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第一話

長めかな?と思ったらぜんぜん少ない感じです。

これも遅筆がなせる業なのでしょうか……



周囲の物音が聞こえる。

誰かが歩く音。自動車が走る騒音。航空機が飛ぶ音。

体を動かそうとするが全身が鉛のように重く、上手く動かせない。


(……ここはどこだろう? おそらくベットに寝かされているようだが)


「うっ……」


目を開けようとした瞬間、膨大な光の量に目を硬く閉じてしまう。


目の不快感が無くなり、今度はゆっくりと目を開ける。

視線の先には、天井から釣り下がっている扇風機と照明であった。


何度か瞬き、視界がはっきりしてきた所で、今度は左右に視線を動かしてみる。


右側を見ると天井が続いており、その先には壁と扉が見えた。

今度は左側を見ると窓があり、その先には突き抜ける青い空が広がっていた。


ふと視界の端から一機の飛行機が飛行しているのが見えてくる。


「あれ……複葉機?」


飛行している複葉機を眺めていると


「目が覚めたかね?」


視線を声のする方へ向けると、そこには40代の白衣の男性が立っていた。


「ここはどこでしょうか」


今度は首ごと視線を向け、白衣の男性……医者に問いかける。


「ここは呉鎮守府内にある軍病院だよ。 気分はどうだね?」


そういいながら脈を測り始める。


「特段悪くはありません。」

(呉鎮守府? 呉? 俺は沖縄沖で……)


急速に意識が覚醒してくる。


「君は呉軍港の沖合いにぽつんと浮いてたそうだよ。 周りには何もなかったし、

何故こんな所に? ってのが不思議だったね。 それからとても変わった服を着ていたね。」


と医師の男性が語りかけてくる。


(まさか、いやいくらなんでもそんなはずは……)


俺はもう一度外を見るべく、首を左へ向ける。

そこには先ほど飛んでいた複葉機が遠く、小さくなっていた。


「あの飛行機に驚いているかね? あれは昨年正式採用された三式艦上戦闘機と言うらしいよ」


その言葉に驚いた顔で振り向く俺。


「ん? どうしたのかね? そんな驚いた顔をして」


小首を傾げながら怪訝な表情をする医師。


「い、今は何年ですか? 」


声が震える。


「今日かい? 今日は昭和5年9月1日だよ」


「100年前……だと?」


そんな馬鹿な。ありえない。

俺は護衛艦ありあけのCICで、中国空軍・海軍の攻撃を受けて……

それに日付は西暦2030年10月29日だったはずだ。


それから軍医が何かをしゃべりかけていたが、何も記憶に残る事はなかった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


呆然とした状態を抜け出し、落ち着いたのは22時を回っていた。


「まだ信じられん……。 今が1930年とすれば、11年後には大東亜戦争が始まる。

俺はこれからどうしたらいいんだ…… 」


考えても答えはでない。

ただ波の音と、時計が時間を刻む音だけが部屋を支配していた。


いつしか俺の意識は暗闇に落ちていった。


~~~ 翌日 ~~~


窓から心地よい光と風が入り込んでくる。


(やっぱり夢ではないな。 ここは100年前の日本。 何故タイムスリップしてしまったかはわからな。 けど、この時代でどうして生きていくか考えないとダメだ。)


上半身だけを起こし、改めて窓の外を眺めてみると軍港には大小の軍艦が見える。

特に大きい軍艦には見覚えがある。

見覚えがあると言っても詳細な艤装なんか覚えていないので、大まかな艦級くらいしか判別できないが。


「あれはたしか……長門級だな。あっちのは6番砲塔まであるから扶桑級かな。」


少し離れた場所に停泊している艦船を見る。


艦橋等は無く全通甲板であるが、それが三段になっている。

俺の記憶に間違いがなければ……


「空母・赤城」


この目に見えている光景は夢でなく現実。つねった頬も痛い。

そうやって呆けているとドアが開き、昨日診察してくれた軍医が入ってきた。


「おや、もう起きてたのかい。それに体を起こしても平気なのかい?」


「はい、だいぶ良いようです。」


「それは良かった。これから朝食だから食べれるだけ食べなさい。これから用意させるよ。」


朝食! それを聞いたとたんお腹の虫の大合唱が始まったのだった。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆


用意された朝食を貪るように食べ、腹の虫も大満足した所で軍医がこう切り出してきた。


「そういえばまた君の事聞いてなかったね。 私はこの呉鎮守府の病院に配属されている寺島だ。」


悲しきかな軍隊生活。自衛隊は軍隊ではない位置づけだけど。

気がついた時には敬礼をしていた。

だって、軍病院って事は医師も軍人だからだ。


「はっ、自分は海上自衛隊 第3護衛隊群所属の三好二尉であります。」


俺の所属と階級を申告した所、寺島軍医は怪訝そうな顔をした。

それはもう不審者を見る目だ。実際不審者みたいなものだし。

俺はひとまず寺島軍医の反応をうかがうことにした。

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