女装剤~俺が女性化する
気が付くと俺は女子になっていた。
何故だかさっばり見当がつかない。
ただ、気が付くと俺は女子になっていたのだ。
ビジュアル系バンドで女形をやっていたが、まさか女性化したとは思わなかった。
その日も、いつものように、ワンマンライブが終わった後、メイド服のまま買い出しに行った。
女の人の物凄くキツい匂いを嗅いだ。多分それが原因なんだろうか。
「うわっ。めっちゃキツい匂いや。」
尻を触られた海音は、いつもの通りメイド服のまま買い出しに行った。衣装ながら中々好きになった。
夏のショッピングセンターはエアコンが効いている。
当然尿意を催す。まぁ温度は関係ないけど。
いつもの通り男子トイレに向かった。一応女子ではなく、俺は男だからな!
そう思って男子トイレ特有の便器の前に立った。そして用を足そうとしたが、無理だった。
いつもの感じじゃなかった。
「嘘だ!こんなの俺は男だぜ。」
甲高い声がトイレに響く。嘘だ。さっきまで俺は男だったんだ。
まさか、いきなり女性化するなんて有り得ない。落ち着け。
疲れてるんだよ。
トイレの個室に籠り、確認してみる。絶句した…そこには有り得ない姿が移っていた。
「嘘だろ。俺。まだワンマンライブが終わってないのに…半ばなのに。どうすれば良いんだよ。俺は。」
取り敢えず用を済ませた。あぁ、めんどくせぇな。いちいち、座んなきゃいけないなんて。トイレの行列とかマジ萎えるんだろうな。
問題はトイレじゃないんだ。明日からのワンマンライブがどうなるかなんだ。ボーカルの俺は女性化して女声になっちまったんだよ。今更、言い訳できねぇよ。
逃げるようにして個室を去った。いつもこの格好なので疑われるが、今日は余計と言い訳できない。声が高くなってるからな。
俺は一体どうすれば良いんだ!
彼は萎えながら彼女のいるマンションに帰った。