三姉妹(3)
「この家の主、御上龍岳だ」
「初めまして。永久真生といいます」
「霊奈から若干は話は聞いた。しかし今まで聞いたことの無い話だ。地界から来て、そのまま肉体を得るとはな」
そう言いつつも龍岳さんはそんなに驚いているようではなかった。――やっぱり政治家って腹が据わっているんだろうな。
しかし霊奈は俺が肉体を得たことよりももっと気になっていたことがあったようだ。
「それもそうだけど、私は私達を襲ってきた奴のことが気になっているの。あいつはこれまで戦ってきた奴らよりも格段に強かった。解放戦線の刺客なんかじゃない。それにあいつは…………青龍聖玉大鎌を使ったの」
「何だと!」
「龍真と同じ携帯武具を……?」
「本当なの、霊奈?」
龍岳さんも幽奈さんも、そして妖奈ちゃんまで驚いていた。
「それともう一つ、あいつの目的が真生の霊魂だったことも理由が分からないの。霊魂を横取りしようとした奴なんて初めてよ」
「う~む」
龍岳さんは目を閉じて顎髭を撫でながら考え込んでいたが、しばらくすると目を開け、大きなため息を吐いた。
「その黒ローブの男が消えてしまった今となっては真相は闇の中だ。しかし、真生君がその黒ローブの男の肉体を奪って生き返ったということは間違いないようだな」
「でも今の真生さんのお姿は生前の真生さんのお姿と一緒なのでしょう?」
――幽奈さん。そんなに俺を見つめないでください。照れ隠しにボケるしかないじゃないですか。
「はい。……もっとイケメンに生まれ変わった方が良かったですかね」
「うふふふ。真生さんもすごく素敵ですよ」
「そ、そうですか~。いや~、はははは」
――俺が幽奈さんに愛嬌を振りまくと何故か霊奈の目線が険しくなる。汚れを知らないような幽奈さんに俺がいきなり手を出すと思っているのか? 二人の恋愛感情を究極まで高めてからではないと…………って、そんな俺のポリシーをここで説明するわけにはいかないしな。
「死んだばかりの霊魂が肉体に宿ると同時にその肉体を自分の生前の姿に変えることができると言われている。もっとも現在は法的にも道義的にもそんな実験をすることはできないから、実際にそうなのかは実証されてはいないが……」
龍岳さんも霊奈の言った仮説を支持するようだ。
「真生君」
「はい?」
「君はその……肉体的に何か違和感を感じるとか、誰か他の人の声が聞こえるとかといったことは無いか?」
「まったくありません」
「……そうか」
俺が即答で否定したことに何となく龍岳さんは落胆しているように見えた。――もうちょっとボケた方が良かったのかな?
しかし、ボケようにも俺はこの世界のことを何にも知らない。みんなと色々な話をするには、その前提となる知識が絶対的に不足していた。
「あ、あの、龍岳さん。俺……、とにかく今日この世界に来たばかりで、みなさんが話されている話はほとんど分からないんです。この世界、獄界のことを詳しく教えてくれませんか?」
「それもそうだな。良かろう。何から話そうか?」




