天使_01
公園に置いてある時計には二十三時過ぎを指している、会社員の男は重い足取りでベンチに座る。
眠い、体があつい、特に背中があつい、今日も上司に怒られた、俺に何が足りなっかた、俺は必死に頑張っているのにどうして、どうして、どうして。
会社員の男はベンチに座り、両手で頭を掻きむしりぶつぶつと声をはる。
「大丈夫でしょうか」
「え」
「すいません、あまりにも優れない様子でしたのでお声をかけてしまいました」
会社員の男の目の前に現れたのは金色にロングヘアの男が音を立てずに立っていた、会社員の男は顔をあげ金髪の男を見て美しいと思ってしまった。
「いえ、仕事でやらかして、つ、次やると俺多分クビなんです、最近子供も生まれて、俺どうした方がいいかわからなくて」
「そうでしたか、もし良ければこれを身につけるといい事が起きますよ」
金髪のロングヘアの男は、右手でブレスレットを男の右手に無理やり握らせる、会社員は胡散臭いと思いながらブレスレットを見つめ男の身体は急に固まり動かなくなる。
体が熱い、特に右手の部分から熱くなる息が続かない。妻と子どもに会いたい。
会社員の男の顔からは血の涙がぼたぼたと地面に落ちる、そして次第に体から熱く熱く燃え広がる青い炎。
「哀れな、この人も無理でしたか」
会社員の男はみるみるうちに化け物へと変化していく、その目の前には金髪のロング男がニヤけ顔で会社員の男を見つめる。
「僕の部下にでもなれると思ったのに、天使もどきになって」
化け物になった会社員の男は、金髪のロングヘアの男に目掛けて鋭利な爪で攻撃を仕掛けたが金髪のロングヘア男は指でパッチンと音ならし会社員の男に戻す。
「もう、死んでますが人間としてはね」
男は意味が分からない言葉を言い放ち、ゆっくりと公園から出ていく。