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異世界転生?いえ、元世界転生です!  作者: 剣原 龍介
少年の章

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第四話・王都到着

 翌朝、空の上は天候も良く魔導飛行船の運行には何の支障なく航行を続けていた。

 アレックスは目を覚ますと壁の時計に目を遣った。

 いつもの時間に目を覚ました事を確認すると、ベッドから起き出して船窓から差し込む朝日に目を細めた。

 そうして窓の外に映る景色を一望してから、朝の日課である体操を始める。

 体操しながら、体内の霊力を充実させて気を練り上げていく。

 そうして体操を一通り終えると、次は瞑想に入る。

 体に宿る魔力を感じ取り、体内を循環させて練り上げて増幅させていく。

 こうして、気と魔力の増大を目的とした訓練も数年続ければなれたものだった。


 朝の日課の訓練を終える頃には、扉の向こうから人の気配が伝わってくる。

 それに合わせて訓練を終了すると、ベッドに腰掛けて人が来るのを待つのだった。

 程無くして、控えめに扉をノックする音が聞こえる。


「はい、どうぞ」


 アレックスが入室を許可すると、メイドが扉をくぐってやってきた。


「アレクサンダー様、おはようございます。朝の身支度を整えに参りました」

「はい、よろしくお願いしますね」


 そう言って、アレックスは寝室に備え付けの鏡台に移動する。

 メイドが用意した服に着替えさせられた後に鏡台の前に座って、髪を梳ってもらう。


「本日の御髪はいかがいたしましょうか?」

「貴方が良いと思うようにしてください」

「畏まりました」


 メイドは、しっかりと櫛を通した金髪を幾つかの房に分けて編み込んでいく。

 サイドを編み上げて後ろへ流し、後ろ髪を纏めて編み込んでいく。

 程無くして髪型が定まっていった。


「アレクサンダー様、御髪が整いましてございます」

「はい、ありがとうございます」


 ノックの音が響き、メイドが扉へと向かう。


「アレクサンダー様、朝食の準備が整ったそうでございます」

「分かりました。それでは向かいましょうか」


 そうして、アレックスはメイドを伴って寝室を後にしたのだった。



……

…………

………………



 アレックスが等船室区画に設けられた食堂に到着してしばらくすると、キャサリンがやって来て朝食が始まった。


「母様、お昼前には王都に着くのですよね?王都ってどんなところなんでしょうか」

「王都セントラルはこの国の中心で、この国で一番大きな都市です。残念ながら今の領都スプリングフィールドでもその規模では敵いませんね。四月からあなたが学ぶ事になるアウレアウロラ学園があるのも、その王都なのですよ」

「学園ですか……。何があるのか、今から待ち遠しいです」


 溢れんばかりの笑みをたたえるアレックスに、キャサリンは思わず苦笑を浮かべてしまう。


「学園に入学すると、生徒は全員が入寮しての共同生活になります。学園は、その理念から学内においては身分の差はなく平等に扱われるのが基本です。王都に着いたら、一人で身の回りの事が出来るように練習が必要ですね」

「大丈夫ですよ、母様。私は一人でもきちんとできるから平気です」

「まぁ、頼もしい事ですね」


 穏やかな雰囲気で朝食が続く。

 やがて、食後のお茶が運ばれてきた。

 二人は、給仕が入れたお茶に口を付けていく。


「母様、王都に着く時まで展望室に見に行ってもよろしいですか?」

「構いませんよ。着陸しても、下船するまでには少しばかり時間がかかりますからね」

「ありがとうございます、母様。それでは、行ってきますね」


 アレックスはそう言って、お茶を飲み終えると食堂から出ていくのであった。



……

………

…………



 展望室に行くと、室内にはまばらに見物人がいるのが見て取れた。

 アレックスは、上層フロアから下を見渡して目的の人物を探していく。

 展望室の下層フロアを見回せば、目的の人物が一目で見て取れた。

 目的の人物を見つけ出したアレックスは、迷わず下層フロアへと降りていった。


「マリーさん、おはようございます」

「あっ、アレックス様、おはようございます」


 アレックスが声を掛けると、マリーははにかんで笑みを浮かべた。

 アレックスは、そのままマリーの斜向かいの席に腰掛けてマリーに向き合った。


「マリーさん、今日のお召し物も素敵ですね」

「あっ、あのアレックス様のお召し物も、とても素敵似合っておいでですよ」

「フフッ、ありがとうございますね」


 アレックスが手を上げて合図をすると、展望室に詰めている接客係が近寄ってくる。


「お茶を……、マリーさんも?」

「あっ、はい、いただきます」

「では、二人分お願いします」

「はい、かしこまりました。少々お待ちくださいませ」


 係員がお茶を用意しに席を離れている間に、アレックスはマリーに話しかけた。


「もうすぐ王都に着く頃合いですね。この展望室からは王都の街並みがよく見えるという話ですけれど、王都はどんなところなのでしょうね」

「とても大きな都市で、すごく立派なお城が建っているそうですよ。他にも、王都には湖があるのだそうです。お魚がとっても美味しいって、お爺様がおっしゃっていました」

「そうなのですか。それは楽しみですね」


 アレックスとマリーが雑談に花を咲かせている間に、係員が用意したお茶を持って来た。

 テーブルに置かれたお茶とお茶菓子に、マリーは小さく感嘆の声を上げていた。


「お客様、魔導飛行船は、もう既に王都が望める位置に来ております。もう間も無くすれば、王都の全景がよく見えるようになるかと……」

「そうなのですか?分かりました。ありがとうございます」


 係員の言葉に礼を返して、アレックスは改めて外の景色を眺めた。

 遠くに見える街並みが、魔導飛行船が進むにつれて徐々にその姿を現していく。


 上空から見える王都は、噂に違わぬ大きな都市だった。

 その王都セントラルは、湖に接する様にして建設されている。

 長大な城壁が都市を囲み、中央の丘には白い外壁の城が建っているのが見て取れる。

 王都の北に位置する湖からは真直ぐに一本の河が都市を貫くように流れており、丘の麓からはその河と交わるかの様に二本の水路が放射状に流れている。

 それによって、都市の中に水路に囲まれた大きな三角形の地形が出来ているのが、王都セントラルのとても特徴的な造りでもある。

 他にも、上空から見て特徴的な建築物としては円形闘技場コロッセオがあげられるだろう。


 徐々に高度を下げていく魔導飛行船からは、王都の賑わいがだんだんと見て取れるようになっていった。

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