悩み多き年頃24
切った電話を手にしたまま志桜里は寿里と凛のこれまでの経緯から二人の相互関係を考え始めていた。
もし今お付き合いしている寿里の彼が凛の元婚約者だったとしたら・・
その彼が凛のおじいさんによって凛の代わりの女性と一緒にさせられようとしているなら・・
寿里を愛する彼にとって一大事、苦しんでいるに違いない
寿里の実母が凛の母親だとしたら寿里と凛は・・
そうならば凜を後継者に出来なかったおじいさんは当然のごとく寿里に白羽の矢を・・
待って・・だったら寿里と彼の仲は裂かれることない、一緒になれるってことよね
だけど・・推理が真実だとしてもそんなに簡単に行くかしら
「あぁ~だめだめ 憶測でこんなこと考えたら駄目いけないわ やだぁもうこんな時間なの寝ないと体がもたないわ」
ベッドに潜り込んだ志桜里だったが眠れずうつらうつらして朝を迎えていた。目覚ましの音を止めた志桜里はいつもより少し熱めのシャワーで活を入れた。
「若い頃とは違って寝不足は身体に堪えるのよね さぁ気合いを入れて今日もお客様が待っているわ感謝して今日も笑顔で生きますよ~」
ビン詰めのほぐし鮭を具にしたおにぎりとカップのあさりの味噌汁を食べ終えると志桜里は老眼鏡を取り出し新聞を広げた。毎朝欠かさず新聞を読み終えてから店に行くのが日課だった。
開店そうそうにお店はいつもと変わらない活気にあふれていた。志桜里は店内の笑顔と楽しい会話の笑い声にいつも元気をもらっていた。
お客様は私のエネルギーの源、年々独り身の寂しさは身に染みるけど私はひとりぼっちじゃない 何十年も通って来てくれて家族のように心配してくれるこんなに素敵なお客様、仲間がいる
寝不足で体がきつい志桜里だったが今日もお客様に力をもらい助けられながら満面の笑みで客人を迎え入れながら忙しく動き回っていた。