表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/97

2-14 「奴隷解放」

 30話程書き溜めているので、一月は毎日投稿予定です。

ーオリガ王国 リョーリカの街


 翌朝、奴隷販売組織を潰す為、以前奴隷商人らしき人物を見掛けた場所をヤスとブラついていた。

 格好はいつもの”村人の服”だ。流石に黒騎士の格好では”張り込んでます!”と言わんばかりだからね。


 ところで最近ヤスと一緒に行動する事が多い。

 でも、ヤスと二人で街を出歩くのは初めてなので何だか少し緊張する。

 私達は周りからはどういう風に見られてるんだろうか?兄弟?それとも恋人...には見えないよね...。流石にこの年齢差じゃ。


 暫くブラついてると以前商人風の男と一緒に見掛けたガタイのいい男が通りかかったので、ヤスの服の裾を掴んで合図を送る。

 するとヤスは「仕方ねぇなぁ。」と言う顔をして、しゃがんでこちらに背を向けてくる。

 

「ちょっとヤス、何やってるの?」


「何って疲れて歩けないんだろ?おんぶしてやるよ。」


 この男は私の事を完全に子供扱いしてっ!

 私の中身は立派な大人だってのに!


 (違うわよ!前に話した奴隷商人と一緒に居た男がいるの!)


 ヤスに小声で耳打ちする。


「あぁ、そう言う事か...!」


 小ボケをかましたヤスを尻目に、さっきのガタイのいい男の後を追う。




 男の後を追っている途中、人目の付かないところで黒騎士装備に”早着替え”し、ヤスの能力を起動させ、男の後に続いて建物に入る。

 使用人らしき人が何人か居て、調度品も高そうだ。どうやら貴族の屋敷の様だ。


 暫く男の後を付いていき、屋敷の中で一番豪華な部屋に入る。

 中にはこの家の主らしき貴族が偉そうに座っていた。


「旦那様、展示会場(・・・・)行きの馬車の用意が出来ました。」


「ほぉ...そうか。今回も楽しみだなぁ!」


 展示会場...意味深な言葉ね...。

 私達はそのまま貴族の馬車に”乗り込み”、もはや尾行とは何だったのかというレベルで貴族と”一緒に”展示会場に向かった。





ーオリガ王国 リョーリカの街外れ 林道


 馬車に揺られ、貴族と共に林道を進むと開けた場所に出た。

 どうやらここが目的地らしく、貴族とガタイのいい従者が馬車から降りる。


「付けられてはおらんだろうな?」


「はっ!周りを警戒していましたが、人はおろか動物の気配もありません。」


 ゲ〇ム兵もビックリのザル警備で助かる。

 ってヤスの能力の賜物か...。


 貴族達は森に入って行き、落ち葉が積もった場所で止まると、ガタイのいい従者が落ち葉を掘るようにどける。

 すると地下への隠し階段が現れ、下に降りて行ったので私達もその後をおった。






ーオリガ王国 リョーリカの街外れ 奴隷商人の館


 暫く地下通路を進み階段を登ると、待合室の様な部屋に出た。

 そこはさっきの貴族の館の様な豪華な作りで、シャンデリアや高そうな壺など調度品も華やかだった。

 

 暫く貴族が待合室の椅子に座っていると、扉から使用人らしき白髪の男が入って来た。


「これはこれは、良くぞいらっしゃいました。

 すぐに”商品”をお持ちいたしますので、しばしお待ちを!」


 


 暫くして白髪の男が戻って来ると、後には肌が透けたベビードールを纏った今の私と同じ位の少女が3人程連れられて来た。

 少女達は真っ直ぐ前を向いて背筋をピンと伸ばして立っている。

 全員が整列すると白髪の男は合図する様に、パンっと手を打つ。


「「「誠心誠意ご奉仕致しますのでどうか”買って”下さいませ。」」」


 そう言うと少女達はカーテシーを行う。

 ベビードールは短く、透けているので、大切な部分が見えてしまっている。


 っ...!やっぱりここは奴隷売買が行われている現場だ。

 そこで私はヤスに合図を送り能力を解除して貰い、武具錬成を起動させる。


「な、何だ貴様らっ!?どこから入って来た?」


『インビジブルジェイル! 』


 私は新しい武具錬成を貴族と従者に向かって起動する。

 これは拘束用に考えた武具錬成で、対象を2枚のインビジブルメタル製のタワーシールドで囲み、身動きを取れなくする”パーマネント”だ。


「う、動けんっ!?な、何をした!」


 消耗を抑える為、インビジブルシールドと違い完全魔法耐性は無いが、金属製の盾に囲まれてはハ〇クでも無い限り、どうする事も出来ない。


 一方ヤスは事前に打ち合わせた通り、白髪の男の足を魔鉱切で叩き斬っていた。

 私はすぐに白髪の男にエクスヒールをかける。


「かっ!がはっ...!足がっ!!はぁ...はぁ...あれ!?足がある!?」


「両足を失いたく無ければ、我が質問に素直に答えろ。

 この施設を取り仕切っている奴は何処にいる?」


 私は出来るだけ冷徹で低い声を出して問う。


「ひっひぃ、わ、分かりましたっ!奥の扉を真っ直ぐ進んで、右の赤茶の扉が旦那様の部屋です!こ、殺さないでぇぇ!」


 白髪の男は恐怖しながら素直に答える。嘘を付いている様な余裕は無さそうだ。

 「足を斬るぞ!」と脅すよりも、一度斬ってからくっつけて”足がある事の幸せ”を感じさせてからの方が脅しとしては効果的だ。


 「ぶっ殺す」そんな言葉は必要ない、「ぶっ殺した」なら使ってもいいッ!と、特急暗殺兄貴も言っていた。


 白髪の男も不可視の牢獄(インビジブルジェイル)で拘束する。


 次に武具錬成で”赤い”貴族の服を出して、部屋の隅で怯えていた少女達に着せる。

 もう同じミスは繰り返さない。私は学習したのだ。


「もう大丈夫だ。国王に派遣され、お前達を助けに来た。」


 そう言って私は国王に貰った、オリガ王国騎士団の金属製の紋章を見せる。


「こ、これは...王国騎士団の!ありがとうございます...!」


 そう言って少女達は安心したせいか泣き出してしまう。

 仕方が無いので少女達と他の奴隷捜索はヤスに任せ、私は一人この施設の主の部屋へ行く。


 部屋に向かう途中の廊下でショートカットのメイドと出会う。


「騎士...タレスを撃ちに来たんですか!?」


 メイドは私を見つけると近寄り、聞いてくる。


「この施設の主の名か?どこだ?」


 そう言いながら王国騎士団の紋章を見せる。


「あぁ...お待ちしておりました!こちらです。」


 


 そう言うと私はメイドに誘導され、赤茶の扉の部屋の前までやって来た。


「この扉に居ます。ただ...気を付けてください...護衛のリーコックは元A級冒険者です...。」


「分かった。ここは危険だ、離れていろ。」


 私はヴァルター戦の不意討ちを警戒し、部屋に入ると同時に無詠唱で目の前に、不可視の盾(インビジブルシールド)を設置して置く。


「き、貴様は...黒騎士かっ!?な、何でこんな所に?」


 中に入るとリョーリカの街で見掛けた奴隷商人が片目を抑えてベッドから立ち上がり叫ぶ。

 どうやら私の事を知っている様だ。


 そして傍らには銀髪の美少女が一糸まとわぬ状態で黒服の男に羽交い締めにされていた。

 この...ロリコンどもめっ!!


「これから死ぬ者にその意味は無かろう?」


 私は出来る限り怒りを込めて言った。


「なっ...!リーコック、早くこいつを殺せっ!」


 黒服の男リーコックは銀髪の少女を離して立ち上がると、私の前に対峙する。


「戦場では運良く敵が逃亡したらしいが、俺は逃げてはやらんぞ。」


 そう言うとリーコックは消えた。

 そして次の瞬間金属の鈍い音がして、リーコックが目の前で吹っ飛んだ。

 

 ビックリした...早くて見えないと思ったら不可視の盾(インビジブルシールド)に全力でぶつかったのね。

 普通そんな所に”見えない盾”があるなんて思わないよね...。

 私は不可視の盾(インビジブルシールド)の新たな使い方に感嘆しながら、武具錬成を起動する。


「ソードオブパニッシュメント!」


 不可視の盾(インビジブルシールド)にぶつかって尻餅を着いていたリーコックに、容赦無く神罰の剣ソードオブパニッシュメントを撃ち込む。


 断末魔を上げる間もなくリーコックが絶命する。

 そして、私はタレスに近付く。


「ひひぃっ...!そ、そんな馬鹿な...リーコックは元A級冒険者何だぞっ!それがこんな簡単に...!?

 た、確か情報ではお前は傭兵だったな...か、金か?いくら欲しい?好きな金額を言え。」


 タレスは上から目線の命乞いをしだす。

 反省の欠片も無い奴だ...。


「金...そんなもので我が意志は買えぬ。」


 少女達の為にも殺してしまいたいのは山々だが、顧客等こいつからは聞き出さなければいけない事が山程ある。


 

 その後ヤスと合流し、審判の剣(ジャッジメントソード)で無理やり従わされていた使用人を判別し、その人達にタレス達を任せた。

 私達は解放した奴隷少女達と一緒に、リョーリカの街へと貴族の馬車で戻った。


 次回新キャラ(幼女)登場です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ