悩み多き年頃,23
「志桜里ママこんな時間にごめんなさい寿里です」
「寿里ちゃんが電話かけてくるなんて初めてね どうした・・何かあったのね」
「仕事が終わって帰ろうとしていたとき亮平さん彼から電話がきて会ってきたの」
「会って何か言われたのね」
「うん・・しばらく会うのは止めようって 身辺整理したいって」
「身辺整理って結婚するはずだった相手とまだもめているとか」
「そうじゃないみたい 詳しい理由は分からないけど」
「お付き合いを止めたいと言われたんじゃないんだもの寿里ちゃんは彼を信じて待っててあげたら」
「私もそう思ったけど、彼はすごく思い悩んでいるみたいだった
どうして私に話してくれないのかなって悲しくなったわ」
「彼は医師だから守秘義務があるから話せないこともあるんじゃないかしら」
「でも彼は医師ではない個人的な事で悩んでいるの 彼から今後の生き方を正すためにどうしても決着つけなければならない事があるんだって聞かされて、私は彼の生き方に口を挟めないし何も出来ないから何にも言えなかった」
「誰のものでない彼の人生だものそうよね、思いつめた彼を思うと辛いでしょうけど寿里ちゃん今は遠くから見守ってあげましょう」
「ありがとう 志桜里ママにばかり甘えてしまって・・ずっと両親は不仲だったからこれまで辛いことはずっと一人で抱え込んで希望もなく生きていた でも包み隠さず何でも話せる志桜里ママに出会えて心の拠り所を得た私はやっと生きるって辛いことばかりじゃなくて楽しいんだって思えるようになったの だから志桜里ママこれからもずっと私を見守って助けてくれる?」
「何いってるの 独り身を貫いて子供がいない私にしたら寿里ちゃんは大切な娘も同然よ いつだって何でも聞いてあげるわ これからも一人悩まないで私に話しなさい」
「ありがとう 落ち着いたら急にお腹が空いてきたわ 何かあったかな」
「こんな時間に食事?」
「だって彼と話していたら食事どころじゃなくなって」
「わからないでもないけど寿里ちゃん明日も仕事でしょ、軽めのあまり胃に負担のない優しいものにして早く休みなさい」
「はい、確かレトルトの卵お粥があったからそれを食べて寝ます 志桜里ママ今夜はありがとう」
「食欲があるなら大丈夫安心したわ 寿里ちゃんの明日が笑顔の一日になりますように お休みなさい寿里ちゃん」
「志桜里ママもね、おやすみなさい」
志桜里は同じ時期にお店にやってきた凛と寿里に得体の知れない因縁めいたものを感じ始めていた。