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私は大吾を幸せにできない


一方ゆりは、プロデューサーの須藤や担当スタッフと次回の撮影について打ち合わせをしていた。


「では、このイメージで進めていきましょう。」会議が終了し、各々片付けをする。


須藤から声がかかった。

「最近カメラマンの伊藤君と仲いいみたいじゃん」ニヤニヤしながら聞く須藤。


須藤はゆりの大先輩ではあるが、昔から仲よくさせてもらっている。


ゆりはジロっと須藤を見て、『どこの風の噂を信じているんですか。』『ほら、早く片付けてください』と呆れたように言う。


「冷たっ!俺にだけ辛辣じゃない?」いつものくだらないやりとりをする。

冗談まじりの言葉のキャッチボールが終わったあと、須藤から思いがけない言葉を耳にする。


「でも今のゆりちゃんは、幸せそうだけどね。」ふっと笑い、ゆりの頭をガシガシ撫でた。


言葉に詰まったが『須藤さん、セクハラ。』と、ごまかした。

その言葉が思っていた以上に、グッと胸に刺さった。


―私だけは、幸せになってはいけない―  

ゆりの頭の片隅には、この言葉がある。


また帰り際に須藤にこう言われた。

 

「過去の恋愛に何があったか知らないけれど、

伊藤くんがゆりちゃんを想う気持ちを、いつまでもはぐらかすのだけは相手に失礼だぞ。

もし答えがNoなら相手に期待をもたせるような言動はしちゃダメだ。」


『そうですよね…』


本当は大吾が私に好意をよせてくれていることに気づいていた。

だけど、それを受け入れ、なんて答えればいいのか分からなかった。

だからいつも冗談にして流していた。


私が愛しているのは優人だけ。これからもきっとそう。

大吾が私にくれる幸せを、きっと返すことができない。

大吾には、大吾を一途に思ってくれる素敵な女性と歩んでほしい…

私じゃ大吾を幸せにできない。


「でも、伊藤くんなら全部ひっくるめ、受け止めてくれると思うけどな。」


『須藤さん…』


「バツ2の恋愛大先輩からのアドバイス、きちんと胸に刻めよ~」

ゆりの背中をたたき、笑いながら須藤は会議室から出ていった。


『ありがとうございます!!須藤さんの言葉に少し心が楽になりました!』


ゆりは資料を鞄に片付け、深呼吸をした。


優人…大好きだよ。これからもずっと…

その気持ちはこれからも変わらない。


だからと言って、大吾の気持ちから逃げちゃダメだ。

きちんと向き合おう。


そう心に決めたとき。

ブーブー…ブーブー

携帯のバイブ音が鞄から聞こえた。


『電話?誰だろう?』

携帯の画面をみると、大吾からの電話だった。


ゆりは一呼吸をしてから電話にでる。


『…もしもし?』


「ゆりさん今どこにいますか?ゆりさんに会いたいです。」


大吾の声は急いでいるように感じた。

何かあったのではないかと、胸騒ぎがした。


『何かあったの?大丈夫?』


「ああ!すみません!大丈夫です。ゆりさんに伝えたいことがあって。」


大吾のストレートの言葉にぎゅっと胸が締め付けられる。


『うん…私も大吾と話したいと思ってた。』


この日は都合が合わず、2人は週末に会う約束をした。


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