1-9 「不可視の金属」
前回ゴブリンの謎が残っていたので、解決編を連投です。
ブクマ&評価頂いた方、ありがとうございます!お陰様で異世界転生部門でデイリー27位、ウィークリー40位に入る事が出来ました!
30話程書き溜めているので、一月は毎日投稿予定です。
ーオリガ王国 リョーリカの街 南の平原
ゴブリンとの死闘を終え、見晴らしのいい木陰で小休止しながら、私はゴブリン戦の戦利品を確認していた。
ゴブリンの金色の棍棒をアイテムボックスから出し、鑑定してみる。
『 オリハルコンの棍棒』
攻撃力+240
オリハルコン製の棍棒。高い破壊能力でオリハルコン以下の金属を粉砕する。魔法武具に対し、高い貫通力を持つ。
製作者︰ライプニッツ
とんでも無い性能だ...。街の武具屋のフレアバゼラードが霞んで見える...。魔法防具貫通を持っている見たいだけど、私の拒絶の皮の軽鎧は傷一つ付いていない。
どうやら完全物理耐性というチートの前では貫通すらも無効になる様だ。
と言うかコレが無ければあの一撃で確実に死んでいた。
次は、ゴブリンの死体だ。出来ればあんまりマジマジと見たくないけど...気になる事があった。
私は恐る恐るゴブリンの死体をアイテムボックスから出す。
うぅ...グロいよぉ...。
因みに気になる事と言うのは、ウインドカッターが当たった時の傷の付き方だ。
二度目に放ったウインドカッターは、胴体を狙った筈なのに何故か狙った胴体よりも、足にダメージがあったのだ。
私はそれを確認する為、三つに分かれたゴブリンの亡骸の足側を確認する。
やっぱり足にはウインドカッターの傷跡がハッキリと残っている。
だけど胴体部の傷は足側よりも浅い。
上半身と下半身で皮膚の硬さが違うとか...?
気持ち悪いけど命がかかっているんだ。次またゴブリンに襲われた時の為にも弱点を見付けておかないと...。
私は意を決してゴブリンの皮膚に手を近づける。
が、触れれない。
いや、何かには触れている。だけど皮膚には触れれないのだ。
何これ?どうゆう事?これ以上進めない。
いや皮膚の表面には何かがある。
コレがアイテムなら、私にはその正体が分かるはず!
そして私はアイテム鑑定を起動させる。
『インビジブルメイル 』
防御力+120
インビジブルメタル製の不可視の軽鎧。
製作者︰不明
インビジブルメタル!?
防具を付けていない様に見えたゴブリンだけど、これがウインドカッターの威力を弱めていたんだ。
足にダメージが通ったのは、この鎧が上半身のみ覆うものだった為だろう。
流石異世界だ。こんなもの迄あるとは...原料にダークマターとかが使われてたりして?
でもコレは強い...色々と使い道がありそうだ。
色々と分析が終わった所で私は武具錬成を起動する。取り敢えず風刃を作っておかないと今は丸腰だ。
形状”波紋直刃風のメッキ”で、
材質”ABS樹脂に光沢スズメッキ”の
重量......えっ、重量!?
思わず武具錬成をキャンセルする。
新しい項目が追加されていた。
ふと、転生時に言われたアポステリオスの言葉が頭をよぎった。
「汝の固有アビリティを純熟させた時、世界の理を教えてやろう。自己研鑽に励むが良い。」
アポステリオスの言葉と今の状況を照らし合せて考えると、私の固有アビリティである”武具錬成”は進化するのだろう。最初をレベル1とするなら、ゴブリンを倒してレベル2になったという事みたいだ。
よし、任意の重量を設定出来るならもう重くて持てない心配をする必要はない!
私はもう一度武具錬成を起動させる。
形状”波紋直刃”、
材質”オリハルコン”の
重量”ABS樹脂並の比重で”
特性”振り抜いた際に『ウインドカッター』発動”を持った
武具”小太刀”を
出現方法”手に持った状態で出現”
属性”パーマネント”
『風刃改』
攻撃力+55(風)
刀身に風魔法ウインドカッターを内蔵した魔法の小太刀。その刃は相手の鎧ごと切断する。但し刀身は極限まで軽く、頑丈で、魔法武具に対し、中程度の貫通力を持つ。
製作者︰マツリカ=スドウ
かなり強くなった!攻撃力が鉄のショートソード並なのは軽いからだろう。いくら切れ味が良くても軽ければ武器としての威力は落ちる。
魔法防具貫通はどうやらオリハルコンの特性の様だ。
続いて武具錬成のインスタントでの攻撃方法のレパートリーを増やす。
神罰の剣は威力は高いが、射程が短い。その為、ゴブリンがかなり近づいてくるまで使えなかった。
その為、今回は遠距離での攻撃方法を検討する。
『 ソードオブパニッシュメント!』
消えかけた所で、もう1度今度は別の場所に発動させてみる。
『 ソードオブパニッシュメント!』
ん?今消える前にもう一本剣が出せた様な...。
今度は同時に2本に出現する様に念じてみる。
『 ソードオブパニッシュメント!』
左右同時に二本の剣が発生した。
やはり、二本同時に出せた!
その後何度が検証を行った結果、武具錬成のレベルアップ効果は以下の様だった。
同時出現可能数︰1→2
射程距離︰約3m→約5m
パラメータ︰”重量設定”追加
特に同時出現可能数が2になったのは大きい。
これで遠距離攻撃が可能になった筈だ。
私は検証の為、新しい武具錬成を起動する。
形状”大きなヴァンプレート付き”、
材質”鋼”の
重量”重い”
特性”高い殺傷能力を持ち、青白い光を放つ”を持った
武具”ランス”を
出現方法”地面から垂直に時速200kmで出現”
属性”インスタント”
ヴァンプレートは、騎士が手をガードする為の三角錐型の突起だ。ランスヘッドに直接接触しなくても、ヴァンプレートを敵にぶつけて弾き飛ばす為に大き目に設定した。
この条件で、名称”槍の道標”でインスタントとして登録。
『ロードオブランス!』
一本の槍が地面からつきでてくる。それと同時に、この槍の出現位置より1m先に次の槍を出現させ、一本目の槍が消えた直後に三本目の槍を出現させる。そしてそれを繰り返す。
すると次々と槍がまるで道のように列をなして順番に生えてくる。
やはり思った通り、射程距離は私と私が管理下にある錬成武具も含まれる様だ。
これで槍を順番に伸ばしていけば、遠く離れた敵にも攻撃する事が可能だ。
何度か新しい武具錬成を試していると、少し”眠気”を感じた。この感覚には見覚えがある。拒絶の皮の軽鎧を錬成した時だ。
もう少し試したい事もあったけど、ここで意識を失う訳にはいかないなで、残りは宿で為そう。
そして私はリョーリカの街へと向かった。
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