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1-2 「異世界の洗礼」

 30話程書き溜めているので、一月は毎日投稿予定です。

〈 茉莉花視点〉

ーオリガ王国 リョーリカ近郊の林道


 目が覚めると、そこは林道だった。

 林道と言っても木を伐採しただけの獣道も同然の道だ。

 衣服はそのまま...いや何か伸びてる。

 転移の衝撃なのかな?


 まぁ兎も角、この世界で生きる為の能力の確認からだ。

 頭で武具錬成の事を思い浮かべると、白い部屋で見た、ドロップダウンリスト型のインターフェースが目前に広がる。


 形状”諸刃”で、

 材質”ステンレス”の

 特性”鏡面仕上げで鏡の様な光沢”を持った

 武具”ダガー”を

 出現方法”手に握った状態で出現”


 条件を入力すると、青白い光が右手に集まり、鏡面仕上げのダガーが握られていた。


 よし!先ずは成功ね!

 イメージと寸分違わないダガーになってる。


 続いてデフォルトアビリティの『 アイテム鑑定』と念じてみる。


『ミラーダガー 』

攻撃力+15

ステンレス製のダガー。諸刃は美しい鏡面となっており、一切の歪み無くその姿を映す。

製作者︰マツリカ=スドウ


 鑑定通り、完全に鏡だこれ。いや何かお風呂場にある鏡なんかより、とんでもなく澄んでいる。

 そして、ダガーを覗き込んで気付く。

 映っているのは確かに私だ。

 ”10年位前”の。


 さっきの白い部屋でも”キャラクター”については弄っていない。”アビリティ”に必死でそんな余裕はなかった。

 だから、転生ではなく、姿形がそのまま転移するものと思っていた。

 これはアレだ...警告メッセージの事だろう...。

キャラクターレベルが下がるというのはこうゆう事だったんだ...。




 幼女化してしまうという、ちょっとした誤算はあったけど、気を取り直して、アビリティ確認の続きをする。

 流石にこれ以上は、林道だと人に見られるとまずいので、少し森に入る。




 よし、ここまでくればいいかな。


 そして、私は再度武具錬成を起動させようと、インターフェースを開いた時、目が合ってしまった。

 そいつはこちらをじっと見ており、トナカイの様な大きく屈曲した角を持ち、顔と身体もトナカイ程だ。

 だがそのトナカイの様な生物の足は、筋骨隆々の馬の足を魔改造してくっつけた様で、言うなれば”トナ改”である。


 あぁ...あの...アポスじいさん。砂漠じゃなくても、いきなり怪物が居る森の中への転移は勘弁して欲しいのですが...。


 クレームをつけたいところだが、今はそれどころじゃ、無さそうだ。

 トナ改さんは前足で地面を引っ掻く、所謂前掻きを行い出しており、今にもこっちに向かって来そう...。


 私は武具錬成を起動する。


 形状”諸刃”で、

 材質”鋼”の

 特性”高い殺傷能力...


 トナ改さんが突っ込んできた。


 ひぃぃ!

 私は武具錬成をキャンセルし、身構える。

 武器は...さっき出したミラーダガーが...って相手の角のリーチの方が遥かに長くてとてもじゃ無いけど使えないよ...。


 私は咄嗟に近くの1番幹が太い気に向かって走る。

 そして何とか第一撃を木を使って交わす。

 しかし、トナ改は直ぐに方向転換し、迫って来る。

 相手は角が長いから最小回転半径は幼女で小柄な私の方が上なはず!


 木を使い、ぐるぐるとお互いイタチごっこを始める。

 その間に私は武具錬成を起動させる。


 形状”諸刃で大きな”、

 材質”鋼”の

 特性”高い殺傷能力”を持った

 武具”バスタードソード”を

 出現方法”対象の真下の地面から垂直に時速200kmで出現”


 次の瞬間、トナ改の足元から巨大なバスタードソードが出現し串刺しにする。

 トナ改は真っ二つになり、辺りが血の海となる。


 はぁ...はぁ...成功ね...。

 そう私がわざわざ”出現方法”を設定したのは、こうゆう使い方をする為だ。

 これなら筋力や、敏捷性などのキャラクター性能を必要としない。”キャラクター”と”ステータス”を犠牲にしてでも欲しかった能力だ。


 でも毎回ドロップダウンリストから選んでいるのでは使えないな...。

 そう思い、武具錬成インターフェースを起動させる。

 えっと...あ!”登録”ってボタンがある!

 

 形状”諸刃で大きな”、

 材質”鋼”の

 特性”高い殺傷能力を持ち、青白い光を放つ”を持った

 武具”バスタードソード”を

 出現方法”対象の真下の地面から垂直に時速200kmで出現”


 今後の事を考え、魔法っぽく見せる為に、さっきのバスタードソードの特性に”青白い光を放つ”を追記しておいた。


 登録っと!

 あ...名称を求められた。

 音声認識?念じる時のキーワードなのかな?


 取り敢えず、”神罰の剣”と言う意味の『 ソードオブパニッシュメント』と名付けた。


 試しに一度起動させる為に、念じてみる。


『 ソードオブパニッシュメント!』


 どうやら念じるだけで発動する見たいだ。

 でも人前で使う時には、唱えた方が良さそうね。


 私は伊達に転生小説を読み込んでいないのだ。こうゆうのは大体無詠唱で唱えると騒がれてめんどくさい事になる筈だ。


 先ずは街に行って情報収集ね!


 っとその前に、ここの地面から生えてる二本の大きなバスタードソードを何とかしないとなぁ。


 私は剣の腹を両手で押して見た。

 うん、10歳児の力ではびくともしないね。

 というか多分これ持つ事すら出来ない。

 何せ私は鉄のショートソードが何とか持てる程度の筋力しか無いのだ。


 もう1度、武具錬成インターフェースを起動させ、確認する。

 該当する機能がないか、脳内で検索をかける。


 あ、あったあった!

 先程の蒼白き光を放つバスタードソードの属性を”インスタント”に変更する。

 ”インスタント”を選ぶと出現後直ぐに消え、逆にずっと残したい場合は”パーマネント”を選ぶと残る仕様の様だ。

 そして発動させるタイミングでも”インスタント”か、”パーマネント”を選べる見たいだ。

 指定しなかった場合は、全て”パーマネント”で出現する様だ。


 もう一つの普通の鋼のバスタードソードは、触れて『 アイテムボックス』に入れと念じた。

 どうやら収納するのにアイテムを手に持つ必要はないらしい、非力な私には助かる。

 

 


 暫く林道を進んでいくと、第一村人を発見した。

 いや村人か、街人かは知らないんだけど。


「どうもこんにちは!すいませんが、街はこっちの方角でいいんですか?」


 そう言って子供っぽく話し掛けた。


「あぁ、この街道を道なりに進んで行けば、お嬢ちゃんでも2時間程で着くよ。ってお嬢ちゃん一人かい?街道とはいえ、肉食獣も出るから危ないよ?」


「両親とは街で待ち合わせているので大丈夫です。親切にありがとうございました。」


 そう言ってペコリとお辞儀をする。


「しっかりした子だね。それなら大丈夫そうだけど、決して森には入らないように。」


「ありがとうございます!」


 そう言って、第一村人と別れた。

 すいません、もうやらかしました...。


 そして第一村人が見えなくなっとところで再び、武具錬成を使う。


 形状”さっきすれ違った人と同じデザインで、ダリアのコサージュを付けて女の子風にアレンジ”、

 材質”さっきすれ違った人と同じ材質”の

 特性”なし”を持った

 武具”さっきすれ違った人と同じ服”を

 出現方法”私が着た状態で出現”

 属性”パーマネント”



『 ダリアの村人の服』

防御力+5

ダリアのコサージュが付いた、村人の服。何の変哲もない無い”ただの布”で縫われている。

製作者︰マツリカ=スドウ


 ダリアのコサージュはアレンジだ。流石に単なる布の服は飾りっ気が無くて寂しい。女の子だからね!


 さっきまで着ていたのは、現代の服だ。さっきの村人にも最初少し怪訝そうな目で見られていたので、街に着く前に早目に着替えておいたのだ。

 

   


 服装を調達し、暫く林道を歩いたところで小腹が空いたのでまた武具錬成を使う。


 形状”刀身が高さ10cmの直方体”で

 材質”カロリーメイド プレーン味”の

 特性”なし”を持った

 武具”ダガー”を

 出現方法”手に持った状態”で出現

 属性”パーマネント”


 これからもお世話になると思うので、『 カロリーメイドダガー プレーン味』で登録しておく。

 ”忙しい旦那様の為に、いつもお側に!”のCMでお馴染みのバランス栄養食、カロリーメイドだ。

 うん、普通に”あの味”。美味しい!


 


 小休憩を終えて、また暫く歩くとこの世界で初めての街が見えて来た。

 ブクマありがとうございます。励みになります。

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