悩み多き年頃3
「志桜里ママわたし時々思うの 人の恋愛話って羨ましいなって思っても所詮他人事だものいいわねぇなんてみんな言いながら心のどこかでハイハイ勝手にお幸せにってところ女性にはあるでしょ なんだか怖いなあって・・だから私はうまくいってる恋愛さえ話せないの」
「寿里ちゃんは女は怖い生き物だって言いたいのね 確かに誰かに発した言葉が心とは裏腹だったりする事ってあるわよね」
「わたし人の幸せを心から祝福できない時もあるけど、だからと言って人の不幸は蜜の味?そういうのには共感できないな」
「正義感ある寿里ちゃんらしい発言ね 不幸のその蜜は人を狂わす媚薬にも変わる恐ろしいものよ 甘いどころか苦くて七転八倒の苦しみをも齎す事もあるのよ」
「そうなんだ 彼とは上手くいかなかったけどそんな苦い蜜を味わうことがなかっただけでも良しとしないと」
「あら大変、寿里ちゃんそろそろ電車の時間よ」
「乗り遅れたら大変だわ急がなくちゃ ママご馳走様また来ますね」
お客との会話は大抵尻切れトンボでそれっきり終わるもの。しかし寿里の話しは連載小説のようにいつも続きがあり志桜里はいつしか寿里の来訪を心待ちにしていた。