじゃない...。イフリートは特A級の魔人(・・)よ...。

 イフリートは炎の鎧”フレアキュイラス”で全身を固めていて、魔法はほとんど効かず、さらに触れた武器は超高温の炎で溶かす為、触れられない(・・・・・・)のよ。」


 いつもの優しく明るいクリス姉ちゃんと違って、真剣な表情で私に語り掛ける。

 やっぱりとんでもない化物だったんだ...。確かに自分のフレアはノーダメージだったし、神罰の剣ソードオブパニッシュメントは一発凌がれた。恐らく200km/hと言う超高速で打ち込んだから、溶ける前に鎧に到達しダメージを与えられたんだろう。


「魔人?魔物とはどう違うの...?」


「魔物は私達に敵意を持っている”獣”で、知性は低く、言葉を喋れない。

 でも、魔物の中には特別な力があり、知性を持ち、人語を喋る、人型の魔人(・・)と呼ばれる者がいるのよ。」


 クリス姉ちゃんが丁寧に説明してくれる。




「では、もう行きます。皆さんもお気を付けて。

 そして、是非ラミアに戻ったら奢らせて下さい!」


「おっ!いいねぇ!その言葉忘れるなよっ!」


 ロビラさんが目をルンルンとさせながら、ラッセルさんの肩を掴む。背が小さい為、背伸びをしながらなので、父親におんぶをせがむ子供の様でかわいい。


「ちょっと、ロビラ...!ラッセルさんが破産してしまいますよ...。」


 シルヴィアさんが溜息をつきながらロビラさんを(たしな)める。


「ははは!大丈夫ですよ!私達はこれでもB級パーティーです。ドワーフの女性にお酒を奢る位の甲斐性はありますよっ!」


「ロビラを普通のドワーフと思っちゃダメですよ...。ロビラったらラミアに着いた初日に酒場のお酒を全部飲み干して出禁(・・)になってるんです...。

 なのでそんな事言ったら今度は街中の酒場を潰す勢いで飲んじゃいますよ...。」


「おい、シルヴィー!余計な事言うなよっ!」


 ロビラさんって今の私より少し背が高い位の見た目で、大酒豪なんだ...。流石ドワーフだ。


「ははははは...。」


 ラッセルさんは笑顔を引き攣らせながら、私達から去っていった。

 キャラクター人気投票の期限は明日の23︰59までです。現在『クリスティーナ』が暫定1位です。

 『活動報告』もしくは『感想』でも良いので投票お待ちしております!なお投票は1人2票(1キャラに2票でも2キャラに各1票でも可)となっています。


 次回は水曜投稿予定です。

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