表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
少年達の冒険記  作者:
11/11

決意の表明

 アレックスは服の襟を馬の獣人に掴まれてトロッコに投げ込まれ、牛の獣人はレバーを掴んでいた。 アレックスが投げ込まれると二人は立ち上がり「いって」というアレックスを酷く心配する。


「アレックス・アトル、私についている血は誰のだと思う?」


 背を向けたまま顔を上げ、アレックスに問い掛けたエドワードは何故か少し震えていた。


「は……?」

「手こずったが、ビッグのご馳走となればまたそれも良い」

「お前……お前っ、お前何言ってんだよ……」

「夫と同じ最期を迎えるとは、またこれも運命というやつだろう」


 エドワードはしばらく肩を震わせた後「ガハハハッ!!」と地下通路に響き渡る程に笑った。


 その時、牛の獣人はレバーを引き、ゆっくりとトロッコは奥へと動き始める。

 立っていたアレックスの体はトロッコの動きでゆらゆら左右に動き、魂が抜けたように力が出なくなってしまったアレックスは後ろに倒れた。


 「しっかりしろ!!」とリュウは言うが、アレックスには聞こえない。


 トロッコはゆっくりとエドワード達から遠ざかり、三人はどんどん暗闇へと吸い込まれていくようだ。

 その時、ガタンッと音と共にトロッコは速度を増して走り出した。


「やばい、ハリー!! これを止める方法はねぇのか!!」

「ブレーキがあれば良いんだけど、このトロッコにはそれが付いてないんだ!!」

「くっそ……アレックス!! 今は正気を取り戻せ!!」


 ただの運搬用トロッコにはブレーキなど付いておらず、トロッコは速度を上げて走り続けている。


 この先に何があるか分からない恐怖と不安、リュウはその感情に襲われながらもアレックスの頬を何度も叩いて正気を取り戻させようとするが、開いた口が塞がらないまま一点を見つめるアレックス。


 ハリーは本で読んだ知識を何とか思い出そうと頭を働かせるが、その間にもトロッコは急カーブや急降下を繰り返し、ハリーの頭の中には恐怖しか残されていなかった。

 その時、ハリーは奥にある一つのレバーを見つけた。線路を切り替えるレバーだ。

 

 レバーがある場所は急カーブも急降下も無い真っ直ぐな場所、目を必死に凝らしてレバーを動かした後の道を見て考えるハリーは、一つの方法を思いつく。


「リュウ!! いい方法がある!! トロッコは止められないけど、ルートを変えることはできそうだ!!」

「それって良い方法なのか!? ルートを変えなかったらどうなる!!」

「きっとあいつらはこのトロッコがどこに行くのか知ってるはずなんだ!! だから僕達が乗っているトロッコを動かした!! このままルートを変えなかったら僕達は死ぬ!! だからせめて!! せめて少しでも生きる希望がある選択をしたいんだ!!」

「……分かった!! ならどうすればいい!!」


 トロッコの速さで普通の声量じゃ聞こえない、その為に大声で話しているも喉の限界もある。喉が少し痛みながらもハリーはリュウに伝えた。


 リュウのすばしっこさは誰よりも知っているハリー、そこでハリーはレバーのところでリュウが降り、線路を切り替える。切り替えた後にトロッコはレバーがある部分の真下を通り、そこで飛び降りて合流する。後は願うのみになってしまうが、ハリーがリュウに伝えた作戦はこうだった。


「チャンスは一度だけ!! レバーの所に降りたら五秒以内に動かして!!」

「分かった!! それとハリー!! 生きれたらこいつぶっ飛ばして良いか!?」

「だめ!!」

「分かった!!」


 トロッコが少し遅くなった瞬間リュウはレバーがある場所に飛び降りて足をつき、力いっぱいにレバーを引いた。


 だが、繋ぎ目部分が錆び付いてしまっているのか中々動かず、顔を赤くさせて指先を白くさせるまで力を入れても動かない。


 あと一秒、その時レバーは動いて線路が切り替えられた。だがレバーが急に動いた勢いでリュウは線路の上に飛ばされ、左からは加速し始めているトロッコが近付いてきている。

 リュウは急いで体を起こすがどこにも逃げれない。絶望しきった時、トロッコから手が伸ばされ、リュウは手を掴んでトロッコの中に引き寄せられた。


「リュウ! 大丈夫!?」

「助かったぜハリー、ありがとう」


 次第に向かっている先に光が見え始め、トロッコは一直線にそこへ突き進んで行き、光の先には野原が広がっており線路は野原に出た瞬間途切れた。


 三人はトロッコから放り投げられるように落ち、その先にある大きな岩に激突したトロッコは粉々になってしまった。


「いっ……あれ、ここは」

「アレックス!!」


 野原に放り投げられた三人のうち最初に起き上がったのはアレックスだった。頭を触りながら何が起こったのか状況が分かっていないアレックスにハリーは駆け寄り、無事かどうか体が痛みながらも心配する。

 フラフラの状態で二人の元へ歩くリュウはアレックスの隣に腰を下ろし、頭を軽く叩いた。


「これくらいは許せよな」


 疲れきった様子を見せるリュウは、叩いた後に野原に寝転び一息つく。


 アレックスはそんなリュウを一度見て、空へと視線を移した。「アレックス?」と、空を見ながら何も話さないアレックスの名前を呼んだ。


「……あいつをぶっ飛ばして、母ちゃんの仇を討ってやる」

「……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ