第三十話
またまたお久しぶりです。
やっとこさ更新できました。
次はもう少し期間を短くしたいです。ハイ。
~~~ 昭和9年 4月1日 海軍長官室 ~~~
「本日付けで海軍、連合艦隊長官付き参謀を拝命しました三好です。よろしくお願いいたします」
俺は海軍長官の伏見宮大将、連合艦隊司令長官の小林中将に挨拶をしている。
そう、俺はこの4月から海軍に転籍する事となった。
空軍からは猛反発。
しかし統合作戦本部はと「これは国防省の方針である」と一蹴したそうだ。
その方針とは「将来性のある尉官・佐官は各軍にて経験させるべし」とある。
まあこれも俺が統合作戦本部経由で国防省に提案した事なんだが、俺も例に漏れず、異動となったわけだ。
空軍の学生達には申し訳ないと思うが、俺だけ例外になるわけはいけないと言う事だね。
「着任ご苦労、中佐には期待している。さっそくだが艦政本部の平賀君が君を待っている。今後の事は明日ゆっくりと話す事にしよう」
俺は敬礼して長官室を後にしたのだった。
〜〜〜 海軍 艦政本部 〜〜〜
「よくきたね三好中佐」
俺が挨拶をしようとする前に声をかける平賀本部長。
「……本部長、普通こう言う事は着任の挨拶が終わってるからじゃないんですか? 」
と、敬礼をする俺がと本部長。
「今更だと思うがね、さっそくだが時間はあるかね? 」
俺は頷くしかなかった。
まず軍港設備について改めて説明を受けた。
現在横須賀鎮守府の6号ドックは建設途中。俺の意見が通ったのか、全長400mの巨大ドックだ。
こいつの完成予定は再来年の中頃になるとの事。
同時に呉と佐世保のドックも拡張工事が行われている。このドックは全長300mクラスであり、史実の大和や武蔵も楽に建造できる大きさとなっている。
さて、ドックの建造と拡張を行う資金がよく用意できたなと思うのだが、巡洋艦以上の新規建造を中止したからだった。
それは一部を除く海軍全体から反発を受けた。
その一部てとは国防次官(海軍担当)・長官・連合艦隊司令長官を含む上級将官と艦政本部の人達だ。
何故巡洋艦以上の艦の建造を中止したのは独逸企業「ティッセン」との合意事項にあった。
しかし日本は鉄鋼技術を手にいれてもドックを建設・拡張に予算を使い、大型艦の建造ができなくなってしまった。
ではどうしたか。ティッセンの造船開発プロジェクトに艦政本部が参加したのだ。
これで不平不満を言う士官を黙らす事に成功。
もちろんこの共同開発は箝口令が敷かれた。
対外的にはドック建造による予算不足と言う事にしているからだ。
艦政本部長と数件の案件を確認し、艦政本部室を後に後にするのだった。
〜〜〜 昭和9年 9月15日 練習艦比叡 〜〜〜
海軍に転籍となった直後の4ヶ月間は大忙しだった。
3ヶ月の外洋訓練。その合間を縫うように軍全体の案件の調整。大忙しだった。
何故外洋訓練中に本土にある国防省からの連絡を受けられたのは開発途中の八木アンテナの通信技術の進歩が目覚ましかったからだ。
八木・宇田両教授に開発を依頼してからと言うもの、いつの間にやらプロジェクトが拡大。
色んな分野の研究者が合流して電算開発プロジェクトとして発展したのだ。
そのおかげで本土からトラック諸島までなら電波通信ができるまでになり、簡単な文章がやりとりできるようになった。
もちろん電探技術も進歩しているが、こちらは開発が難航しているようだ。
現在の所は300km先で、50メートル以上の物を判別できるようになっているが、それ以下の物はまだ出来ない。
つまり戦艦クラスは探知できるが、航空機はできないレベルなのだ。
しかし、史実より遥かに進歩している科学技術。
もっとこれを伸ばし、生かす事で迫りうるアメリカとの戦争を生き残らねばならない。
しかし、統合作戦本部のお偉方は俺を海軍に転籍しているって事を忘れているんじゃなか?
サポートしてくれる副官が欲しくなってきたよ……
さて、本題だ。
俺は今練習艦となっている比叡に乗り込んでいる。
と言うのも、ようやく近代化改装が完了して試験航海にでているのだ。
今のところは概ね好調。
艦政本部と司令長官達は笑みを浮べる程だからだ。
速度は最大速度で30ノットを超え、同機関を装備している金剛と比べても2ノット程速度が出ている結果となっている。
たかが2ノット、されど2ノット。今後機関が進歩すればさらに速度がでる戦艦となり、戦略に幅がでる事が期待できる。
他にもこの比叡にはいくつかの試験をさせるべく、改造を施されている。
一つは今行われているバルバス・バウの効果実験。
二つ、3・4番砲塔を取り外し仮設甲板を設置。
4番砲塔部分に蒸気を溜め込むタンクを設置している。
そう、蒸気カタパルトの試験だ。
特別にカタパルトで打ち出せるように改造した水上機を4機用意。断続的とまではいかなが、射出試験を行う予定でいる。
三つ、1・2番砲を新開発した41サンチ砲に載せ換えている。
この新型41サンチ砲の性能試験も行う予定だ。
時間と予算はかかったが、こう言う大掛かりな試験を行えるのは、あの条約のおかげだと思う。
せいぜい利用させて貰うよ、アメリカ・イギリスさんよ。吠えずらかかしてやる。
〜〜〜 昭和9年 11月22日 国防省 統合作戦本部 〜〜〜
今日は統合作戦本部にきている。
理由はアメリカ大リーグ選抜が親善試合で来日しているからだ。
史実で有名な話しだった、大リーグの選手がCIAの諜報員だったアレ。
この世界でも仮病を使い、今現在、ビルの屋上で東京の町並みを撮影中との事だ。
もちろん俺は事前に本部長・副本部長に相談。
現在数名の諜報員が監視している状態だ。
対応方針としては、モー・バーグ氏が撮影を終え、カメラから離した時点でフィルムを入れ替えると言う手はずになっている。
あまり波風を立てずに行こうと言う事だね。
この出来事は実際にあり、撮影された写真を元に東京の空襲の資料になったって言うんだから恐ろしい。
しかしアメリカCIAの人才の多様さには驚かされる。
我が国も見習うべき事だな。
そして今年の8月19日にヒトラーが予定通り大統領に就任したようだ。
これでヒトラーの独裁体制が確立。
いよいよ欧州動乱が秒読みにはいった感じだ。
ユダヤ人の受け入れも準備しなければいけないな……
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