表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/31

第二十八話

ぽんぽん時間が飛んでいきまーす。

今回、ドイツ企業と決まった詳しい内容はこんな感じで確認した。


①に関してはすでに商工大臣名義で日本からの技術者10名程を現地に送り込んでいる。

代わりにティッセン側から技術者を招聘し、住友金属や神戸製鋼等に紹介して技術の交換・工場の性能向上等がおこなわれているようだ。

因みにティッセンとの交渉はこの年の2月には纏まっており、高雄級4番艦の溶接技術の向上にも一役買っていた。

又、ティッセンは造船業も営んでおり、日本の造船技術を学ぶ為に技術者の日本にて研修をおこなっている。

ここで地味に潜水艦技術の共同開発がなされているが、公には伏せられている。


②は互いの砲の技術を交換を実施

ドイツからは小口径砲を主に技術の供与をしてきた。対して日本からは海軍が誇る35.6cm砲と41cm砲の技術を供与した。

まだ非公式ではあるが、35.6cm砲は今後使用しない事が帝国内で秘密裏に決定している。

この事を知っているのは国防大臣以下、次官・統合作戦本部長・次長、海軍長官と連合艦隊司令官だけどなっているが。


後ラインメタル社と技術本部に俺は小銃や機関銃・砲の提案をした。

内容は5.56mm弾を使用した小銃や機関銃の開発、12.7mm機関銃及び機関砲、あとは20mm・30mm・40mmの機関砲の開発を提案した。

弾種を絞ったのは開発コストの削減と集中、後の補給を容易にする為だ。


機関砲に関しては今後、対空・対地に対しての航空機への搭載を視野にいれれば採用されやすくなると言う話しをした所、ラインメタルの担当者が俄然乗り気になった。

その後ラインメタルは銃器の技術者を探しているらしい。


③ダイムラーとの交渉が流れてしまったのは残念だが、トラック10台を購入できただけでも御の字と考えようと外務省・商工省・統合作戦本部の考えだ。

購入したトラックは各自動車を開発・製造している企業へ一台づつ送られる。

対象の企業は次の通り。三菱・中島・石川島・東京瓦斯電・実用自動車製造に各一台。陸軍に3台配備。技術本部に2台と言う事になっている。

日本への到着時期は10月の末予定となっているようだ。


④BMWとは航空機に関する開発・試験・生産を日独共同にておこなう事を締結した。

開発拠点に関しては協議した結果、日本でおこなう事が決定。すでにドイツ側の技術者達が日本入りしている。

何故日本が拠点となったのか? と言う理由は次の通りである。

・ドイツ国内の同業企業への技術隠匿が可能

・日本は四方が海に囲まれてり、洋上飛行が可能である。又、航空母艦を所有している為、艦載機の開発ノウハウが蓄積できる。

と言うのが理由らしい。

確かにドイツは航空母艦が無い為、艦載機の開発ができればメッサーシュミットに対して大きなアドバンテージとなる。

BMWとの航空機開発は、日本にとってもwin-winな関係になるようだ。


自動車・二輪自動車に関しての技術供与はダメだったが、日本国内での生産・販売を許してくれるから良しとしよう。

とゆーか、これはBMW的には最大の譲歩なんだろう。特に禁止契約もないようだし。


これからどんな航空機・自動車・トラックができるかがとても楽しみだ。

あ、戦車もいいのが作れるといいんだが……


~~~ 昭和6年 12月31日 鶴岡八幡宮 ~~~


俺は去年に引き続き鶴岡八幡宮に初詣に訪れている。

昭和6年ももうじき終わる。この年も色々あった。史実とは違う部分もたくさんあったが。


まず満州事変は起きなかった。


これは陸軍首脳部に言い聞かせていたのと、主導した石原莞爾中佐が陸軍にいなかったのが大きな理由だ。

もちろん日満の関係が良好なのが一番の理由と考えている。


だがしかし、アメリカがアジア市場……中国を狙っているのは情報部からの情報で判明している。

情報部からの情報では、アメリカは中華民国の蒋介石と林森と接触しているようだからだ。


史実でもアメリカ・ソ連・中華民国の共産党と国民党との関係は複雑だった。

この世界では日本と満州地域の関係が良く、中華民国・国民党との関係強化を日本はおこなっている。

そこにアメリカの横槍が入ってきたと言う事になる。アメリカが本気で支援するとなれば、国力が劣る日本には到底太刀打ちできない。史実通りやっかいな事になってきた。

そこで俺は最近力をつけてきている汪兆銘と接触するように上申した。


これで日本は満州を中心に張学良と汪兆銘。

アメリカは南京を中心をした蒋介石と林森と言う構図になった。

もちろんソ連は中国共産党を支援している。


この世界も中国がアジア・太平洋地区の火薬庫となるのは明白だ。

早く日本はアメリカに立ち向かえる盟友が欲しいと思う……


~~~ 昭和7年 2月29日 統合作戦本部 ~~~


今日俺は空軍士官学校の生徒の成績表を眺めながら1月に発生した上海事変の事を考えていた。


この世界でも史実通り、1月28日に上海にて蔡廷カイ率いる十九路軍・3万人と衝突した。

日本陸軍は1個連隊が上海を警備。衝突時に50名の死者が発生。

現地指揮官はすぐさま米英仏の現地指揮官に援護を求め・防衛線を構築。防衛に当たった。


日米英仏は合同で防衛をおこなっていたが、十九路軍との戦闘は徐々に苛烈を極め、現地の住民も被害が及ぶようになってきた。

結果、日米英仏は民間人を含めた500人以上が死傷。十九路軍は日本からの艦隊増援もあり、半数が死傷して2月20日に撤退をした。事変中、日米英仏は蒋介石に事変への抗議をおこなったが、蒋介石は『自分と蔡廷カイは無関係である』と声明を出し、蒋介石自身も軍を率い蔡廷カイ率いる十九路軍と衝突した。

このおかげで史実より早く上海事変が終息した。


現在は蒋介石の率いる軍が蔡廷カイを追っているとの事だ。


日本海軍も艦隊増援に航空母艦を導入。

初めて艦載機による攻撃を実施した戦訓を手に入れ、目下BMWと各航空機メーカーで検証・開発が続けられている。


そして軍士官学校の女性兵の評価だが、かなりの好評価となっている。

募集した人数が男子より少ないってのもあるかもしれないが、けっこうな人数が初年度の成績が優秀と言う評価がでたのだ。

よって統合作戦本部は次年度も女性の募集をおこなう事を決定。

これも史実とは異なり部分ではあるが、優秀な士官・兵士が増える事は間違いないだろう。


他には2月20日に第18回衆議院議員総選挙がおこなわれた。

これも史実と違い、立憲民政党が圧勝。濱口首相の続投が決まった。

史実では一昨年の暗殺未遂事件時の傷で首相の職を全うできなかった為、この世界ではいまだに元気でいらっしゃる。

もうすぐ新年度に入るが、内閣・軍部共大幅な組織変更・異動は無く現状は維持。

軍部としてはありがたい決定だ。昇進があまり無いのが兵士や他の方には残念だが、今は組織を固める時期だと思っている。


これからもしっかり情報を集め、判断を誤らないようにしないとな……


~~~ 昭和7年 9月1日 統合作戦本部 ~~~


今日から品川に建設していた新・国防省が完成した。

本日から国防省の職員・統合作戦本部・陸軍・海軍・空軍の各司令部が品川の国防省に引越しを開始する。

これで俺もあっちこっちに移動しなくてよくなるから楽になるわけだ。

さて、俺も自分の荷物をまとめるとしよう。


史実では3月1日に満州国が独立を宣言。しかし、この世界ではまだ独立は宣言していない。

大きな理由としては、日本の傀儡国ではなくなっているからだ。

現在は張学良が中心となり、満州地域の安定に貢献。中華民国の騒乱から逃れる人々が満州地域に集まり、勢力を拡大している。

独立も日本がおこなうのではなく、張学良が独自に主要国への活動をおこなっているようだ。


いづれ満州国としての独立が本当に実現するかもしれない。


5月には五・一五事件は発生しなかった。

発生しなかった原因は、主導者の藤井斉大尉が空軍に転籍しているからだった。

又、海軍内でもずいぶんと研修等をおこなっている為か、先の海軍軍縮の不満もだいぶ薄れつつある。

因みに統合作戦本部に在籍している士官は、陸軍・海軍・空軍からの転籍で構成されている。

最終的には元いた軍に戻るが、それまでは別の軍に統合作戦本部からの出向者として各軍で業務をおこなう者も存在している。

統合作戦本部が発足してから2年。この統合作戦本部員の出向制度により、各軍間の壁が崩れてきているようだ。

俺もそのうち出向か転籍があるのかな……?

※ご意見・ご感想ありましたら宜しくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ