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WOMAN  作者: 佳穏
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悲しき再会4

キッチンで入れたカモミールティを口に含んだ志桜里は凛からの手紙をおもむろに開き続きを読んだ。


お母さんの子供が施設に預けられたと信じていたおじいさんは当時の施設や手がかりを探していたのだけど施設はとうの昔に閉鎖され関係者も亡くなっていて専任弁護士から消息不明の知らせを受けて意気消沈しています。お母さんは少しほっとしているようでした。凛もこのままお互いに今いる置かれた場所で今日まで生きてきた人生を歩むのが一番なのではないかと思います。お母さんの子供、凛の姉が何も知らず何も疑わずに生活しているのならその生活に水を差すことはすべきでないと思うから。でもねママ、凛は一人っ子だから本音を言うとお姉さんがいることを知りすごく嬉しかったの、飛び上がるくらいに嬉しくてどんな人かなって考えたら会ってみたくなったわ でもそれって事情を知り得るこちら側の思いなのよね 向こうにしたらお母さんと凛の存在さえ知らないしこっちの感情なんて向こうはこれっぽっちも持ってはいないんだもの お母さんはこれで良かったのよって言っていたけど本当は会いたいはず、だって凛が会いたいと思うんだもの、お母さんは凛の何十倍も思っているわ、お母さんが生んだ子供なんだもの会いたいはずだわ ママ、凛はみんな自分勝手だなあって思ったわ 大人は自分の都合ばかりで理不尽だなって・

隠された人生の裏を知ってしまった凛は子供の時みたいには生きられない大人の世界にもう入っているんだなって少し寂しくなりました。ママ、いろんな事がいっぱいあった凛はショックですがママが言ってくれた言葉通り自分の望みを達成することに集中して頑張ろうと気持ちを切り替えました。9月にお休みが貰えそうですのでママに会える日を楽しみにしています。大好きなママに早く会いたい凛より



この場に凛がいたらこの胸に優しく抱き締めてあげただろうと思いながら手紙を閉じた志桜里は無邪気だった子供の頃が妙に懐かしく感じられた。


私が大人の不条理を感じ怒りを覚えたのは・・愛するあの人に妻子がいて・・それを知りながら交際していた自分 そんな不条理な自分が許せなかった 凛ちゃんが言う汚れのない子ども心を忘れて生きざる得ない大人の世界を私も生きている


志桜里は勝之との思い出を振り返り人道にそう道を生きるため別れを選んで良かったのだ自分に言い聞かせていた。


明日が正真正銘あの人との最後の別れ・探してくれてありがとう そういって笑顔でお別れしよう 


志桜里は今日まで消せなかった未練という憑き物が体から抜けて行くような気がしていた。


 

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