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WOMAN  作者: 佳穏
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悩み多き年頃16

凛は会社の送別会の帰りに志桜里にお別れの挨拶に来て写真とメッセージが入ったコバルトブルーの封筒を差し出し笑顔で新たなる希望の道に向かい歩き始めた。



寿里は週一で志桜里の店に足げに通っていた。



「ねぇ志桜里ママって昔からモテモテだったでしょ」



「突然どうしたの」



「彼がね志桜里ママのこといろいろ聞きたがるの だからどうしてママのこと聞くのか聞いたらね 志桜里ママにカリスマ性のあるオーラを感じたんですって それから素敵な女性だなって言ってたわ」



「何だかこそばゆいけど褒められたってことなら嬉しいわ」



「彼はとても忙しくて私と合う時間も限られているのね だから僕に相談したいことは志桜里ママを頼って相談しなさいって、女同士の方が話しやすいこともあるだろうって」



さっきまでの笑顔が消えた寿里の眉間にシワが表れていた。



「寿里ちゃん、ずっと前から私に話したいことがあるんじゃないの」



寿里は志桜里を見つめ哀しげな目をしてうなずいた。



「私でよければ話して」



「わたしまだ彼を両親に紹介していないの 出来ないの」



「どうしてあんなに良いお相手なのに ご両親にしたら文句のつけ用のない彼よ」



「わたし父と母が喧嘩しているの見たことないから仲が悪いわけじゃないと思うけど二人が笑ったり会話したりしていた記憶が不思議なんだけど全くないの 思えば物心ついた頃から両親はそんな関係だった気がするわ 二人が笑顔を見せるのは私と会話している時だけでそんな時でも二人は互いを避けているみたいに目も合わせなかったわ 休日の家族揃っての食事は地獄だった・・

わたしが話している時だけは和やかだけど会話がなくなるとまるで通夜みたいなんだもの わたし食事が終わるまで頑張って話し続けるんだけど疲れてしまって自分の部屋に戻るといつもぐったりしていたわ こんな家庭に彼を呼んだら彼がどう思うかとかじゃなく自分が壊れてしまいそうで」



「寿里ちゃんはそんなご両親の関係に疑問を持っていたのなら訳を知りたいと思ったんじゃないの」



「小さい頃からそうだったから知りたいとか思わなかったのかな でもわたしが大学に合格した祝いのお返しの品を届けるようにとお母さん言われて親戚の伯母さんちに行ったとき、伯母さんはお母さんの兄のお嫁さんなんだけど見境なく何でもはっきり言う人だから私はあまり好きじゃないの その伯母さんが私が知らない両親の秘密を口にしてしまってそれで両親のギクシャクした関係がわかったの」



寿里は高ぶる気持ちを抑えようと唇を水平に引き上げ唾を呑み込んでいた。



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