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解き放て!
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赤く錆び付いた鉄板の上を一目散に走った。
目的は、ガラスケースの中に閉じ込められた、ここの住人たちを解放するためだ。その中に、彼女がいるかも知れないんだ。
そのガラスケースは、突出した巨大なプールみたいだった。
中には、数万もの、蝶の羽根を持ったここの住人たちが、閉じ込められた。
悲しい顔をした蝶たちは、密閉されたガラスケースの側面に手を付き、ただひたすら、もがいていたのだ。
僕は真上に飛び、ガラスケースの蓋を持ち上げ、ゆっくりとズラした。
数万もの蝶たちが、なだれ込むような勢いで、外へ飛び出した。その中に、彼女の姿はなかった。
羽ばたく羽根から、金粉が零れ落ち、錆びた鉄板が、金色に変色した。