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3-6 「パーティへの誘い」

 自らをヨイショし、クリスティーナのパーティへと誘わせる事に成功した茉莉花。

 しかし、それは一筋縄にはいかなかったのであった...。

ー宗教国家エピクロス 首都ラミア 宿屋


 調停式の翌日、私はヤスとソフィに事の顛末を話し、暫くエピクロスに残り鍵の迷宮を攻略する事を説明した。

 またオリガ国王の帰りの護衛も二人に任せる事にした。そもそも私が雇われたのも調停式での顔見せが目的であり、ブルーノ騎士団長やアマルティア姫も居る為戦力的にも問題なく、オリガ国王も了承済みだ。




「じゃあヤス、ソフィ、国王様を宜しくね。」


「お任せ下さい!

 ところでお姉様、盗賊ヴァールの件ですが、やはり懸賞金がかけられており30万ロア程の懸賞金を受け取りました。」


 そう言ってソフィが報告し、金貨の入った袋を私に差し出す。


「これは皆で倒したものだから、3等分しよう。」


「いえ、あれはお姉様から頂いた力ですのでお姉様が貰い受けるべきです。」


「違うよソフィ。あのナイフはあなたにあげたものだから、もうあなたのものよ。

 だからこのお金はあなたの力で稼いだもので、あなたにも受け取る権利があるの。」


 そう言って私はお金を3等分にする。


「はい、ソフィ。このお金は好きに使えばいいからね?」


「ありがとうございます。好きにですか...?

 ところでお姉様が好きな色は何ですか?」


 好きな色ねぇ...突然なんだろ?

 まぁ服はHAR○とかコム○ギャルソンとか割かし黒を基調としたブランドが好きだったりする。それに”黒”騎士だしね...?


「んー、黒かな?」


「分かりました。参考にさせて貰います。」

 

 何を参考にするのかは分からないが、ソフィが納得してくれた様なので良しとする。


「ヤスもソフィをヨロシクね。」


「あぁ、任せてくれ。国王を送り届けた後はここラミアで護衛依頼を中心に活動するつもりだ。

 お前も無理するなよ?」


「うん、ありがと。」


 ヤス達と別れて、そのまま冒険者ギルドへと向かった。





ー宗教国家エピクロス 首都ラミア 冒険者ギルド


 冒険者ギルドの中へ入り受付のおじさんにギルドガードを見せる。


「すいません、Eランクで受けれる依頼を探しているんですけど。」


「いらっしゃい、可愛い冒険者だね。まずはギルドカードを確認させて貰うね。

 って、え?君がジャスミンなのかい!?」


 私のギルドカードを見た瞬間、受付のおじさんから驚愕の声が上がる。


「いや...流石に人違いだろう...。ごめんね、ちょっと待っててね。」


 受付のおじさんは、私のギルドカードを持って受付の奥へと消えていった。




 暫くして受付のおじさんが戻ってくる。


「Eランクでジャスミンと言う冒険者の登録は一人だけの様だ。確かに君で間違いない...。

 しかし、何でこんな小さな女の子をA級冒険者のパーティに...?」


 受付のおじさんは信じられないと言った表情で私を値踏みする。


「あの...私何かまずい事でもしましたか...?」


 私は何も知らない、よく分からないと言った表情で問いかける。


「あぁ...ゴメンね。そう言う訳じゃないんだ。

 実はお嬢ちゃんにA級パーティ”黄昏の輝き”から臨時パーティの勧誘が来ているんだ。」


『 ”黄昏の輝き”だって!?』

『何だって あんな嬢ちゃんが!?』


 受付のおじさんが”黄昏の輝き”の名前を出した途端、ロビーで座っていた冒険者と思われる人々が声を上げる。

 因みに”黄昏の輝き”とはクリス姉ちゃんがリーダーの3人組の冒険者パーティだ。



「えぇ?何で私が!?」


 私は勿論驚く演技を忘れない。

 なぜならこの話を聞くのはこれが初耳なはず(・・)なのだから。

 

「驚くのも無理がない。恐らく依頼者のクリスティーナさんの間違いだと思うが...。」


「あ、クリス姉ちゃんなら知ってますよ。隣のオリガ王国の街で知り会ったので。」


「え?だとすると間違いじゃないのか...!?

 まぁそう言う事ならすぐにエピクロス城に向かってくれないか?」


「分かりました。では行ってきます!」


 私は色々と質問されても困るので、すぐにギルドを後にし、エピクロス城へと向かった。

 ギルドを出る時に『あの嬢ちゃん一体何者なんだ?』とか声が聞こえて来たので、面倒な事になる前に出ておいて正解だった。






ー宗教国家エピクロス エピクロス城 謁見の間


「ほぉ。お主がジャスミンか。」


 私は冒険者ギルドを出た後、エピクロス城へ行き、ギルドカードを見せると、謁見の間でアリス教皇との謁見が許された。

 一通りアリス教皇のお付の人から説明を受けた後、アリス教皇はふんぞり返りながら私を値踏みする様に見下ろす。

 因みにクリス姉ちゃんも知らせを受けて駆けつけたらしく、端に立っている。


「中々珍しい面構えをしておるな。悪くない。

 で、話によるとお主はE級冒険者だそうだな?

 クリスティーナの進言だから聞いてやったが、そんな低級の冒険者が”鍵の迷宮”で役に立つとは甚だ疑問だ。試させて貰うぞ?」


 アリス教皇はそう言うと、端に立っていた神官風の女の人に首で合図を送る。




 暫くして、さっきの神官と一緒に冒険者風のバンダナをした男が連れてこられる。

 そして神官が私とバンダナの男の前に小さな宝石箱の様な小箱を一つづつ置く。


「そ奴は指名依頼で呼び寄せたトレジャーハンターだ。そ奴よりこの鍵付きの小箱を開けるのが速ければジャスミン、お主を雇いクリスティーナと同行し鍵の迷宮に入る事を許そう。」


「アリス教皇っ!いくら何でも無茶です。ジャスミンはランクに反して優秀な冒険者でありますが、A級(・・)冒険者のメリッソスと勝負せよと言うのはあんまりです。

 そして、彼は腕は確かですが素行が悪いと聞きます。私達は3人共女性のパーティで、迷宮は人が近寄らない云わば密室、そんな場所に異性と一緒に数週間籠ると言うのは抵抗があります。」


 どうやらクリス姉ちゃんもアリス教皇が別にトレジャーハンターの指名依頼を出していると言うのは聞いていなかったらしい。

 そしてこのメリッソスと言う人物はトレジャーハンターで有名なA級冒険者らしい。これは本気でやらないと負ける。


「クリスティーナお主が優秀な冒険者なのは知っておる。

 だが、これは国の存亡を掛けた討伐依頼だ。少しでも腕が良く、迷宮を踏破できる確率が高い者を雇うのは当然の事だ。

 それにクリスティーナよ、お主もまさか少女(・・)と言う訳でもあるまい?」


「くっ...そ、それはそうですが...!」


 メリッソスの方を見ると、いやらしい笑みをクリス姉ちゃんに向けていた。

 こ、こいつ最初からクリス姉ちゃん狙いで依頼を受けたのかっ!なら絶対に負けられないし、自重してられないっ!メリッソスには悪いけどフライングで始めさせて貰おう。

 そう決意し、私は武具錬成を起動させる。


 形状”目の前の小箱の鍵穴形状にピッタリの刀身の”、

 材質”鉄”の

 重量”普通”

 特性”なし”を持った

 武具”ダガー”を

 出現方法”皮のポーチの中に出現”

 属性”パーマネント”


 これで準備は整った。因みに皮のポーチの中には予め、それ見よがしな針金も数本入っている。

 流石にダガーだけで開けたら不自然だからね。


「では、両者解錠を始めよ!!」


 クリス姉ちゃんの沈黙を問答無用で是ととり、アリス教皇が発破をかけた。


 ここにクリス姉ちゃんの処女(・・)が賭かった、絶対に負けられない戦いの火蓋が切って落とされる!


 次回は土曜日更新予定です。

 ブクマ&評価ありがとうございます。再度ランキング入る事が出来ました!モチベに繋がります。

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