悩み多き年頃22
自宅に帰った志桜里はバスタオルに洗い髪をくるんだままキッチンでワイングラスに赤ワインを注ぎ入れるとダイニングテーブルに座り込みに凛から届いた手紙の続きを読んでいた。
ママがねお祖父ちゃんに言われたんですって
「凛は自分の道を見つけて私の手から離れた 私は後継者だった凛の代わりを早く見つけて彼と一緒にさせるつもりだ百合子きみも勿論異論はないね」
凛の代わりわたしの代わりなんて彼に失礼な話しだって思ったわ だからママに抗議したら
「凛ちゃんも知っているでしょうけどおじいさんは一旦決めたことは必ず成し遂げるまで諦めないわ だからママなにも言えなかった」
「彼にわたしの代わりをあてがったところで結局二人ともお祖父ちゃんにしたら赤の他人よ そんな血族のない人を後継者にするかしら 誰よりも血脈にこだわっていたのはお祖父ちゃんよ だからお祖父ちゃんは絶対そんなことしないわ 彼のためにもしてほしくない ママには言わなかったけれどわたし渡米前に彼にちゃんと謝りたくて会ってきたの 謝罪の最後に彼に聞いたの 好きな人はいないの 誰にも言わないわ 約束するから正直に話して、返答がないのはいるからだって分かったわ だから私もだけどあなたにも好きな人と一緒になって欲しい 仕事のことは院長に従ったとしても人生を共にする人はこれからは自分で決めてね 院長をねじ伏せるのは大変だけど私は逃げないで戦ったから明るい未来が開けたの あなたにも出来るわ頑張って欲しいからわたし遠くからだけど応援するわ これからもお祖父ちゃんの病院を宜しくお願いしますってお別れしたの」
「凜ちゃん強くなったわね ママも凛ちゃんと同じで彼には本当に申し訳ないと思っているのよ でもね父は血族の相手をもう探しだしているの」
「若い女性で血族のある人なんてそんな人見たことも聞いたこともないからいないはずだわ」
「いるわ 凛ちゃん黙っていてごめんなさい」
ママが話してくれたのは若かりし頃の今も償いきれずにいるママの過ちだった。
ママは独身だった時に家庭のある男性と出会い交際が始まった。家庭ある男性を愛し人道に外れた恋愛に悩み苦しみ続けたママは結婚出来ないのならせめて男性の子供を生みひとりで育てたいと決心したそうなの お腹が目立ってくるとママは海外にいる友人の助けを借り日本を離れて女の子を出産した
ママにそんな過去があって、凛にお姉さんがいるのはとてもショックだったけれどそれよりもママを脅しその赤ちゃんを里子に出しなさいと命じたお祖父ちゃんが信じられなかった
お祖父ちゃんから相手の男性を訴えると言われたママは泣く泣く赤ちゃんを手離すことになった
若すぎたママにはなす術もなかったのね 愛した男性に迷惑がかかることだけは避けたかったママはお祖父ちゃんの条件を飲むしかなかった。だからママはずっと凛の教育に口出してくるお祖父ちゃんに逆らえなかったんだわ そんなわけでお祖父ちゃんは凛のお姉さんを必死に探しているのですが里子に出されたはずの赤ちゃんはお祖父ちゃんには内密にある人に手渡されていたの ママの大学時代の先輩で弁護士になった人が頑張ってくれて赤ちゃんは血がつながった実父のもとに渡ったらしいの ママは他人に渡すならと意を決し妊娠してからずっと連絡を絶っていた男性に連絡をして事の全てを話したそうです 話しを聞いた男性は里子に出されるなら自分が育てようとママの気持ちを汲んで赤ちゃんを引きとり男性の家庭で育てると約束してくれた
手紙はまだまだ続きがあった。次の便箋を捲ろうとしたそのときテーブルに置かれた携帯がブルブル回転始めていた。
こんな遅くに誰かしら・・