特別編 「異空のサムライ」の航空機 ラジアネス編 その2
BDウイング艦上攻撃/偵察機
CAウイング艦上戦闘/攻撃機の後継として、より先進的な構想の下に計画され、開発された機体。本来複座艦上戦闘機としての用途も考慮されていたが、初期生産機配備途上にアレディカ戦役が勃発し、その際の戦訓から結果的に戦闘機としての用途は断念されている。
本機は艦隊型空母上での運用を想定し、全金属製単葉の、当時としてはより先進的な構造を有する。その一方で多数機の搭載、運用が可能なよう、機体は可能な限り小型化、軽量化されることとなった。小型にまとまった機体は搭載能力が制限されることとになった一方、良好な運動性、操縦性を本機は確保しており、その利点は本機をして主に艦隊防空に従事する補助戦闘機的な運用をも可能にさせるに至っている。本機の操縦士は本機を「BD“f”ウイング」と称し、「戦闘機」としても使える本機の万能ぶりを誇ったと言われている。
また、本機は計画段階で偵察機としても運用可能な様に航続距離の向上が要求されており、その解決策として新型の高出力発動機ではなく、低出力ながら燃費に優れた既存の発動機が搭載されている。これは本機に高い後続距離をもたらした一方で、良好な整備性をも付与することになった。
F‐21E「スターガード」追撃機
ADF (地域防衛軍)の航空部隊で運用するべく開発された戦闘機。
本機の開発については、中~高高度より飛来する敵性航空機の迎撃任務に特化した迎撃戦闘機として開発計画が開始されている。そのため開発当初は戦闘機ではなく、「追撃機」という機体区分が新たに設けられることとなった。
機関銃を機首二丁、主翼内四丁という固定武装は、計画当時としては破格の重武装であり、当初搭載が予定された水冷エンジンでは予定性能の発揮という面で不安が生じたため、本機はその設計段階で改めて液冷エンジンを開発することとなった。ただしその液冷エンジン自体も予定性能の発揮に必要な改修に手間取り、本機の試作初号機は旧型の水冷エンジンを積んで初飛行を行っている。
本機が予定通りの液冷エンジンを搭載した主力生産型が出来上がるまでに試作機初飛行から実に一年を要しており、その間、旧型エンジンを搭載し、兵装を機銃機首二丁に制限した型が二百機あまり生産されていた。これらは後に第一線基地より引き上げられ、後方で練習戦闘機として使われている。ただし「引き上げ」に間に合わなかった一部の初期生産型が、「大空洋戦争」においてレムリア軍機と交戦している。本機の「仮装敵」は爆装した双発以上の大型機であり、そのために加速性能と重武装に特化した本機は、俊敏なレムリア軍戦闘機を前に苦闘を重ねることとなった。
F‐24B「スカイダガー」戦闘機
F‐21Eと並び、ADFで運用するべく開発された戦闘機。高高度における迎撃、戦闘哨戒を想定したF‐21Eと違い、本機は対戦闘機をも含んだ中高度以下の迎撃/要撃戦闘を想定している。
本機が搭載する空冷エンジンは、軽量克つ整備性に優れ、これは本機が最前線に近い野戦飛行場を根拠地とする任務飛行、地上部隊の支援をも設計時から想定している証である。本機の固定武装は機首に機関銃二丁という、戦闘機としては最低限のものであったが、本機はその設計当初より主翼下に着脱可能な専用機関砲ポッドの開発が並行して行われている。機関砲ポッドはレムリア軍大型攻撃機の迎撃に特に威力を発揮したが、搭載時には加速上昇性能ともに低下するため、好んで使われなかった模様。
本機の操縦性は極めて良好であり、特に横方向の旋回性能はジーファイター艦上戦闘機にすら勝るとされる。接近戦ではレムリア軍戦闘機を相手に度々有効な戦果を挙げることがあり、不利な状況から旋回性能を駆使してレムリア機の追尾より逃げ切ったという戦例もまた多い。戦争中、F‐21E運用部隊への異動を命ぜられた本機の操縦士が、仮病を使い異動を逃れようと図ったという逸話もあるほどである。
「スカイダガーに乗っている限り、撃墜出来なくとも、撃墜されない」というのが本機を駆る熟練操縦士に共通した認識であり、それは劣勢に終始した「大空洋戦争」初期の航空戦を戦ったラジアネス軍操縦士にとって、何よりも必要な性能だったのである。
スカイスカウト 双発哨戒/攻撃機
本機は元来、艦隊型空母上で運用する大型艦上攻撃機として計画された。しかし試作機は重量過大で失格となったため、これをADF用の中型哨戒機として運用する案が浮上、その線に沿った改修を経て就役している。本機に実装された主翼折畳み機構が、本機がかつては艦載機であったことの名残である。
艦載機としては失格であっても、陸上からの運用に支障は無く。むしろ新機軸の胴体内兵装格納庫は、本機に膨大な兵装搭載力と良好な速度性能、長い航続距離をもたらした。余裕ある搭載能力を生かし、新装備のテストヘッドとして使われた機もまた多い。同じく派生形として軽貨物輸送機、VIP輸送機に改造された機も存在する。
その鈍重さ故に、敵手たるレムリアの戦闘機に対する限りでは「空飛ぶ的」も同然であった本機だが、その速度性能と巡航性能はレムリアの軽艦艇及び空雷艇に対する限りでは絶対的に優勢であり、胴体内に空雷、翼下に対艦ロケット弾を吊下した本機との遭遇は、それらの小型艦艇にとっては文字通りの「死」を意味した。浮遊島の飛行場を根拠地とする本機の哨戒活動は、大空洋征服を企図するレムリア艦隊の行動を掣肘する上で大きな役割を果たすこととなったのである。
FN‐10艦上戦闘機
通称「スーパー・タマゴ」とも称される本機は、主力機たるジーファイターの生産と配備が追い付かないことに対する、ある意味「非常手段」的な発想から開発されることになった。
ジーファイター用の生産ラインの開設により、余剰となった旧来のウレスティアン・タマゴ艦上戦闘機用の生産ラインは、当初の予定ではそのまま破棄される予定であったが、前線の需要にジーファイターの生産が追い付かず、主力艦、護衛空母搭載用の艦載機の需要もまた依然として高かったため、政府と国防省はラジアネス連邦内の主要自動車メーカー五社にタマゴの継続生産を移管することになる。こうして誕生したのがタマゴ系列の決定版というべきFN‐10である。
生産ラインの移管に伴い、現下の戦況に合致した改修もまた行われた。具体的には発動機をジーファイターαと同型のものに換装して出力を向上させ、バブルキャノピーを採用し全周囲に亘り良好な視界を確保している。また光像式照準器、電波方位指示器もまた装備された。発動機出力の向上により全般に亘り飛行性能の向上が見られ、搭載量も増やされている。搭載量の増大は、本機が有力な対艦攻撃能力をも有する切欠となった。




