お祭りのお手伝い
「……」
「フー……」
「うぅわぁぁ、誰だ!」
「リュウちゃんはまーたこんな所でゴム銃の修理かしら?」
「アレックスかよ……お前それやめろって言ったよな」
耳に息を吹きかけて前にバタリと倒れ込んだアレックスの友人であり、村で二番目に射的が上手いこの少年、名はリュウ。この島一番の狙撃手である男を父に持ち、十二歳ながらも実力を受け継いだかのようにリュウ自身の腕も凄まじい。
黒髪で肌は少し焼けており、切れ長の瞼に緑色の瞳が特徴的だ。
今は小さい頃父親に作ってもらった木でできたゴム銃というもので、正確に的を当てる練習をしている。そして現在、何度も何度も壊れて使い古されたゴム銃を影でひっそり直している所だ。
何故家の中ではなく広場であり、その上建物の影かというと。
「お前また断れずに来たんだろ」
「うっせ」
リュウは父親に忠実であり、父親が言った事全てに同意し反抗はしない。祭りそのものに興味が無いリュウは本来ならば手伝いなんてせずに家に居たはずだが、父親に一緒に行こうと言われて断れずにそのまま来てしまったのだ。きっとリュウには反抗期なんてものはこないだろう。
アレックスは隣にしゃがみ、顔を上げて空を見ながら「めんどくせー」と小言を言った。
リュウはそのアレックスの姿を横目に見て、同様に顔を上げれば「そうだな」と呟いた。
「おーいお前ら! そこで油かいてないで、こっち手伝え!」
こちらに気付いた大人が手を上げて呼ぶ。アレックスとリュウは子供ながらも重い腰を持ち上げ、影から一歩足を踏み出した。
「アレックス! リュウ!」
今立っている場から見て左、二人が産まれるずっと前からある古びた本屋から出てきた赤毛の少年。 分厚い本を二冊抱え、手を振りながらこちらに笑顔で走ってきている。
だが案の定、二人よりも体は小さく、おっちょこちょいな少年は分厚い本が体の重心を奪い、地面に足を釣られて顔から前に転んでしまった。
アレックスとリュウは「ハリー!」と大声を出し、駆け寄った。
「おいハリー、大丈夫か?」
「いてて……うん、大丈夫!」
「お前またこんなでっけえ本買ったのかよ、前も買ってただろ」
「あれはもう読み終わっちゃって……それより二人共お祭りの準備してるの?」
先に名が出てしまったが、その名の通りこの少年はハリー。丘の上の屋敷に住み、世界でも名が知れた資本家、エドワード・カリオスの一人息子である。
赤髪でクルッとした癖のある髪、真っ白と言うよりは少しピンク味がある柔らかい肌、青い瞳を持っているハリー。




