追放された
「エド…。お前を勇者パーティーから追放する!」
「…そうか、わかった。」
「…わかった?」
「あぁ。今日まで世話になったな。」
俺はそう言って、勇者パーティーから追放された。
…ようやく、解放されたんだ。
そもそも、俺は勇者パーティーにいれるような存在じゃない。
確かに王国の四大公爵家に生まれはしたが、やる気もなく、
勘当同然で母親の実家である辺境伯家に下げ渡された。
辺境伯は、優しくてやる気もなく、いつもぐうたらしている俺を無理に何かやらせるわけではなく、いつも寄り添いやりたいことをなんでもやらせてくれた。そんな優しさに恩を感じた俺は少しでも何か返したくて、貴族学校に首席で入学した。
といっても、そんな天才ってわけでもない。この世界の教育水準は至って普通だ。
あぁ…言い忘れていたが、俺は転生者だ。
ただ、女神様のうっかりミスで殺され、この世界に転生した。勇者みたいな物語の主人公みたいな能力はない。
俺にあるのは、賢者の称号、剣と弓のスキル。
何もチートスキルがあるわけではない。剣と弓に至っては、学校の部活で経験があったから、同程度の力だ本物の武具でも発揮できる程度。賢者の称号は、賢者の魔法知識を得ることができるというものだが、難しすぎて何もわからない。
ではなぜ、首席合格できたのか。それはこの世界の学問がどういうわけだか、日本の言語に似ているからだ。その上、レベルが低い。他に得意なこともなかった俺は、勉強で難関国立大学に進学した。そんな俺にとって入学自体はそんなに大変じゃなかった。
辺境伯家の皆は、俺自身以上に喜んでくれた。嬉しかった。
でも、貴族学校では目をつけられるかもしれないので、卒業まで陰キャを貫き通し、友達ゼロで学校生活を終えた。
まぁ、首席卒業だったわけだが、卒業生達もあいつ誰だよ?
みたいな感じだった。
俺はその後、学校でよく世話になっていた教員の方の勧めで宮廷魔道士の試験を受け、見事に合格した。魔王国との国境線沿いを守護している辺境伯家の次男になっていた俺は、高待遇で迎えられた。これが平民だったら虐められていたのかもしれない。
その後も、俺は平々凡々と業務をこなしていたつもりだったのだが、偶々暇つぶしに書いていた魔法発動時の詠唱省略及び無詠唱に関する研究論文を宮廷魔道士長に見つかった俺は、
魔王討伐のために地球から召喚された勇者、賢者、重戦士と王国の王女である聖女の4名からなる勇者パーティーの教育兼同行を命じられた。
因みに俺が書いていた研究論文は、俺の名のもとに国王陛下に認められ、世間に発表された。
それから俺は、賢者エドワードと呼ばれるようになった。
とはいっても、俺は勇者パーティーの奴らのように崇高な目的意識なんてない。だから、戦闘もテキトーにこなしていた。最初は手加減していても明らかに俺のほうが強かったため、何も言われなかったが次第に俺に向けての文句が増えていた。
そもそも彼らの目的意識は、魔王討伐なんかじゃない。もとの地球に戻りたい。それだけだろうが、これまでの王国史を通して、勇者パーティーが帰ったとする記述はない。
まぁ、召喚は帰れないのがお約束である。
そもそも、こいつ等は失言や言動が勇者向きではない。これまでに何度問題行動を起こしてきたことか。これでは国内問題であったため、俺と王宮で穏便に事を沈静化してきたが、今後は周辺各国を巡っていくことになる。
それを俺抜きでやれるもんならやってみるが良い。
俺はもう決まってやる義理もない。以前から、義父から
魔王軍に対する討伐軍の魔法士部隊への将軍就任依頼が来ていた。魔法士たちは顔馴染なので俺ならば反発することもなく統率ができると。
そこで俺は、久しぶりに帰郷することにした。
申し訳ありません。続きを書いていたのですが、2000字を超えた時点で急に文面が消失しました。そこで私のやる気も消失しました。そのため、この作品はお蔵入りとなります。
今後も更新されることはありませんので、お気をつけください