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2-5 「戦争の切っ掛け」

 30話程書き溜めているので、一月は毎日投稿予定です。

ーオリガ王国 首都オリガ 南門


 私が南門に近付くと、オリガ兵達が駆け寄って来る。


「黒騎士様っ!先程帝国兵が一斉に引いて行きました。一体向こうで何があったのです?」


「帝国軍は壊滅し降伏した後、撤退していった。」


「「「うおおぉぉぉぉぉ!!」」」


「「「やったぞーー!!」」」


 オリガ兵達から鬨が上がる。

 

 鬨が収まるとフッサール隊長が聞いてくる。


「黒騎士様お1人でなされたのですかっ!?」


 魔道兵と弓兵、騎馬隊を殲滅したら、歩兵は勝手に逃げていった...。

 まぁもう戦える状態じゃないよね。


「あぁ。ところで、こっちの被害はどうだ?」


「帝国軍は途中から遅延戦闘に移行し、魔法と弓による遠距離攻撃が主体となりましたが、黒騎士様に頂いた祝福で、魔法と矢による被害が無かった為、殆ど損耗はありませんでした。」


「そうか...それは何よりだ。」


 そして、私は役目の済んだ不可視の盾インビジブルシールド の属性をインスタントに変更する。

 こんなチートいつまでも放置していたらまずいしね。


「黒騎士殿!この事をすぐに陛下へ報告を!」


 ここでブルーノさんが興奮しながら声をかけてくる。ちょっと怖い。


「分かった。」


 そして、ブルーノさんと二人で王城へと向かった。





ーオリガ王国 オリガ王城 謁見の間


 さっきまで城の外に居た帝国兵達は既に居なくなっていた。

 エクスヒールをかけて、先触れにした帝国兵が撤退させたのだろう。


 謁見の間に行くと国王が声をかけてきた。


「おぉ。黒騎士殿、息災か!やはり、黒騎士殿一人に全てを押し付けるのは酷だった。

 だが、私は既に覚悟と条文は出来ている。

 なに、こう言う時の為の命だ、惜しくはない。」


 そう言うと、国王は神妙な面持ちで私を見つめる。あれ?何か誤解が...。

 混乱していると大臣が横槍を入れて来る。


「いえ、国王様、子奴目は出来ると言って出来ず、国を貶めました。国家反逆罪で死刑にすべきです。」


 この大臣...何でか私にやたらと突っかかってくるんだよね...。


「待て話が見えん。

 確かに帝国軍を殲滅には至らなかったが、帝国軍の主力である魔導師、弓兵、騎士団は殲滅した。

 歩兵の撤退は許容したが、逃げる数百の兵を我一人で追うのは不可能だ。

 だがそれでも今回のオリガ王国の勝利は揺るがず、国王も首を捧げる必要は無い。」


「何っ?まだあれから殆ど時間が経っていないが...。黒騎士殿が撤退して来たのではないのか?」


 あぁなるほど、王様は余りに早かった為、逃げ帰って来たと思ったのか...そして、大臣はその責任を追及して死刑にと...。


「陛下!私は戦場に居ましたが、黒騎士殿の奮戦により、確かに帝国軍が我が領土から撤退していくのを確認致しました。

 黒騎士殿は我が国の英雄です!」


 ブルーノさんが興奮しながら話す。


「なんだと!?本当に帝国軍が撤退したのか?

 黒騎士殿一人でか...?

 (にわか)に信じられんが...戦場を見てきたブルーノが言うのであれば間違い無いのであろう...。」


 国王はブルーノの真剣な目を見て、”ブルーノが言うなら間違いない”と言った表情で頷いている。


「しかし、陛下...!何やら話がおかしいです。あれだけ(・・・・)大部隊の帝国軍が、子奴一人戦場へ行った瞬間に撤退するなど、話が出来過ぎて居ます。

 黒騎士は帝国軍とグルで、最初からストーリーが出来上がっていたのではないですか!?」


 またも食い下がる大臣...。さっきから何なんだこの人、いい加減私もイライラしてきたぞ...。

 それにあれだけ《・・・・》ってまるで見てきたかの様に...。


「いい加減にしろっ!ガレノスっ!!」


 するとブルーノさんが大臣にキレた。


「戦場で血を流していない貴様に何が分かるっ!黒騎士殿はアマルティア姫の為(・・・・・・・・・)、危険を顧みず死地へ単騎で飛び込み、さらに帝国軍が撤退後真っ先に南門の兵を気使ってくれたのだ!!

 それに黒騎士殿は遊撃隊隊長ヴァルターや騎士団等100以上の帝国兵を撃破しているんだぞ?

 ここまでの被害を出して、帝国が利する作戦などある訳がないだろう!!」


 一部語弊があるが、野暮なツッコミはやめておこう。

 

 ブルーノさんの気迫に圧倒され、大臣は少し腰が引けてる。

 アマルティア姫は何か顔を赤らめて伏せている。


「うむ。ブルーノの言う通りだ。黒騎士殿が帝国軍の人間と言うのは考えられん。

 それにブルーノの話からすると、前線の兵達も黒騎士殿を英雄視しているだろう。

 となるとこれをぞんざいに扱う事は兵達の指揮にも影響する。救国の英雄として歓待しようではないか。」


 さっきまで鬼の様な形相だったブルーノさんも、国王の発言に満面の笑を浮かべている。


 いい雰囲気の中悪いけど、さっきからとても引っかかっている事があるので確認しておこう。


「...ところで、幾つか確認しておきたい事がある。戦争終結に必要な事だ。」


 私の発言で”戦争はまだ終わっていない”という事実を再認識し、皆の表情が強ばる。


「そもそもなぜ帝国が仕掛けて来た?心当たりはないのか?」


 国王が神妙な面持ちで話し始める。


「恐らく......黒紅(くろべに)石だろう。

 黒紅石は宝石の類で、分かっている中で我が国と帝国でしか採れない希少な石だ。

 そして、希少であるが故に、お互いに産出量を制限し、価格を高騰させていた。

 が、最近我が国はその産出量を上げ、価格を下げたのだ。

 そして、その崩れた均衡により、黒紅石の市場バランスは崩れ、我が国の安い黒紅石が大量に出回る様になり、帝国の黒紅石は売れなくなった。

 その直後に帝国軍が進軍して来た...だから、恐らく黒紅石が理由であろう...。」


 帝国とは”暗黙の共謀”が行われていて、市場をオリガ王国と帝国で完全にコントロールしていた。

 だけど、オリガ王国の値下げにより、そのバランスが崩れた。

 産出ライバル国であるオリガ王国が値段を下げれば、帝国も合わせて下げなければならない。

 が、それでは値下げ競争に発展してしまい、かえってお互いに利益が出なくなる。

 つまり、価格戦争が文字通りの戦争になったってこと!?


「なるほど...。だがしかし、何故産出量を上げたのだ?」


 問いかけたと同時に大臣が視線を外す。


「ガレノスの進言だ。」


 答えたのはブルーノさんだった。

 急に胡散臭くなってきた...。


「わ、私は国の為を思い、国の利益になる様に進言したまでだ!」


 私がエクスヒールで治癒した3人を見た時の反応、私を死刑にしようとした事、まるで敵勢力を知っていたかの様な発言。

 そして極めつけは戦争の引き金となった、黒紅石の産出量操作。


 ガレノスは何かを隠している...!


 私は武具錬成を起動する。


 形状”白く美しいアールヌーボー調の透かしが入った長い模造剣”、

 材質”ABS樹脂製”の

 重量”普通”

 特性”問われた質問に対し真実を答えないと、この剣で斬られた部分に激痛が走る”を持った

 武具”バスタードソード”を

 出現方法”右手に持った状態で出現”

 属性”パーマネント”


審判の剣(ジャッジメントソード)


「ガレノス...この剣の前では誰も嘘はつけない。

 覚悟せよ!」


 すいません後書きを1話間違えました。次回やっとガレノスと決着です。

 (前回の後書き修正予定ですので、修正済みを読まれた方は気にしないで下さい。)

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