表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

45/97

3-11 「転移の罠」

 風邪気味で帰宅後寝てしまったので投稿遅れました。鍵の迷宮第2階層からです。

ー宗教国家エピクロス 首都ラミア郊外 鍵の迷宮


 私達が二階層へと降りるとフランケルさんが声を掛ける。


「先程はクリスティーナさんのご活躍で、僕達の出る幕はありませんでしたが、このままでは他のパーティに”金魚の糞”と罵られてしまいます。

 そこでこの階層は僕達に任せて頂けないでしょうか?」


「うん、別にいいよ。」


 クリス姉ちゃんが快諾する。

 フランケルさん気にしてたんだ...。そりゃパーティのリーダーならそう言う風評とかも大事だよね。

 それに魔物を倒してくれるんなら、クリス姉ちゃん達も体力を温存出来るし、断る理由は無いよね。


 そういう訳でこの階層は罠の哨戒役の私が先頭を歩き、フランケルさん率いる”銀狼”達が私の後に続き、最後に”黄昏の輝き”が最後尾を歩く。


 


 暫くその陣形で進んで行くと、巨大なカバの様な魔物の群れが現れる。


「ベヒモスだ!一気に切り込むぞっ!」


 フランケルさんの掛け声で”銀狼”はそれぞれの得物を抜き放ち、ベヒモスへと突っ込んで行く。早いっ!

 

 フランケルさんが素早くベヒモスに近付くと、両手の双剣で大きなベヒモスの巨躯を両断する。大きな轟音と共に、ベヒモスが大きな肉の塊へと変わる。

 続いて他の”銀狼”のメンバー達もベヒモス達を両断し、肉の平原を築き上げる。

 すると、”銀狼”のローブを着た魔導師らしきメンバーが後衛で呪文を唱え始める。


『凍てつく大地に光を(もたら)す猛炎の精霊ブリギッドよ。光を知らぬ者共に灼熱の抱擁を!ファイアーウォール!』


 あっという間に荼毘(だび)に付されるベヒモス達。流石はB級冒険者パーティ”銀狼”だ。

 因みにベヒモスの肉は苦く、ゴムの様に固く、食べれたものじゃ無いらしく、腐って異臭を放たない様に燃やすのが一般的だそうだ。




 ベヒモスを倒し、暫く薄暗い迷宮を進んで行くと、私の出番(・・)が訪れる。


「あ!この右側の床に魔力反応があります!多分罠です。」


 私は皆に声を掛けながら左側に誘導する。




 罠を回避しつつ、暫く歩いて行くと袋小路へと出る。


「行き止まりの様ですし、この辺りで休憩にしませんか?」


 フランケルさんの提案で私達は休憩する事にした。正直体力の無い私にはこの提案は有難い。




「手伝うよ!」


 私が休憩の準備をする為に、アイテムボックスから取り出した風呂敷等を拡げにくそうにしているとフランケルさんが手伝いを申し出て来る。


「ありがとうございます。」


 今までに簡単に出来ていた事でも幼女に戻り色々と不自由がある事は多々ある。例えばこの風呂敷を敷くのもそうだ。

 フランケルさんの長いリーチにより、風呂敷は綺麗に広げられる。


 因みに”銀狼”の他のメンバーはと言うと、チャンスとばかりにクリス姉ちゃんを取り囲み、話し掛けている。

 クリス姉ちゃんは美人で胸も大きく、各国に影響力を持ったA級冒険者だ。この様に擦り寄ってくる人間は後を絶たないのだろう。以前エピクロス城の個室でも話してくれたが、こう言った事に辟易(へきえき)しているらしい。

 まぁ彼等と比較するとフランケルさんは、無欲で優しい人の様だ。


 そうしてフランケルさんと、後から来てくれたシルヴィアさんに手伝って貰い、簡易の休憩所が完成した。

 そしてやはりクリス姉ちゃんは、フランケルさんを除く”銀狼”のメンバー達に取り囲まれている。

 仕方が無いので私は隅の方に座ると、近くで手伝ってくれていたフランケルさんが水の入ったコップを置いて隣に座る。


「はい、水!

 それにしてもジャスミンちゃんは鍵の事といい、空間魔法といい、色々出来て凄いね!こんな小さな子が”黄昏の輝き”のメンバーって最初は驚いたけど、今は納得だよ。」


「ありがとうございます。

 でも戦闘は苦手なのでクリス姉ちゃんに任せっきりですけど。」


 ”黄昏の輝き”はこの迷宮だけの臨時加入だから、その後にパーティ勧誘が来ても困るので、戦闘では”お荷物”をアピールして置こう。


「あぁ、やっぱりそうなのか。でも気にする事はないよ、得意不得意をカバーし合ってこそがパーティだからね!

 僕も魔法の才能は微塵も無いから、魔法はパーティメンバーに任せて、剣の道を選んだんだ。」


 そう言ってフランケルさんは、床に置いた双剣を軽くさする。大切にしているであろう事が見て取れる。



 暫くフランケルさんに質問責めを受けた後、休憩を終え、また迷宮探査を再開した。

 出発する時、フランケルさんは装備を替えて、今度は黒いローブを羽織っていた。



 そして、探査は順調に進み、第3階層へと降りて暫く進んで居ると何度目かの罠を『ダウジングトンファー』が検知した。


「あ、また罠です!今度は通路の真ん中にある様なので、端に寄って下さい。」


 私は罠の手前で振り向き、後続の2パーティへと伝える。

 そして、他にも罠がないか確認する為に『ダウジングトンファー』の先に視線を集中させている時だった。私の後ろから魔法らしき青白い光が溢れ、一瞬の内に景色が変わる。


 私は一瞬何が起きたのか分からなかったが、昨日のクリス姉ちゃんとの事前打ち合わせを思い出す。


────”転移の罠”だ!  


 補足︰ベヒモスはデカいだけのクソ雑魚モンスターです。初心者冒険者でもなんとか倒せるレベルなので、B級冒険者パーティなら余裕です。

 次回は水曜更新予定。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ