花の反抗心
車をとめて大阪のホテルのフロントに行くと、楠木が、「ちょっと待っててね」と言って、フロントの方に行った。
「やけに立派じゃけ」と、蛍が周りを見回した。
今日は、大阪より日帰りのつもりだった。
「部屋は、一部屋じゃろか?」
蛍が言うと、フロントの従業員が、花たちの方を見た。
「黒澤さん」と、楠木が呼んだ。
「トラブルじゃろか?」
蛍が、黒澤がフロントに行くのを見ながら言った。
黒澤は、今日は、黒っぽい普通のジャンバーを来ている。
谷田がぬけて、河原町のお得意のお座敷のお客様である楠木が来た。
「泊りは、何でじゃろ」と、花が言うと、黒澤がフロントから戻って来た。
「行こう」と、黒澤が花の腰を抱いた。
花が蛍を振り返ろうとすると、楠木が走って来る。
「間違ったじゃけ」
楠木が言うと、蛍が、「どうしたん?」と聞いた。
「同じ名前じゃけ」
「やあ、失敗、失敗」
楠木が、車のエンジンをつけた。
外はもう暗い。
助手席の黒澤が、ラジオをつけている。
「でも、近いじゃけ」
花が、窓を開けようとすると、黒澤が、「開けるな」と言った。
花がすぐに窓を閉めた。
「暑いじゃけん」
花が、不満そうに言うと、楠木が、「花ちゃん、夕飯、何にしたいじゃけ?」と聞いた。
「ホテルで食べるじゃけ?」と、花が聞くと、「どっかその辺」と楠木が言った。
ホテルの部屋のカードキーを入れると、部屋の電気がついた。
今度は、どことなくこじんまりとしている。
それもそのはずで、この部屋は、ツインルームであった。
「ベッドが二つじゃけ」と、蛍が少し興奮している。
荷物は何も持っていなかったので、花はそのままベッドに座った。
蛍は、「お手洗い」と言って、バスルームに行った。
花は、ベッドの上から、ぼんやりと黒澤がテレビをつけるのを見ていた。
食事を済ますと、四人はベッドに二人ずつ座った。
「テレビがブラウン管でなくなったのは、ブラウン管の不足からで、液晶に反対するものがある中、強行突破したのは、インターネットへの移行ということで、アメリカから圧力がかかったからじゃけ」
こないだの広島の話しといい、インターネットというより、電気と言うエネルギー業界が、限界を迎えつつあるのではないかと、思わせる。
テレビを消し、皆が押し黙ったところで、黒澤が続けた。
「女には、人権はないじゃけ」
その言葉と言うのは、女を救う言葉であり、そして、この世界を根底から変える。
「詳しい話は、また明日ということで・・・」
楠木が言った。
「谷田様がいないじゃけ」
蛍の隣には、楠木が座っていた。
「うちは、蛍と・・・」と花が言いかけると、黒澤が思いっきり花を蹴飛ばしてきた。
「ほな、うちは、楠木様と・・・」
蛍が言いかけると、楠木は、「シャワーでも浴びるか」と、立ち上がった。
それと同時に、黒澤が花にキスをした。
「なんと!!」
蛍は立ち上がり、バスルームのドアを開けた。
するといきなり、「きゃー」という楠木の声が聞こえたが、蛍がそのままバスルームのドアを閉めた。
花が吹きだしそうになって黒澤からはなれようとすると、黒澤が、「花は、俺のものじゃけ」と言って、布団に押し倒した。




