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3-1 「エピクロスへの道」

 今話から「エピクロス編」始まります。

ーオリガ王国 リョーリカの街 宿屋 翠星亭


 ソフィと買い物を済まし、宿の部屋に戻り、『村人の服』に”早着替え”する。


「これからの事について話しておかないとね。」


 私はベッドに腰掛けながらソフィに話し掛ける。


「はい。お姉様、何なりとご命令下さい。」


 ソフィもローブを脱ぎ、私の隣に腰掛け甘えてくる。”黒騎士モード”の間はひっついたりしない様にと注意していた反動だろう。


「私達は数日後指名依頼の為にオリガ王城に行った後、オリガ国王を護衛しつつ、調停式の会場である宗教国家エピクロスの首都ラミアに向かうわ。

 私が指名依頼をこなしている間、ソフィにはエピクロスでヤスと傭兵の仕事をこなし、”黒の大剣”の名声を広めて欲しい。」


 エピクロスは中立国である為、度々戦争の調停国を務めるそうだ。


 そして”黒の大剣”はこの世界の戦争の抑止力、本来あるべき姿の”国連”にするつもりだ。

 その為に”黒の大剣”は強者からは畏怖され、弱者からは救いを求めらる、そんな組織へとならなければいけない。当面はこの無名な傭兵団”黒の大剣”の名声を稼ぐ事に努めなければ。


「分かりました!」


 ソフィは初めての私のお願いに、嬉しそうに返事をした。


「じゃあ、明日に備えて今日はもう身体を拭いて寝よう。

 お湯貰って来るね。」


 そう言うとソフィが申し訳なさそうに私に話し掛ける。


「あ、申し訳ありません。私が行きたい所ですが...準備があるので。」


「準備...?いや、いいよ、お湯位私が持ってくるよ。」




 宿の受付へお湯を貰い、部屋へと戻って来る。


「はい、ソフィお湯をもら...って、何その格好!?」


 部屋に入るとソフィが透け透けのベビードールを着てベッドに横たわっていた。


「お姉様...どうかお情けを下さいまし...。」


 何を言ってるんだこの幼女は...。

 いや、これもタレスの”躾”とやらの後遺症かっ!?やはり奴隷組織を潰しておいて正解だった。ソフィやマリーも売られる前に救えたのだ。


 私はくねくねしているソフィをスルーして身体を拭いてやる。


「あ...ぁ、お姉様!そ、そんな!いきなり...そんなところを...!あっ...あぁ!」


 などと叫んだりしていたが、終わると満足し、幸せそうな笑を浮かべ布団で丸まって寝ていた。

 どうやら、”お情け”はコレで良いらしい。

 ”コレ以外”を女の私に求められても困るが...。


 私はソフィの天使の様な寝顔を見ながら、自分の布団へ入り、眠りに着く。






ーオリガ王国 オリガ王城


 指名依頼の約束の日、オリガ王城の門にやって来ると既に国王、アマルティア姫、ブルーノさんが揃っていた。


「あぁ、黒騎士様!」


 アマルティア姫が駆け寄って声を掛けてくる。

 するとそれを遮る様にソフィが私の前に立つ。


「ソフィ、大丈夫だ。彼女はアマルティア姫、今回の依頼主の国王の姫だ。

 アマルティア姫、失礼した。

 彼女はソフィ、私の側近で、”黒の大剣”の団員だ。マルブランシュ王国までの護衛は彼女とヤスも担当して貰う。」


 そう言ってソフィを制し、アマルティア姫に説明する。


「初めして、ソフィさん。私はアマルティア姫です。今回はよろしくお願いしますね。」


「黒騎士様は強い。絶対に大丈夫。」


「ふふっ...そうですね。安心です!」


 アマルティア姫が笑う。



 そんなやり取りをしつつ、馬車の準備が整ったので私達は宗教国家エピクロスへ向けて馬車へと乗り込む。


 因みに馬車は戦力を考え、御者を除きこの様な配置となった。


 先頭 ︰ブルーノ、ヤス

 二番目︰国王、私

 三番目︰アマルティア姫、ソフィ


 今回ブルーノさんは護衛対象ではない為、戦闘能力の低いヤスを付ける事にした。

 続いて二番目は最優先護衛対象のオリガ王国国王と私を配置。

 最後は初対面の為二人の仲が少し気になるが、護衛対象だが戦闘能力が高いアマルティア姫と撹乱や逃走に向いている『閃光のナイフ』を持つソフィを一番後に配置した。


 なお今回の指名依頼は、もう一人特A級の冒険者が雇われており、マルブランシュ王国の首都オーベルで合流するとの事だ。



 馬車に乗り込むと国王が話し掛けてくる。


「黒騎士殿、奴隷商人タレスの事聞いたぞ。貴殿がが捕まえたそうだな。

 本当に貴殿には何から何まで...感謝してもし切れんな...。」


「いえ、それは私が許せなかったので自分の為にやっただけです。

 現にソフィの様な少女を救い出す事が出来ました。今までの無垢な少女の被害に比べれば微々たるものかもしれませんが、今後新たな犠牲者が出なくなると考えれば胸のすく思いです。」

 

 馬車に乗り込んだので兜の顎部を外して答える。


「黒騎士殿は本当に正義感が強いのだな。その様な強大な力を持っていれば”賢者アルバート”の様に欲にかられ、道を踏み外してしまう者も居ると聞く。」


「その”賢者アルバート”と言うのは?」


「あぁ、黒騎士殿は知らなかったか?

 ”万物の賢者アルバート”はこの世の全ての魔法を使えると言われており、ある時期から突然現れ、あっという間に帝国の宮廷魔導師に登りつめた男だ。

 そして、奴が帝国の軍国主義に拍車を掛けたのだ...。」


 国王は思い詰めた様に語った。

 どうやらそのアルバートを止めないと帝国は戦争を止めないだろう...。

 そして、”ある時期から突然現れた”と言うのも気になる。そんな全ての魔法を使える様な人物がそれまで知られて居なかったなんて事があるだろうか?

 もしかして...転生者...?アポスじいさんの話では転生者はヤスを除いて、後6人居るらしい。

 兎も角、接触する必要がありそうだ。



 暫く馬車で進んで行くと、宗教国家エピクロスとオリガ王国の国境付近の林道へと差し掛かった。

 ヤス曰くこの当たりは”狼藉者”が出るそうだが...。

 と、そんな事を思い出してフラグを立ててしまったのか、先頭の馬車が止まる。


「盗賊だぁぁーーっ!!」


 ブルーノさんの大声が辺りに響く。


 次回盗賊戦です。


 1/30︰

 「ソフィ」あたりから話数がおかしかったのを修正しました。

 また昨日はサーバーエラーで「黒の大剣」が複数投稿されてしまった様です。既に削除済みですが、新規投稿と思い見に来て下さった方は申し訳ありませんでした。

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