河野サチについて_01
陽だまりが顔にかかり目を瞑ってるだけで、赤色が広がる。気怠さが身体中にかかる。河野サチはスマホを手探りで探る。右手の人差し指に微かに硬い鉄上のものが触れそれをとり時間を確認する。現時刻は8時前を指そうとしていた。
「え、待って、遅刻確定」
河野は慌てて布団を剥ごうと思ったが、昨日から在宅勤務に切り替えていたのを思い出した。昨日後輩であるサカバから在宅勤務を勧められ、生理痛が酷い河野はありがたく在宅に切り替えた。
「やっぱり、シャチの体質になってから雑音がよく聞こえるな」
両手で耳を軽く閉じると同時に深く溜息を吐く、両親が高校の時に亡くなってから10歳離れた弟の学費用の為に、薬品会社から高額の金をえる変わりに治験体としてシャチのDNAの薬を飲んでシャチの体質をえた。
ま、別にいいけど月に150万貰えてるのと、製薬会社がちゃんと国家が運用してる会社だから信用はしてる。シャチの体質だけども耳だけ発達しただけだから余り普段と変わらないし。
河野は仕事モードに切り替え机に向かいあった。
仕事初めてから時間が経ち昼過ぎになった。河野はPCにロックをかけ自分のPCのロック解除を開き今日の身体の異変とバイタルの結果を製薬会社に送る資料を作り始めた。
まさか、サカバちゃんもこっち側サイドの人だと思わなかったな。
河野は製薬会社に貢献してから数年の月日を経つ上に製薬会社から信頼は強い。動物達のDNAが誰に付与されたデータを見せてくれる。そして、ここ最近サメのDNAを入れられたのを知った。
昨日唐突に帰ってください、そして在宅に切り替えてくださいって言われたもんな。あたしが生理になって血の匂いで気持ち悪いと感じたからだろうに。生理にならなかったらなぜ製薬会社の治験に参加したのって問い詰めたかったのにな。
顔を上に向かせ、白い天井を見上げる。
「はるかに鍋作ってもらおうと」
河野は弟はるかにメッセージアプリを使いメッセージを送信する。その数分後「おけ」と返ってきた。
てか、あたしがなんの鍋食べたいか聞かなかったけど大丈夫そう。
社用のスマホから音が鳴り響く、河野はスマホの画面で櫻井と表示されている事を確認し、深く溜息をつき電話をとる。
「河野さん、今お時間よろしいでしょうか」
河野はまだ昼休憩中だぞと心の中で思った。
「なに櫻井なんかあった」
「いや、特にないっすよ。A社の案件河野さんになりましたって感じです」
河野は一気に眉間に皺がよる、A社と言えば製薬会社と繋がっていなかっただろうかと思い、開きっぱなしのPCで検索した結果河野が思った通りの結果がでた。今の繋がってる櫻井の声が聞こえて我に返る。
「河野さん大丈夫ですか、サカバちゃんの写真入ります」
「櫻井ごめん、了解です、後で上には言っとくね。サカバちゃんの写真は内容によってはいる。」
「ありがとうございます。お昼休憩中すません。念の為報告したくて」
「大丈夫よ。ありがとう櫻井、失礼します」
電話を切り、深い溜息をつく。それと同時に製薬会社からメールが来る。メールの内容は天使殺しの案件だった。
「あ、今日も天使殺しか、はるかにメッセージしないと仕事で夜帰れないからって、あたしの鍋」
河野は自分のスマホで美味しいご飯をデリバリーをし午後から仕事に打ち込んだ。