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2-3 「決闘!ヴァルター」

 寝落ちして更新遅くなりました。

 30話程書き溜めているので、一月は毎日投稿予定です。

ーオリガ王国 オリガ王城 前


 首都オリガは街人が避難した為か、閑散としており、走り易い。


「しかし、あんた強ぇな。俺も魔法とかの能力にすれば良かった。」


「同じ能力が二人居るよりも、こうして( ・・・・)別々の能力を活かせる方がいいだろう。」


「まぁ、そうか。」


 今私達はヤスの存在を消す能力により、姿を消して王城へと向かっている。

 暫く進むと、王城の入口が見えた。

 が、立っているのはオリガ国の兵ではなかった。

 

「こいつらは帝国軍の兵だ...っとなるとあんたの予想通り、中は相当まずいことになってそうだな...。」


「急ぐぞ。」


 私達は帝国兵の目の前(・・・)でそんな会話をし、横を素通りして城内へと入っていく。


 ヤスの能力は想像以上に便利だ。





ーオリガ王国 オリガ王城 城内


 敵に姿は見えないとはいえ慎重に走る。

 何故なら、私が姿を消す為にはヤスの身体の一部を掴んでいないといけない。

 今私達は手を繋ぎながら走っているのだった。


 父親以外の男の人と手を繋いだ事が殆どない私は、恥ずかしい気持ちと、いつ敵が現れるかという緊張が混ざって凄くドキドキしていた。


 しかも、豪華な城のカーペットを進んでいる為、まるでお姫様になって王子に手を引かれている様な錯覚に陥る。


 ヤスは私を声から男だと思っているんだろうけど...。



 そんな浮ついた事を考えているとあっという間に、城の中でも一層豪華な扉の前へ来た。


 謁見の間。恐らくこの先に国王やアマルティア姫そして、帝国兵が居るだろう...。


「ここまでだな。」


 そう言うとヤスは能力を解除する。

 消したままでは、ドアに触れれないのだ。


「我が扉を開けて中に入る。お前は再び能力を発動して、くれぐれも”離れた”位置で待機してくれ。」


 巻き込んでしまう危険性がある為、念を押しておく。


「あぁ、分かった。」

 

 そして、謁見の間の扉を開ける。




ーオリガ王国 オリガ王城 謁見の間


 扉を開け真っ先に飛び込んできたのは、下着姿のアマルティア姫だった。


 アマルティア姫の目の前には国王らしき威厳のある壮年期のおじさんと小太りの大臣っぽい見た目の中年が帝国兵に拘束され、床に這いつくばらされていた。


 そして、アマルティア姫の奥側の玉座には、騎士風の男が偉そうに座っていた。


「アマルティアのストリップショーの邪魔をするとは、無粋な奴だ...。」


 私はフツフツと湧き上がる怒りを胸に、アマルティア姫に近付く。

 今すべき事はアマルティア姫のケアだ。


「黒騎士殿...貴殿は先程の演習場の...。ですが、逃げて下さい...貴方では...。」


 そう言ってアマルティア姫は、身体を手で隠そうとする。


「おい?誰が隠していいと言った?父親の命が惜しくないのか?」


「くっ...!卑怯なっ!」


「卑怯?お前はは決闘で負けたのを忘れたのか?我が奴隷となったのであろう?」


「くっ...!!」


 アマルティア姫はそう言って、パッスルに手をかける。

 私はその手を掴みやめさせる。


「離して下さいっ!こうしないとお父様が...!」


 私は武具錬成を起動し、アマルティア姫サイズに合わせた、”貴族の服”を錬成する。


 その瞬間アマルティア姫の身体が青白く光り、アマルティア姫が着た状態で純白の”貴族の服”が出現する。


「え?」


 驚くアマルティア姫。


「な、何っ!貴様何をしたっ!」


 すると玉座には座っていた騎士風の男がズカズカと肩で風を切りながら歩いてくる。


「アマルティア姫はこの国の姫だ。気高く輝く純白の装いこそ相応しい。この様に辱めるものでは無い。」


「アマルティアは俺と決闘し、敗れ、その結果奴隷として堕ちたのだ。俺の所有物(・・・)をどうしようとお前には関係ないだろう?なぁアマルティア。」


 そう言って騎士風の男はアマルティア姫の方へニタリとした笑を向ける。


「く、黒騎士殿...お気持ちは嬉しゅうございます。ですが...私は既にヴァルター...様に敗北を喫し、ど、奴隷となった身...。」


 アマルティア姫が涙を堪え、言葉を一言一言噛み締めながら話す。もうそれ以上言わなくていいよ...。


「分かった。つまり我が子奴を決闘で倒せば良いのだな?」


 一瞬場の空気が凍り付く。


「ははは!こいつはとんだ大馬鹿者だな!帝国騎士団のヴァルター=フォン=ゲゼル様を知らないとはな!」


 そう言ってヴァルターは手を腰に当て、ふんぞり返る。


「良いぞ!ならば教えてやろう!授業料はその命だっ!」


 ヴァルターはそう吐き捨て、剣を構える。


「い、いけません、黒騎士殿...ヴァルターは...!」


「おい?そこの奴隷?何ならこの黒騎士より先に国王を殺してもいいんだぞ?足から順番に切り刻んでやろうか?あぁ?」


「くっ...も、申し訳ございません。」


 そう言ってアマルティア姫は黙ってしまった。

 どうやら、ヴァルターには何か秘策がある様だ。

 だけど、関係ない。

 もう私の怒りは有頂天だ...!


「じゃあ授業を始めるか...。ん?どうした剣を取れ?...まさか怖気付いたのか...?」


「貴様程度、武器を使うまでも無い。無手で十分だ。」


「なっ、な、き、貴様ッ!大概にしろよっ!殺す!殺してやるっ!」


 それを合図に私は”呪文”を唱える。


『ソードオブパ...』


『ファイアーボール!』


 ヴァルターも同時に魔法を放ってくる。

 気づいた頃には私に炎の弾が向かってきており、次の瞬間身体が炎に包まれる。


「黒騎士殿っ!!」


 近くにいたアマルティア姫が叫ぶ。


「ひゃっひゃっひゃっひゃつ!口程にもねぇ!何かやろうとしてた見たいだが、俺様の詠唱省略魔法の前では手も足も出なかった見たいだな!」


 ビックリした...。アマルティア姫が教えてくれようとしたこいつの秘策とは、詠唱省略魔法の事だったんだ。

 でも完全魔法耐性を持つ私の漆黒の鎧の前では、無意味だ!


 立ち登った炎は一瞬で消え、煙だけが残る。


「なっ!何でまだ立っていやがるっ!!」


 ヴァルターが驚きの表情を見せ、叫ぶ。


『ソードオブパニッシュメント!』


 神罰の剣が容赦なく、ヴァルターを貫く。

 声を発することもなく、即死だ。


「なっ、ヴァルター隊長っ!」


 国王達を拘束していた兵達が慌てで駆け寄る。

 私はその隙を見逃さない。


『ロードオブランス!』


 床から槍を出現させ、帝国兵の足や腕を狙って貫く。


「ガハッ!!」


「ぐあっ!!」


 二人の帝国兵が悲鳴を上げ、床へ転がる。

 それを見て、床を見ながら逃げ惑う帝国兵達。

 私はそれらにも槍の道標(ロードオブランス)を放つ。


 一瞬で10人の帝国兵が無力化した。




「く、黒騎士殿...さっきのは一体...?」


 ヤスを呼び、二人で倒れた敵兵から武器を集めていると、アマルティア姫が聞いてきた。

 大臣も見てないで手伝って欲しいな...あ、大臣の下の床が湿って...。あぁ、腰を抜かして立てないのね...。

 

「魔法だ...。それよりも、他の者は...?」


「私とお父様、大臣以外は帝国騎士団に全てやられ、奥の部屋に詰め込まれています...。」


「見せてくれ。」


 まだ間に合うかもしれない...。


 そして剣を集め死にかけの帝国兵から離した後、帝国兵はヤスに任せて、謁見の間の奥の小部屋に案内して貰う。


 そこは地獄だった。

 20以上の死体が詰め込まれており、扉を開けた瞬間むせ返るような鉄の臭いがした。


 私は手当たり次第に、治癒魔法(エクスヒール)をかけていく。

 魔法が効いている反応があったのは3人だけだった。


「すまない。3人だけしか間に合わなかった。」


「え?3人?」


 アマルティア姫はキョトンとし、首を傾けていると、突如死体の山から、3人が身体を起こす。

 その中には騎士団長ブルーノの姿もあった。


「い、痛みが...!消えた!?」


「お、俺も腕を切られたのに...。」


「わ、私も...肩を刺されたのに...傷がない...!」


 3人それぞれ自分の切られた部分を確認しながら言う。

 そして、アマルティア姫は3人を抱きしめ、泣き崩れながら、声をかける。


「え...あ...生き返って...!う、嘘っ...!」


「「「姫様っ!」」」


「っ...!しかし、今はそれ所ではありません。今も城の外では沢山の兵が命をすり減らして、戦っているのです!あなた達も力を貸してくださいっ!」


「「「仰せのままに!」」」


 そして、3人の生き残りとアマルティア姫で謁見の間に戻る。




 謁見の間に入ると、持ち直したらしく、国王と大臣が立って話をしていた。


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