表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/9

2人への誓い

―約束の日―

週末の昼時、大吾とゆりはある駅前で待ち合わせをした。

20分前に大吾は到着し、ゆりの姿をまつ。


決意はしたけれど、やっぱり緊張する。

腕時計を何度も確認する自分。


すると約束の5分前にゆりの姿が見えた。


『ごめん!電車が遅れちゃって』ゆりは小走りで大吾に駆け寄る。


「いやいや、約束の時間前だから遅れてないです(笑)」笑いながら大吾は言った。


『だって、絶対に大吾は約束の時間前にくるのを知っているから!』申し訳なさそうに謝るゆり。


大吾は、自分のことを知り、行動してくれることに嬉しかった。


「大丈夫!ほら行きましょう!」大吾はそういい、アプリでタクシーを呼んだ。


『そういえば、どこいくの?』ただ駅前集合としか聞いていなかったため、大吾に聞く。


「まだ秘密!到着したらわかります!」人差し指を口に当て、意地悪そうに答えた。


ゆりは教えてよ!というも、教えてくれない大吾に諦めタクシーに乗車した。


30分後…ある場所へ到着した。

そこは知っているところだった。


【祈平霊園】


ゆりは途中から景色で、向かっている場所に気づいた。

気づいた瞬間、大吾の顔を見たけれど大吾はニコっと笑って何も言わなかった。


2人はタクシーを降り、桶とお線香をもって優人に会いに行った。

まずはゆりからお線香をあげる。

優人と心の中で言葉を交わす。


―優人……―


数分間優人と話した。そして後ろに下がり次は大吾の番。

ゆりは後ろから大吾の姿を見つめた。


なんで今日ここにきたのだろう…という疑問をもちながら。


するとお線香をあげ終えた後、大吾が優人に話しかけた。


「優人さん、伊藤大吾です。先日は情けない姿をみせてしまいすみませんでした。

…今日は優人さんに伝えたいことがあってゆりさんと来ました。」


「僕は優人さんのような、優しくてみんなから愛されるような人間ではありません。

不器用だし、人見知りだし。優人さんには一生かないません。」


「…それでも、ゆりさんを世界で一番愛しています。優人さんの変わりになんて到底なれないけれど、ゆりさんを全力で守らせてください!生涯をかけて守ると誓います!」


思いがけない言葉に、ゆりの瞳から涙がこぼれた。


次に大吾はゆりの方をみた。ゆりの両手を優しくぎゅっと握り、こう言った。


「ゆりさん。僕はゆりさんのことが大好きです。いつも頑張っている姿を近くでみてきて、力になりたいって思うようになりました。真面目で他人想いで。でもおっちょこちょいな一面も愛おしくて。ゆりさんを想う気持ちが大きくなりました。」


「優人さんの話を聞いて、正直一生叶わないなって。こんなにもゆりさんに愛されている優人さん羨ましいです。」大吾は優人を見る。


「それでも、僕はゆりさんのことが大好きです。この気持ちだけは絶対に諦めたくないって…ゆりさんの一番になれなくてもいい。優人さんを心から愛するゆりさん。そんなゆりさんも全てが大好きなんです。」


一呼吸ついて、大吾は言った。


「そばでゆりさんを守らせてくれませんか?」


大吾の言葉を聞いて、ゆりの心にはいろんな感情が溢れた。


優人への想い。大吾への想い…

それぞれへの想いが溢れ、胸をぎゅっと締め付けた。


大吾になんて言葉を返していいのかわからず、ただただ涙が止まらなかった。


泣き止まないゆりに、大吾はぎゅっと抱きしめた。


ゆりは大吾の胸の中で

『…大吾…大吾』と名前を呼ぶことしかできなかった。


その度に大吾は「うんうん」と優しく頷く。

「ゆっくりでいいから」とゆりが落ち着くまで待った。


しばらくたち溢れた感情が落ち着いた。

ゆりはそっと顔をあげた。


すると、この世界にいるはずのない優人が大吾の後ろに立っているのが見えた。

それは夢かもしれない。自分にいいように描いた幻想かもしれない。

だけど、ずっと会いたかった人がそこにいた。


優人は優しく微笑み、ゆりの頭をなでた。

そしてゆりの耳だけに優人の声が聞こえた。


―ゆり、泣かないで。笑った顔が一番可愛いんだから。

俺のことをずっと想ってくれてありがとう。

……そばにいられなくてごめんな。

でも…悔しいけれど、伊藤くんいい男だなぁ!

ゆり、愛しているよ。これからもずっと。

でもな、愛しているからこそゆりには幸せになってほしいんだ。―


そして最後に、大丈夫だよ、と言い、大好きな笑顔とともに姿が見えなくなった。


“幸せになってほしい”

私も逆の立場だったら、優人の幸せを心から祈っていただろう。


私は優人に心配かけたくなくて、また涙がこぼれたけどいっぱいの笑顔を向けた。

そして心の中でありがとう…大好きだよ。と伝えた。


いつか、『優人、ゆりは幸せだよ。心配しないでね!』って伝えられる日くるといいな…


…………

「ゆりさん…?」大吾が心配して声をかける。


ゆりは、心に想う感情全てを一つ一つ言葉にして大吾に伝えたいと思った。

優人への想いも、大吾への想いも…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ