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ゾンビの哲学  作者: うにお
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ゾンビの授業

 ◆◆◆◆暇な授業◆◆◆◆


 キーンコーンカーンコーン


 予鈴の鳴り響くここは私の教室、始業を教える予鈴だ。


「きりーつ、れい」


「「「「お願いしまーす」」」」


「着席」


 私の席はいわゆる窓側後ろの主人公席、窓の外では雨がザーザー降り注いでいる。


 授業中は暇だからあの後のことを話そう。

 あの後私とヨーコは血をアスファルトにこすりつけ続けていた。


「雨でも降ればいいッスねー」

「雨乞いでもすれば降り出しそうな雲行きだな」


 そして女子二人バカみたいに雨乞いしたら雨が降った。


「マジでー!キャー!雨降っちゃったッス!」

「走るぞヨーコ!」


 今頃はこの雨のお陰で血は流されただろうな、たまにはバカもしてみるもんだ。


「きりーつ、れい」


「「「「ありがとうございましたー」」」」


「着席」


 よし授業終わり、あー暇な授業だったな、受けなくてもいいくらい暇な授業だった。

 この後に私が取る行動、寝る。

 さっそく顔をうずめて睡眠スタイルに入る


「朝比奈さん、数学の宿題ある?」

 睡眠スタイルは早くも崩れた。

 話しかけて来たこの女学生、ポニーテールの物腰柔らかそうな女学生。クラス委員長だ。


「宿題あったら出して?」

「宿題あるから出そう」

 このことはもはや恒例化されているため予想ずみだ、机に手を突っ込めばすぐに宿題であるプリントが出せる。

「はい宿題」

「ありがとう」

 何がありがとうなのかサッパリだが、委員長は毎回「ありがとう」と言う。そしてこのスマイル、恥ずかしさなど微塵にも感じさせない朗らかスマイル。見てるこっちが照れる。


「伊藤くん、宿題出せる?」

「あ、ない」

 そして再びプリント集め、仕事熱心な良い委員長だ、クラスメイトからの人望も厚いしな。だがそうゆう人に限って裏があるもの。


 裏があると言えば、好青年タケゾーは何の用事があったんだ?あいつが私達を差し押さて行った用事…何か気になるな。

 だがタケゾーは四組、私は一組、わざわざ出向く程のことでもない、よし帰ったら聞こう。



 ◆◆◆◆退屈な授業◆◆◆◆



「きりーつ、れい」


「「「「お願いしまーす」」」」


「着席」


 授業中は退屈だから私達のことを話そう。

 私達は人とは少し違った存在“ゾンビ”だ、その片鱗はすでに見たものだと思う。


 タケゾーの生肉大好き性。

 ヨーコの超再生力。


 それらがゾンビがゾンビたる所以ゆえん

 ゾンビと言うものは誰もが皆おぞましい訳ではない。各個人の “それ” が集結したのが一般論で言うゾンビなのだ。


 生肉大好き性。

 超再生力。

 怪力。

 腐った皮膚。

 朝日に弱い。

 地中に住んでいる。


 それぞれはバラバラの人のモノなのに、人の恐怖心からかこのようなモノが一つに集結された。そうして考えだされたのが一般論的なゾンビ。


 もっと深く話すと私達の言うゾンビは、脳が活性化しそれにより副作用を持った者、もしくはその逆の者を指す。


 例えばヨーコ、あいつは超再生力を持つ代わりに理性が狂った。

 あの妙なテンションも、あの腕を引きちぎるって行為も、理性が狂っているからできた行動だ、じゃなきゃおかしいだろ。…いや、狂ったから超再生力を持ったのか?そこんとこはよく知らないんでスルー。


 例えばタケゾー、あいつは生肉大好き性に掛かった、そして備わったのが……まぁネタばれになるからここでは言わない、後々分かるだろうしな。


 と まぁ、こんな感じだ、ゾンビは決して怖いモノじゃない、人と少し違うだけだ。それを除けば人と何ら変わらない訳だしな。

 ん?いや、脳が活性化しているならゾンビは人間の完成系って言えるんじゃないか?ならむしろ、人間がゾンビを目指せ。





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