転生三日目~控え目魔女っ娘の加入~
...王都を目指すとは言えど、この世界の地理知識なんてもっぱら存在していない。
「聖竜」様もさすがに地図を入れてくれるほどやさしくないようだ。
さっき探しては見たものの、地図は持っていなかった。
この世界の心優しい聖人?を探し出すしかあるまいn...
「きゃああああああああああああ!!」
仕組まれているのかと疑うくらいに丁度いいタイミングに聞こえた声のほうに振り向くと、
魔女が被るような黒い帽子を被り、横縛りにした銀髪の髪と黒ぶち眼鏡をした少女が
魔物の群れ(ウルフや黒い鎧を着た小さな騎士などの魔物達)に襲われていた。
うん、私は察したぞ。きっと魔物達を説教して、あの少女に王都へ案内してもらう。
欲を言えば、一緒に旅をしてもらいたいものだ。
そういうことなんだな、分かってるよ。そうと決まれば行動だ。
私は魔物の群れへと突っ込んでいく。それでいい。
〈スキル 正義感と度胸を発動します〉
どこからかスキルの発動音が聞こえる。そして...
「貴方たち...確かにとてつもない雑魚だけれど、
数の暴力で押し切ろうなんて...考えが古すぎない?それに…」
私の長迷惑スキルが発動して、大勢の魔物への説教が始まった。
魔物達も少女も目を丸くして私を見ている。
とうぜんだ、いきなり来た女が説教を始めたなんておかしすぎるだろう。
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まぁ、其れから数分経ち...説教は終わった。
魔物達は説教が終わったとたん、お座りしたのちにとっとと去っていった。
「あ、あの!助けていただいて有難うございました。」
「ん?全然気にしなくていいよ?困ってる人を助けるのは当然だし。」
「い、命を助けていただきましたし...
な、何かお礼がしたいのですけど...何か私に出来る事なら...何でもしますので...」
そら来た、恒例のお礼イベント。
この子は喋るのが苦手なのか、だんだん声が小さくなっていった。
前の世界でやってたゲームでもこんな子がいたなーと思いつつ...。
「貴方、どうしてここに?旅の途中とか、何かのミッションとか?」
「わ、私は...旅の途中でして...ふらふらしてたら...ここで魔物と遭遇しまして...」
「そう。じゃあさ、私を王都まで案内してもらってもいいかな?
ついでに王都を案内してくれたらうれしいかな?」
「...え?」
思いもよらぬ私の回答に、少女は夫抜けた声をだした。
さすがにいきなりすぎたか?一人旅は悲しいから言ってしまったのだが...
「し、失礼なのは承知なのですが...もしかして記憶喪失...何ですか?」
「随分ストレートだね!?...まぁ、すんごく田舎から来たものだからわからないんだけど。」
本当は違うけど、異世界から転生来ましたなんてストレートに言えない...!
「!し、失礼しました!記憶喪失などという失言を...!」
「いや、別に私そんなお偉いさんじゃないからいいんだけど...お願いできる?」
「も、もちろんです!...では...行きましょうか。」
こうして、私と少女の王都案内は始まった。
「そういえばさ、貴方...名前は?ちなみに私はひ...ルミナスっていうんだけど。」
「わ、私はファルシュ...と申します。」
「ファルシュ...か。じゃあさ、ファルシュの兵種って何?」
「白魔女です...
サポート中心ですから...攻撃があまり得意ではなくて...」
「成程、だからさっき襲われてたんだね。」
「そうですね...」
白魔女...確かにサポート用兵種だな。
「ファルシュは何か得意な事とかあるの?」
「洋服を作るのは...好きですけど...」
「へー洋服か。じゃあ...」
こうして(一方的に?)雑談を交わしながら王都を改めて目指した。