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WOMAN  作者: 佳穏
19/28

悩み多き年頃19

「志桜里ママ、子供が欲しくて不妊治療していたお母さんはお父さんに裏切られて許せなかったはずなのに、念願の子を育てられるそれだけですべてを無かったことにしてお父さんを許し暮らしてきた・・お母さんはなぜ別れる選択をしなかったのかしら」



「きっとお母さんはお父さんを愛していたのね だからこそお父さんの子供が欲しくて長い間つらい不妊治療も頑張って来られたのだと思うのよ 寿里ちゃんがお父さんの子供だからこそお母さんは里子に出されるなら自ら育て上げたいと引き取ったんじゃないかしら 勿論お父さんも同じ気持ちだったと思うわ」



「二人同じ気持ちで引き取ったのなら志桜里ママが言う愛があるなら私は笑顔で会話のある家庭にして欲しかったな」



「そうね、そうなんだけど難しいのよね ご両親は大人だから表面的には上手く繕う事ができても内に秘めた愛憎やネガティブな感情は完全には抑え込めないんじゃないかしら そんな燻り続ける感情が消えない限り夫婦関係は修復出来ないのかもしれないわね」



「お母さんはきっと男にとって異議も申さず言いなりの都合のいい女なのね お父さんに憎しみや怒りをぶつけていたら違っていたのかな」



「こじれた関係って当事者にしか分からないことが大半だと思うのよ 第三者が過去を詮索したり振り返ったところで何かが変わる訳じゃないでしょ」



「確かにそうね

お母さんがね、私がお母さんの実子でないことをお父さんに話さないでねって言ったけどそれって絶対おかしいわ 志桜里ママそう思わない」



「わたしの推測なんだけど、お母さんはお父さんの口から寿里ちゃんの実母のことを明らかにされるのが恐いんじゃないかしら」



「こわいって・・」 



「実母の存在が判れば寿里ちゃんが会いたくなるそうなれば血の繋がりのないお母さんにしたらたまらないはずだわ でも寿里ちゃんにはお父さんから出生の全てを聞く権利があるわ 寿里ちゃんが口火を切って一度家族で腹を割って話したらどう」



「今夜お父さんが帰宅したら思いきって話してみようかな あっもうこんな時間 続きはまた今度ね 志桜里ママありがとうご馳走さま」



店を閉めた志桜里は若かりし頃出会った妻子ある男性との悲恋を思い出していた。


あんなに愛した人はあの人だけ・・プラトニックラブのまま別れたわたしの決断はやっぱり正しかったんだわ 誰かを苦しめたり泣かせたりしないで済んだのだもの



志桜里はお店に来てくれる客との会話の折々に薄れ行く自分がたどった人生の記憶が鮮明に甦り懐かしさに涙することも少なくなかった。


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