悩み多き年頃6
「今回はそんな彼の良心に感謝してしかるべきってことじゃないかしらね」
「・・・・」
「寿里ちゃんがもし彼と男女の関係になっていたとして婚約者の存在を知ったら今以上に眠れない夜を明かしていたと思うわ」
「志桜里ママ、彼に婚約者がいることを知らなかったとしても彼と結ばれていたら私は罪つくりよね・・それって許されるのかな」
「彼がちゃんと責任とれるなら問題ないと思うわ でも騙されて泣きを見るのは大半が女性のほう だから何もなくきれいなままお別れ出来てよかったってそう思うしかないんじゃないかしら」
「そう思えないからいつまでも苦しいのかな 彼に自分の気持ちを伝えていたら・・ なんか中途半端に消滅しちゃったからなのかモヤモヤ感がいつまでも無くならないの」
「婚約者と会ったこと、彼には話したの」
「彼女と鉢合わせした翌日に電話が来て会って話したの 彼は騙したつもりはないし聞かれなかったから話さなかっただけで、彼にとって私は気の合う友人の一人だったから彼女がいるなんてあえて言う必要もないと思ったらしいの 別れ際に彼が頭を下げて君の気持ちに気が付けなく嫌な思いをさせてしまってごめん でも僕は彼女を愛している だから君の・・と言うより彼女以外の好意に応えることは出来ないんだ 本当にごめんって」
「いい勉強をしたと思って気持ちを切り替えるしかないわね それにしてもやっぱり寿里ちゃんの男を見る目は確かだわ 女の気を引くため付き合っている彼女の悪口を言う男はいても女性の前で僕は彼女を愛しているなんて面と向かって言い切る男はそうはいないものよ 寿里ちゃんが言った残念な男の意味がわかったわ 彼に婚約者がいなければ・・そこだけが残念だったのね」
「ママが上手くまとめてくれたから今日はこの辺で・・でもいま思えば残念なのはわたし自身だったのかも・・」
「寿里ちゃん彼とひと悶着でもあったの」
「ひと悶着までいかないけど・・志桜里ママわたしね頭を下げた彼に別れ際あなたを絶対許さないからって声をあらげてしまったの 愛情の裏返しだったのかな 愛する思いが憎しみに変わったのね あの日許さないなんて言わなければ笑ってさようなら出来たのに どうしてあんなこと彼に 私って本当に可愛げのない面倒で厄介な女・・ もしかしてだから彼は怖くなってあんなこと」
「何だか雲行きが怪しくなってきたわね まだまだ予想外の展開がありそうね」