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Powergame in The Hell   作者: 粟吹一夢
第四章
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ソウルハンター(5)

 しかし、三分後、沙奇さんがやって来てアポが取れたと告げた。

「真生君もついて来たまえ」

「えっ、……俺も一緒に行って良いんですか?」

「かまわん」

 龍岳さんはステッキをつきながら部屋から出て行った。

 俺も龍岳さんの後に続いて副幹事長室を出て、同じフロアにある総理大臣、つまり政権与党である神聖自由党総裁の執務室まで、やはり分厚い絨毯が敷かれた廊下を歩いて行った。

 総裁の執務室は龍岳さんの執務室の倍の大きさがあった。鬼崎総裁は応接セットに座ってお茶を飲みながら大福餅を食べていた。テレビでの印象どおり、本当にその辺にいそうな只のおっさんだった。

「総理。お忙しいところ申し訳ありません」

 ――いや、全然忙しそうに見えないのだが。

「いやいや、御上さんとはいつでもお話をさせていただきますよ。まあ、どうぞ」

 龍岳さんと俺は鬼崎総裁に勧められたソファに座った。

「総理。今日は儂の親戚の子が一緒に来ていますので紹介させていただきます。永久真生と言いまして、つい先日、ソウルハンターに認定されたばかりです」

「あ、あの永久真生といいます。よろしくお願いします」

 俺は立ち上がって総理大臣にお辞儀をした。……やっぱり緊張する。

「ほう、見たところ、まだお若いようだが、ソウルハンターになられるとは大したものですな」

「うちの次女の霊奈と同じ高校二年生ですが、これから儂の仕事を少しずつ手伝ってもらおうかと思っております。どうかお見知りおきをお願いします」

「ほう〜。それでは御上副幹事長の後継者候補というところですかな?」

「そうですな。龍真が死んで、はや三年。儂もまだまだ現役で国のために働く所存でありますが、いかんせん歳を取ることだけは停めることができませんからな」

「なるほど。龍真君が亡くなられてもう三年ですか。早いものですな」

「まったくです。しかし、三年待った甲斐があったというものです」

「ほう、どういうことですかな?」

「真生君は龍真の生まれ変わりなのですよ」

「えっ!」

 鬼崎総裁はかなり驚いたようで、しばらく俺の顔を見ながら固まっていた。そりゃそうだろう。いきなり三年前に死んだ息子の生まれ変わりだなんて言われたら誰だってびっくりするよな。

「御上副幹事長。龍真君の生まれ変わりというのは、ど、どういう意味なんですかな?」

「いやいや、単に儂の願望ですよ」

「そ、そうですか。……ははは、そうですな。御上副幹事長のお気持ちはよく分かります」

「しかしですな、本当に真生君は龍真の生まれ変わりではないかと思うようなことがありましてな。立ち振る舞いとか話し方とかに、ふと龍真の面影を感じてしまうのです」

「なるほど」

「ひょっとしたら、真生君には龍真の霊魂が宿っているのかもしれませんな」

「そ、それは本当なのですか?」

「いやいや、よく分かりませんが、真生君は自分が経験していない事を『思い出す』ことがあるらしいのです。それに最近は毎日大勢の人から刺される夢を見るそうなのです」

 確かにそんな夢を見たこともあるが、毎日というのはちょっと話を大きくしすぎだ。

 ――んっ? 鬼崎総理の顔色がなんだか急に悪くなったみたいだが……。それに目も泳いでいる。

「御上副幹事長。……いや、申し訳無い。急に目眩がしてきた。ちょっと薬を飲ませてもらうよ」

「おお、それは大変だ。総理のお体は我が党にとっても代えることのできない大切なお体。お疲れが貯まっているのでしょう。我々はこれでお暇させていただきます。すぐに休憩をなさってください」

「いや、御上副幹事長。せっかく来ていただいたのに申し訳無い」

「いえいえ、どうぞお大事に」

 龍岳さんは俺をつれて総裁執務室を出た。

 ――いったい何だったんだ? 鬼崎総理にわざわざ俺が龍真さんの生まれ変わりだと伝えに来たみたいだが……。この世間話に何の意味があったんだ?

「真生君」

「はい」

 自分の執務室に戻りながら龍岳さんは俺に語り掛けてきた。

「これから君の迷惑にならない程度に、君には儂の手伝いをしてもらおうかと思っている。君が政治に対して適性を持っているかどうかを確認したい。……良いかな?」

「龍岳さんには言葉では言い表せないくらいお世話になっていますから、俺も何か恩返しをしたいと思っていたんです。俺にできることであれば何でも言ってください」

「ありがとう。それでは早速、頼みを一つ聞いて欲しいのだが?」

「何でしょう?」

「今日、これから沙奇君と一緒に儂の選挙区にある後援会に行ってくれないか?」

「はあ?」

「儂の後援会の集会に出てくれたまえ」

「俺がですか?」

「そうだ」

「俺が出て何をすれば良いんですか?」

「真生君のしたいようにすれば良い。真生君がどんなことをしようとかまわん」

「えっ?」

「沙奇君は、さっき会った時に分かったと思うが、秘書として非常に優秀なのだが真面目すぎていかん。君が一緒に行ってくれると面白い事になりそうだ」

 面白い事って、そんなことで俺に大事な後援会の集会を任せていいのか?

「儂はこれから他の派閥との代表幹事会議に出なければならないのだ。頼んで良いかな?」

「まあ、龍岳さんがやれというのであればやりますけど、どうなってもしりませんよ」

「かまわん。責任は儂が取る」

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