ゾンビの出発前
◆◆◆◆◆◆生肉◆◆◆
色々あったが朝食を食べ終えた私は、いつもの普段の何の変哲もない光景を目にする。
「ヨーコ、弁当持ってけー」
「Oh!忘れてたッス、アイムフォゲッティング」
緑のストライプな風呂敷に包まれた弁当を、タケゾーから手渡しされるヨーコ。
「ユーナ、弁当持ってけー」
「分かっている」
私も青のストライプな風呂敷に包まれた弁当を、タケゾーから手渡しされる。
「そんで、これが俺のと」
出て来たのは黒色の風呂敷に包まれた弁当……とビニール袋。
ひときわ異彩を放つビニール袋。ちなみに中には生肉が入っている。
「タケゾーちゃん生臭いッスよー、血生臭いッスー、ちゃんと生肉洗ったんでッスか?ウォッシュ?」
鼻をつまみながら少々嫌な顔を見せるヨーコ、確かにこれは不快だ、そうなるのも頷ける。
「いやいや、これ位がちょうどいいんだって。生肉の本領は自然にある訳だから、鼻腔を突く血の香りと、柔らかな肉質……これがベスト!ベスト・ザ・生肉!生肉・ザ・ベスト!これを待ちに待って昼に食す……これぞ格別!至福の時!」
それに比べてタケゾーはソムリエの如くテンションアップ。生肉ソムリエなど冗談じゃない。
「熱弁するな、お前の悪食は吐き気がする」
ヨーコも私と同意のようで、横でうんうんと力強く頷く。
「分からない?生肉の素晴らしさが?まぁ、いつか分かる時が来るよ」
「来ないッスよー」
ヨーコに激しく同意。
「何か生肉の話してたら食いたくなったな」
「食うな」
ほぼ反射で言い放った私の反論を無視し、タケゾーはビニール袋の中身を臆することなく丸かじり。
「ウマウマ」
これには私もヨーコも引く、あの冷静クールガールとハイテンションポジティブガールが生肉の匂いと、それを食べる行為にドン引きだ。
そして、タケゾーは私たちの表情を見て咄嗟に言い訳でもするかの様に
「いやいや、朝食の時に目の前で食べてたじゃん」
「見ないように無視して食べていたんだ、そんな物を見たら食欲が失せる」
「つれないなー、ユーナは」
苦笑いなタケゾー、全く…苦笑いするのはこっちの方だと気づけ。
「ユーナちゃん、苦笑いってまさにこのことッスね」
ヨーコとは今後とも上手くやって行けそうだ。
◆◆◆◆◆出発◆◆◆◆
「さっき生肉食べ過ぎた…腹痛い……」
「「ざまぁ」」