表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

夏休み2日目の朝

心地よい眠りを溶かすように、朝の日差しは瞼を通り抜けて眩しさを覚えさせる。


あぁ、もう朝か…


梓はそう思いながら、まだ半分は眠っている脳に逆らうように左目だけあけてみる。

枕元に置いてある目覚まし時計は、6時半を少しばかりか過ぎたところだった。


まだ、起きる時間ではない。なんせ、夏休みが始まってまだ2日目なのだから、もう少しは寝ても良いだろう。そんな事を思っている間にも、左目は眠気に負けてしまった。

夢と現の間。あといくぶんもすれば、再び心地よい眠りにつける。


すぅ…と息を吸い込んだ時、何かが廊下を駆け抜ける音がした。

「ばーちゃん!おれの虫かごどこにあるのー!?」

間違いなく弟の、桔平の声だ。

やめてくれ…!私の私の眠りを妨げないでくれ…!!

うるさいっ!と叫ぶために口を開けた瞬間、梓の部屋と廊下を遮っていた障子が勢いよく開け放たれた。

「ねーちゃんいつまで寝てるんだよ!!今日カブト虫とりにいくって、約束したじゃないか!!」

あぁ、とんだ約束をしてしまった。

「おれ、虫かご探して来るから!その間に準備してよ!」

そう言い残して桔平は、また廊下を走って行ってしまった。おそらく、虫かごが見つからなくて機嫌が悪いのだろう。


小学校の終業式の日、学校へ行く直前に話をふってきたのは桔平だった。今年小学5年生になった桔平は、国語と社会が苦手で、4年生の時の成績も2つの教科は良いとは言えなかった。

「おれ、1学期は国語と社会頑張ったから!二重丸が2つの教科合わせて4個以上あったらカブト虫とりに行こうよ!」

ちなみに、桔平の4年生の最後の成績は二つの教科あわせて2個しか二重丸はなかった。

だから梓は

「来週の日曜日ならいいよー」

と軽々しく返事をしてしまった。

その日桔平が持ってきた成績表には国語と社会合わせて5個も二重丸がついていた。


しょうがない、約束してしまったのだから…


寝ていたいという気持ちは依然として消えないが、桔平に泣かれては後が面倒だ。


そう思いながら、梓は怠さを感じながらも起き上がって、朝食を探しに台所に向かった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ