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WOMAN  作者: 佳穏
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悲しき再会3

志桜里は明日お店を臨時休業にして佐々木に会いに行こうと決め【本日臨時休業いたします】の張り紙を用意していた。店のドアにそれを張りつけ急ぎ足で自宅に戻った 着替えもそこそこに志桜里は興信所から来たという男に渡された封筒を開けた。中に入っていた病院名が書かれた書面を見た志桜里は驚きを隠せなかった。


まさか・・これは


そこに書かれてあった病院名に志桜里はいつだったか忘れたが同僚と店に来た凛が話していた会話を思い出した。


「中井君、風邪まだ治らないの」



「熱は下がって楽になったけど夜になると咳がとまらなくてつらいんだ」



「だったら凛のおじいさんの病院の予約とってあげるから診てもらったら」



「たしか凛ちゃんのお爺さんは病院の院長だったね」



「電車から看板がみえる西條総合病院がおじいさんの病院よ」



あの人が入院しているのは西條総合病院で凛のお爺さんの病院・・でもあの人はなぜゆかりもないこんな遠くの病院に


志桜里はお客様として来店した凛と寿里との出会いが偶然でないような気がした 佐々木の入院先が常連客凛の祖父の病院 そして後に明らかになるもうひとりの常連客寿里と佐々木が繋がる事などこの時の志桜里はまだ知らなかった



わたしはこの世から消えてしまう最愛のあの人とどんな顔で合えばいいの 病床のあの人に涙は見せられない あの人との別れのとき私は死ぬほどつらかった それでも私は手を差し出して握手して笑顔でお別れしたのよね だからあの時みたいにまた笑顔で・・


志桜里の頬に一筋の涙が見えた。


今日はなんにも考えられなくて興信所の人に昂る感情のまま会いにいきますなんて言ってしまったけれど・・ あの人との再会が苦しいものと分かっていながら会いに行きますなんてバカなわたし・・

別れたあの人を忘れられず胸がつぶれるくらいの苦しい日々 やっと乗り越え若き日の思い出として心のアルバムにしまったのに・・なのに私は過去を掘りおこし又苦しみの渦に飲まれようとしている


志桜里はあの苦しみだけは二度と味わいたくなかった。明日のことは忘れ気分を変えたいとテーブルに置いてあった凛からの読みかけの手紙を手にした





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