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色彩女王シリーズ

白と黒の戦い、災害が通りすぎた後には何も残さない

作者: リィズ・ブランディシュカ



 黒の女王は微笑んだ。


 白の女王も微笑んだ。


 二つの存在は、似て非なるもの。


 互いが敵で、互いが同志。


 けれど、その道は決して交わる事がない。


 一時的に道が交わったとしても、過去という時間の存在が、一つになって歩む事を許さない。





 黒の女王は、世界を守りたかった。


 自分が生まれ育った世界を何が何でも守りたかった。


 ユートピア。


 何でも願いが叶う素晴らしい町。


 ユートピアは、黒の女王の生命力で動いていた。いつか女王の命がつきるまでの楽園。


 黒の女王は、なによりもその世界を愛していた。


 だから、襲い来る者達から民達を守り、必死で戦った。


 しかしある時にやってきた存在、白の女王が全てを壊した。


 黒の女王は白の女王を憎み、どこまでも追いかけた。


 いつかその心臓を壊すまで。


 黒の女王は死ねないし、死ぬことを許さない。





 白の女王は、世界を壊したかった。


 自分を利用し、裏切った世界。


 内に秘めた壮絶な破壊の力は、存在するだけでエネルギーを生み出すから。


 多くの人を富ませていた。


 しかし白の女王はそれが許せなかった。


 全てを壊し、そして旅立つ。


 その宇宙のどこかに、故郷と似て非なる世界が存在すると知って、求め続けた。


 いくつもの可能性が分岐した、違う世界。


 見つけた白の女王は憎む、それすらも許せない。


 だから壊して、壊して、ずっと壊しまわっていた。


 その途中でやりあった黒の女王とは、力が拮抗していたため、決着がつかない。


 二者は、何度も出会い別れる事になった。






 黒の女王、白の女王。


 二つの存在は敵だけれども、同志であった。


 誰にもその戦いを邪魔させたりはしない。


 二人はいつもそう思っている。


 だからいつか、それが二つの女王の存在目的となった。


 やがて、いくつもの世界が壊れて、再生した頃、まったく知らない存在が住み着いた。


 邪悪なる影。


 黒の女王は影を倒そうとして、白の女王も影を倒そうとしたが、どちらも倒しきる事はできなかった。


 二人の女王は、互い以上の力である影に苦戦を強いられる。


 だから、手を組むことにした。


 敵であり、同志である二つ。


 二人の女王は力を合わせてこれを撃退。


 邪悪なる影は別の場所、遠くへとおいやられた。


 邪魔者がいなくなった女王たちは、互いに最後の力を出して、勝敗を決める。


 白の女王が、白き息吹で全てを凍らせ、黒の女王は黒の嵐で全ての時を止めさせる。


 二つの王の力が縦横無尽に炸裂し、その結果いくつもの世界が巻き添えをくらい、大破壊が起きた。


 たくさんの生命が、消え、命の火を消していった。


 そこにはもはやかつての白の女王の目的も、黒の女王の目的も存在しない。


 やがて、最後に立っていたのは、どちらでもなかった。


 大破壊をまねいた女王は、どちらも互いの心臓を破壊していた。


 彼女達は消えていく。


 破壊尽くされた世界の中で、何を残す事もなく。


 ただ、互いの満足だけを胸に刻んで。



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