お祭り日和
「いたっ!」
見事命中したリュウのゴム、隠れるのは後に走り回っているアレックスに「隠れろ!」と伝えたリュウ。アレックスは訳も分からずリュウが撃ち込んだ部屋の前を通り過ぎた所で物陰に隠れた。
使用人は頭を押えながら何だ何だと言わんばかりの顔をしながら窓を開けて外を見渡す。
「こらビッグ! 何勝手に小屋から出てるの!戻りなさい!」
小屋から飛び出しているビッグを見付けた使用人は声を上げた。一人の使用人が出てビッグを引き戻してる中、部屋の中からその様子を見る使用人達の姿が。
注意を引き付けた隙にリュウは見付からぬよう、草むらから飛び出してハリーとアレックスの元へと走って向かった。
ハリーがいる部屋の下に来たアレックスとリュウ、ハリーは事前にシーツやタオルで繋げたお手製のロープを出し、ゆっくりと降りてくる。
「お前それ絶対」
「うわっ!」
「……落ちるって言う前に落ちんなよ」
シーツの繋ぎ目がハリーが降りる度に解かれる音がするのを聞いていたリュウは、ハリーに言おうとしたが間に合わず、二階と一階の間から落ちたハリー。
三階の部屋から落ちたのではなくて安心したが、「おいおい」と言いながらヒラヒラと舞落ちてきたシーツに襲われるハリーを引き出す。
「誰かいるのか!」
「やべっ! おい行くぞ!」
まだ外にいた使用人のうちの一人が懐中電灯を照らしながらやってくるのを見付け、急いで三人は草むらの中へと逃げ込み、バレぬよう丘を下って行った。
丘を走って下るのはとても楽しくて心が踊るが、脚が速すぎて上半身が追いつかないのもまた事実。だが、三人には関係無い。転んでも、追いかけられても、笑えてしまう。
マントが飛ばぬ様必死に掴むハリーも、後ろから来てないか確認しながら走るリュウも、無我夢中で前しか見ないアレックスも、笑っていた。
丘を下り終えた三人は村の広場へと出た。美味しい食べ物の匂いが充満し、色んな楽器の音色が聴こえ、村は輝いていた。
「うわー!! おい!! どれから食う!?」
「待てよアレックス、まずハリーの父親がどこにいるのか把握しなきゃハリーは動け……」
「リュウ、アレックスならもう行っちゃったよ」
「あの野郎……」
嫌いなものがないアレックスはまず先に今この村で一番匂いを漂わせている肉の屋台へと向かって行ってしまった。




