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鬼女ヨモツシコメ
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もはや、滞空時間が尽きようとしていた。僕は、もう駄目だ。このまま真っ逆さまに、大蜘蛛の背中に落ちて、死ぬんだろう…。
その時、ツルのように黒く伸びた長い髪が、次の攻撃を防いだ。
それはまるで、意志をもつ生き物のように、巨大蜘蛛の8本の手足に絡み付いた。
黄泉の鬼女『ヨモツシコメ』だった。「行け!」と言わんばかりの迫力で、僕を見上げた。
大蜘蛛は、金属的な絶叫をし、さらに暴れまくった。
黒髪は引きちぎられ、『ヨモツシコメ』は、小さな真っ黒い猫に変身した。
その瞬間、大蜘蛛の前面に、巨大な魔鏡が立ち塞がった。
蜘蛛は、鏡で己の姿を確認すると、後ろ足で立ち上がり、急に奇妙な躍りをし始めた。
相手を威嚇するために、自分を大きく見せる行為だ。
その間に僕は地上に降り、全力で走った。目の前の目的のために。
ここは、四方を海に囲まれた、小さな人工島だった。鉄筋コンクリート造りの高層の建物が建ち並ぶ、要塞のような島だった。