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XXX  作者: 望遠鏡
放課後に流れる放送
5/5

05

性的描写を臭わせる表現があるのでご注意下さい

(side:T)





空が段々と陰ってくる。もうそろそろ雨が降るのだろう。今日はどこに行こうかと思案する。

学校には何ヵ所かサボるのに最適なスポットがある。その中でも俺がよく使用するのは北校舎の空き教室と放送室。空き教室は一階の廊下の端に四つほどあり、校舎の一番北側に位置しているため人通りがとても少ない。ましてや授業中、通る人などいない。放送室も授業中はまず緊急時にしか使われない。ドアの鍵が壊れていてかかっていないのも使いやすくていい。

そう思いつつ人気のない廊下を何となくぶらぶらと歩いていると、髪を明るい茶髪に染めた女がこっちに向かってくる。女は俺を目にすると嬉しそうに駆け寄ってきた。


「あっ、拓海だぁ」


女は俺の目の前まで来ると、そうするのが自然だというように腕を俺の腕に絡めてきた。

マスカラかつけ睫毛か知らないが不自然に長い睫毛にピンク色のリップ、それと甘ったるい匂い。多分香水だろう。それらが混ざって化粧品コーナーの近くを通った時と似たような匂いがした。俺よりも頭一つ分は小さいから自然と上目使いになるのだろうけれど、それにしては狙ってやっている感じがする。ブラウスのボタンは二つほど空いているし、スカートもかなり短い。

誰だろうか。いや、どうせ名前なんて分からなくてもそんなに問題はないだろう。この女が求めているのはそんなものではないのだから。


「調子悪いって仮病使ってラッキーだったよ。拓海もサボりでしょ?」

「ああ」

「ねえ、これからどこいくつもりだったの?」


当然のように女は俺の歩調に合わせて着いてくる。それに面倒だと思いつつ空き教室に向かう。

道中、女がべらべらとどうでもいいことを語っている。俺はろくに相槌をうっていないというのに、一体何が楽しいんだろうか。理解が出来ない。


カラカラ、と離れたところからからドアの開く音がした。

ふと見ると少し遠くにある保健室から女が一人出てきていた。保健室のドアは横へのスライド式のドアで、他の教室とはドアが何故か違う。


「失礼しました」


か細い声が聞こえる。いかにも調子が悪そうな声だった。

それだけではなく顔もとても白い。肌が元々白い方だからなのだろう、今や紙のように真っ白だった。

そのままふらふらと俯きがちにこちらへと歩いてくる。鞄も持っていることから早退するのだと分かった。

歩く度にサラサラと揺れる腰まである長い黒髪が黄色がかった安っぽい蛍光灯に照らされて天使の輪を作っている。近付くにつれて俺はその女の姿形がくっきりと見えるようになってくる。伏せられた睫毛が長く、薄めの唇は気の毒に少し紫がかっていた。


その間隣にいる女の口が止まることはなかった。蛍光灯の光を反射してピンクの色の唇が艶々と光っている。

あんまり反応を返さない俺に流石に苛立ったのか、女は絡めている腕に抗議するように少し力を込めて言った。


「もう!拓海ったら聞いてるの?」


空き教室はもう直ぐそこだった。

俺は教室に入った途端女のブラウスの残りのボタンを外す。おんなはころっと気が変わって甘えた声を出して俺に口付けた。唇にリップがくっついてベタつく。それに少し苛ついたが、舌が絡まる感覚にどうでもよくなっていく。

何度か唇を重ねた後女は俺の胸にもたれ掛かって鼻にかかったような声で俺の名を呼んだ。少し傷んだ茶色の髪が視界に広がると、何故だか高まってきた気持ちが急速に萎んでいった。女が上目使いで俺の名をもう一度呼んだ。もう待ちきれないといった感じで、俺のベルトに手をかける。その手を見て、あまり肌が白くないな、と女のなすがままになりながらふと思った。







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