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第七話

ちょっと質問を頂いていたので、その回答をここでも。


第六話にて陸・海の要職将官を書いておりましたが、このメンバーはwikipediaで1930年当時、その要職にあった方をそのままにしております。


財部大臣・山本五十六・山口多聞の三人ってこのときロンドンから帰ってきてるか正直わからんです。

後、この時代の陸軍ってどういう仕組みなのかもよくわかってません(テヘペロ

「では続けさせて頂きます」


「ちょっと待ってくれ。少し質問なんだが」


挙手しながら問いかけてくる大臣がいる。


「あぁ、ワシは外務大臣の幣原だ。投資をやめた朝鮮はどうするんだ?」


「はっ、朝鮮半島に関してはこの後説明いたします。申し訳ありません」


俺は幣原大臣に頭を下げ了承を得、続きを話し始める。


「次は少し話しを変え、海軍の問題に入りたいと思います」


海軍の重鎮達が姿勢を正した。これから軍に関する改革で海軍・陸軍に喧嘩をふっかける事になるが、はたして受け入れてくれるだろうか。いや、受け入れなければ敗戦の道をたどる事になる。


「今年の初頭にロンドン海軍軍縮会議にて、帝国は屈辱的な条件を飲まされた事は記憶に新しいかと思います」


何人かが頷くのが見える。よっぽど腹に据えかねた条約だったのだろう。


「しかし自分はこの条約は好機と考えます」


ザワつく海軍首脳部。陸軍の方を見てみるとこちらを不思議そうに見ている。


「ちょっと待ってくれ中尉、軍縮すれば兵も削減せねばならん。それでは帝国の防衛はどうなるんだ!?」


谷口軍令部長がものすごい剣幕で問いかけてきた。

他の将官もこちらを睨んでくる。


「落ち着いてください。自分はこの軍縮を好機と言いました。今回の軍縮にて発生する分に関しては『海上警備隊』として組織・編成いたします。この海上警備隊は普段国内の海上における警察・消防部門としての活動を行います。しかし、戦時体制が発令されれば海軍の傘下に組み込まれる組織とします」

チラりと海軍首脳部の様子を伺うと頷いたり、驚いた顔をしている複数の将官がいた。


「この海上警備隊を作るもう一つの理由として、対潜水艦部隊……つまり護衛部隊を作るのが目的です」


「軍縮案の発想は素晴らしいが、何故護衛部隊なんだ? 通常の艦隊に組み込めばいいのではないかな?」


艦隊司令長官が挙手しながらの質問だ。


「いえ、護衛部隊は必要です。司令長官閣下は第一次世界大戦で行われた、ドイツ海軍Uボートの通商破壊作戦はご存知だと思います。この帝国は四方が海囲まれております。しかし、無常な事に資源を算出する事が我が国にはできません。つまりこれからの戦争に必要である油・鉄・アルミ・ゴム等を全て海外からの輸入に頼っている状態です。そんな我が国に対して潜水艦による通商破壊をされてらどうなります?」


「我が国は干上がりますな」


声のする方をいっせいに全員が向く。

今発言したのは陸軍の将官だった。


「その通りです。え~っと……」


「私は参謀総長の金谷だ」


俺は軽く頭を下げながら礼を言う


「その為に今から護衛艦隊としての研究を『海上警備隊』と言う枠を使って行うのです。海軍内でもできるぞって言いたいと思いますが、組織を変える事によって意識改革も同時やってしまおうと言う自分の考えです。」


「ワシは賛成する。海軍にとっては痛みを伴うかもしれんが、国とっては益となろう。皆はどうかな?」


伏見宮大将が納得した顔で他の将官に聞く。俺はここでさらにこの案を納得させる案を言う。


「今回軍縮による削減する艦艇は旧式艦を警備隊に配属し、海軍への補充艦艇は最新鋭の艦艇を建造するようにします。これならば海軍に関してはむしろプラスになるのではないしょうか?」


この俺の言葉により将官達の表情の険しさは消え、互いの顔を見て頷く様子が見て取れる。


「よかろう、その案に乗ろう。陛下、よろしいでしょうか?」


「財部達がよいのであればよかろう」


海軍将校と俺は陛下に対し一礼する。陛下と財部大臣の言葉で海軍の軍縮が決まった。

さて、次は陸軍だと、俺は陸軍将官達へ視線を送った。


「次は我々の番のようだな」


とたんに姿勢を正し、表情が厳しくなる。

んな気合いれんといてーな、と内心思う。


帝国陸軍と海軍の仲の悪さは現代にまで引き続いている為、海軍所属の身としてはかなりの反発が予想される。

だから先に海軍側の実質の軍縮案を飲ませたのは後の陸軍側の軍縮案の反発を少しでも和らげようと言う狙いがあったのだが、さてどうなるやら……


「はい、これから陸軍の改善案を提示させて頂きます」


一礼をする。


「陸軍は現時点で国内に20個師団・近衛3師団を常設しております。これを14個師団・近衛1個師団へ再編成いたします」


陸軍席がザワめく。


「なんだと?6個師団削減した上に、陛下の近衛まで減らすというのか!?」


「貴様、正気か!?」


口々にそんな言葉が聞こえてくる。


「……続けさせてもらってもよろしいか!」


胸を張り、相手を睨みつけ、強めの声で陸軍将校達を黙らせる。

しばしのにらみ合いが起こったが、それを破ったのは天皇陛下だった。


「宇垣、まずは其の者の話しを聞こうではないか。朕の軍が何故削減されるかの理由を聞きたい」


「へ、陛下……しかし!?」


「陛下、ありがとうございます。では続けさせて頂きます」


俺は宇垣大将が天皇陛下に諫言する言葉をさえぎるように言葉をかぶせる。

これだけでも不敬罪で投獄もありえる……が今は構ってられないのだ。


「常設20個師団のうち徴兵にて兵役についている約4割の兵士達ですが、普段は軍務についておらず、通常の生活・仕事をしております。この兵士達は緊急時に召集される制度となっているはずです」


陸軍将官席を見ると厳しい顔をしながら頷くのが見て取れる。


「それでは国が給与を支払いながらも即応できる体制では無く、頭数だけをあわせてるだけしかありません。それではいざ戦時と言う時には欠点にしかなりえません。それならばいっそ民間の職に従事してもらい、国力をあげてもらう方が国益になるはずです。」


「……ようするに軍を再編、すると言う事になるんだな?」


「菱刈司令、駄目ですぞ! この栄えある近衛が対象とは。絶対にゆるせん!」


先に発言したのが悪評高き関東軍司令で、後が近衛師団の師団長か。一人のんきに考えいた。

あぁ、たしかに近衛は各部隊からの選抜によって構成される師団だっけか。師団の所属する事が栄誉とされる……か。


「近衛は文字通り陛下を御守りする師団でありますが、各部隊から選抜されたエリート部隊として存在しております」


不服ながらも頷く近衛師団長。


「しかし、次の対戦は戦争の仕方が変わります。今までであれば歩兵対歩兵の戦闘となりますが、10年後には航空機・戦車での威力掃射がまずなされ、その後歩兵による掃討になります。つまり編成当初の戦力での戦闘は無いと考えて頂きたい」


半分くらい嘘。硫黄島とかパラオの戦闘では編成戦力での島嶼防御戦闘はやってるからね。

ここは口からでまかせくらい言っておかないと実現できない。


「ならばどうしたらいいのかね?」


もちろん近衛師団長のお言葉。


「近衛師団は1個師団を除き、残り2個師団は通常師団へと編成いたします。攻撃力・錬度共に東京の守りに置いておくのはもったいなさすぎます。残りの1個師団も次の戦闘様式にあわせ装備を変更と充実させるべきと自分は考えます」


俺は近衛師団長を一瞥し話しを続ける。


「そして陸軍全体で8個師団、約20万人の削減を実施いたします」

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