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鴉
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大蜘蛛は、まだ踊っていた。
僕は、大蜘蛛の背中に映る6本の線分が交差する図形の真上から、手にしたショートスピアを、力の限り投げつけた。
スピアは加速し、怒りの炎と化した。炎は、蜘蛛に突き刺さり、美しいほどダイナミックな青と黄色の巨大な炎と化し、燃え広がった。
金属的な絶叫を上げ、大蜘蛛は暴れまくった。
その声は徐々に萎んでいき、次第に解けていくと同時に、蜘蛛の子を散らばすように、果物のミカンほどの小さな蜘蛛たちが、逃げ惑った。
巨大蜘蛛は、この蜘蛛たちの集合体意識だったのだ。
全身の毛を逆立てた黒猫が、両目から、立体的なホログラムの映像を解き放つ。
灰色の空間に、ホログラムの映像が浮かび上がった。
映像が具象化し、実物に変化した。
それは、羽根を広げたら2メートルはあると思われる黒い鴉の大群だった。
鋭い金色のクチバシと、5本の両爪を持った大群は、小さな蜘蛛たちに襲い掛かった。
僕は、解き放ったのだ。一匹残らず、喰い尽くしてくれ!
その瞬間、僕の体は、この世の重力に引き戻された。