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Powergame in The Hell   作者: 粟吹一夢
第三章
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三姉妹(2)

 テレビでは地界と同じようなバラエティ番組をしていた。……つくづく獄界は地界の並列世界なんだと実感させられる。地界と違うと感じるところは、時々、未来的な機械があること、そして地球が一つの国として人種が固定されていないことくらいだ。

 テレビでは、白人と黒人のお笑いコンビがコテコテの関西漫才をしていた。……けっこう面白いかも。

 漫才が終わると馬鹿でかい蝶ネクタイを締めた司会者が出てきた。

「それではお待たせしました。本日のゲスト、人気急上昇中のあやなちゃんに歌ってもらいましょう。曲は『恋のデコピン』。では、どうぞ~」

 ――へえ~、やっぱり獄界にもアイドルがいるんだ。確かに今テレビに出ている女の子はちょっと幼い感じだけどけっこう可愛いな。アニメヒロインのコスプレぽい容姿だし、声もアニメ声だ。好きな奴にはたまらんだろうな。俺? ……もちろん好きさ。友達に言わせると俺は女性に対して見境がないそうだ。確かにこんな女の子じゃなきゃ駄目だというこだわりは無い。幽奈さんのような和風美人も素敵だし、このアイドルの女の子も可愛いと思う。霊奈も……まあ可愛い部類に入るだろうな。

「ただいま~」

 また女の子の声がして玄関の扉が閉まる音がした。

「幽奈~。お腹空いた~。応接間にいるの?」

 そう言いながら女の子が一人応接間に入って来た。ミニスカートのセーラー服を着て、黒のニーハイソックスを履いていた。身長は幽奈さんや霊奈よりも相当低い。まだ中学生って感じだ。

 しかし、ぶっ飛んでいる娘だ。大きな黄色のリボンでツインテールにしている長い髪はピンク色だし、瞳は赤い。カラーコンタクトでも入れているのか? 

 ――あれ、でも、……どこかで見たことがある顔だな? 獄界に来て初めて会うはずなのに……。

「あなた、だ~れ?」

 女の子は首を傾げながら俺に訊いた。

「あの、俺は……」

「あら、帰って来てたの」

 幽奈さんが丁度、お茶を持って応接間に入って来た。

「ただいま、幽奈。それより変なコスプレしている人がいるんだけど」

 黒いローブを羽織っていたら、そう思われても仕方が無いよな〜。

「その方はお客様よ。永久真生さんっていうの」

「ふ~ん、そうなんだ。……なになに、幽奈か霊奈の恋人?」

「違います。霊奈のお知り合いみたいよ。それよりちゃんとご挨拶しなさい」

「は~い。初めまして~。三女の御上妖奈みかみあやなで~す」

 妖奈と呼ばれた女の子はちょこんと頭を下げた。

 ――妖奈……。どこかで聞いたような……。

 そんな俺の後ろでつきっぱなしだったテレビから歓声とともに図太い声が聞こえてきた。

「あやな~! あやな~!」

 俺が後ろを振り返ってテレビの画面を見ると、揃いの鉢巻きをして法被を羽織ったアイドルの親衛隊のような男達がいわゆるオタ芸という踊りを踊りながら、ステージ衣装らしきフリフリのミニスカートを揺らしながら歌い踊っている女の子に声援を送っていた。その女の子は……今、目の前にいる女の子じゃないか! 俺はテレビの中にいる女の子と目の前にいる女の子を交互に見比べてしまった。

「あっ、これ録画だから。えへへ」

 目の前にいる女の子は可愛く俺にウィンクした。

 ――しかし、何という三姉妹なんだ。長女は家庭的な和風美人、次女は剣を振り回す金髪のソウルハンター、三女はぶっ飛んでるアイドル。……今日は色々と起こりすぎだ。もう俺の想定範囲を超えている。これで、実は四女もいて宇宙人だって言われても全然驚かないぞ。

 そこに着替えを済ませた霊奈が応接間に入って来た。Tシャツにジーンズという普段着の霊奈を見ると、あの黒ローブの男と戦った霊奈と同一人とは思えない、普通の女の子だった。

「あれ、妖奈、帰って来てたんだ」

「私がいるとお邪魔だった~?」

 妖奈と呼ばれた女の子は俺と霊奈を交互に見ながら、にやにやと笑っていた。

「な、何を言っているのよ。こいつはちょっと訳があって家に来ているの」

 ――その時、丁度、車庫に車が入ってくる音がした。

「お父様だ」

 嬉しそうに妖奈ちゃん――どう見ても俺より年下だし呼び捨てよりは「ちゃん」付けがぴったりきそうだ――が言った。

「真生。ここでちょっと待ってて」

 霊奈はそう言うと幽奈さんと妖奈ちゃんと一緒に応接間を出て行った。

 玄関の扉が閉まる音がしたが、この家の主はなかなか応接間に入って来なかった。玄関で霊奈が俺の事を親父さんに説明しているんだろう。

 俺が応接間で立って、この家の主が入って来るのを待っていると、しばらくしてから三姉妹の後から羽織袴を着た長身の男性が入って来た。

 白髪の髪をオールバックにして、やや浅黒い顔には立派な口髭と顎髭を蓄えていた。教科書で見たことがある明治時代の代議士を彷彿をさせる容姿だ。

 男性は黙って応接間の一番奥にある一人掛けのソファに座ると俺に声を掛けてきた。

「座りたまえ」

 さすが政権与党の副幹事長だ。容姿だけでも相当な威圧感の持ち主なのに、低いがよく通る声も貫禄十分だ。俺は会釈をして対面の一人掛けのソファに腰掛けた。その両側にある二人掛けのソファに分かれて三姉妹が座った。

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