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ひとりでできるもん

目を覚ますと、俺はセックスをしないと出られない部屋に閉じ込められていた。


6畳ほどのフローリング床に、シンプルなパイプベッドにハート柄の布団が敷いてある。

窓が完全に鋼鉄で塞がれている以外は一般的なアパートそのもの。


玄関のドアは銀行の金庫のようなゴテゴテした奴になっているし、

ユニットバスの窓も当然のように鋼鉄で塞がれていた。


「閉じ込められたのか」


いったい誰が?

なんのために俺を?


ごく普通の童貞高校生である俺を閉じ込めて、いったいどんな目的があると言うんだ。

身代金目当てならもっと良い奴が他にいるだろうに。


キッチンには蚊取り線香みたいなコンロがあり、蛇口をひねれば水も出る。

ご丁寧に冷蔵庫には食材や飲み物も入っている。

一人暮らしには憧れていたけれど、こんな形では望んでいない。


ひとまずベッドに腰かけてペットボトルのジュースを飲む。


スマホ……は持っていない。

寝ている間に取り上げられたようだ。

閉じ込められたのなら当然か。


家電話も勿論無い。

と言うより電話の線を刺す所も、コンセントすらこの部屋には無い。


照明を外せばコンセントぐらいあるのかも知れないけれど、窓が全て塞がれた

真っ暗な空間に閉じ込められる気にはなれなかった。


そもそもコンセントを使うような家電も道具もここには無いしな。


壁に掛けられたテレビをつけようと、テレビのリモコンを探すが見当たらない。


テレビの主電源スイッチもどこにあるのかわからず、悪態をついていた所、

唐突にテレビの電源が入った。


「セックスをしないと出られない部屋へようこそ~!!」


身代金目当てならもっと良い奴がいるだろうと考えた時、真っ先に思いついた顔がそこにあった。


「テンキチか」

金山天吉。小学校の同級生だ。


正確に言うと大金持ちで天才が何周もしたバカと言う事で

謎の発明品と密輸したアレコレで色々な騒動を巻き起こし、

私立の金持ち小学校を一族郎党永久追放されて俺と同じ公立小学校に来た、

ギャグマンガにしかいないような完全に紙一重方面の奴だ。


「はーい!超天才児にしてたかし君の親友である金山天吉様でーす!!」


受け答えが出来る辺り、マイクなりカメラなりがどこかに仕掛けてあるのだろう。


「たかし君! 今日は親友であるボクが君に素晴らしいプレゼントを用意したんだよ!」


テンキチは一回話しかけただけでインプリンティングでもされたのか、妙に俺になついて来ていた。

こいつの言う「素晴らしいプレゼント」は過去の例で言うと給食で女体盛りを出そう運動や、

全体朝礼でのX-VIDEO放映企画が潰された事への逆恨みからのAV女優100人授業参観企画とか、

あとはこち亀では翌週には無かったことになるタイプのアレコレだ。


つまりロクな物ではない事を俺は知っている。


「一応聞いておこうか。プレゼントとやらを」


「たかし君の幼馴染で片思いの戸成野愛子ちゃん!」

「なにッ!?」

「ほらほら。顔色が変わったね。たかし君って愛子ちゃんの事好きだよね」

「ばっ、ばっ、おま。あっ愛子の事なんかぜっ、ぜんぜん好きとかじゃねえし。ねえし」


愛子とは幼馴染で、俺は小学校の卒業アルバムとゴミ箱を妊娠させる勢いでどうこうしているのは事実だが。


「まあ、そんな恋慕の情を伝える事もできないヨワヨワのたかし君の為に、

このセックスをしないと出られない部屋を作ったって訳さ!!」


なるほど。

仕組みはわからないが、そういう部屋のネタがあると

ネットマンガとかで読んだ気がするぞ。


さすがは俺の親友を名乗る事はある。

犬よりは役に立つな。


だが、そのプレゼントには盲点があるようだぞ。


「それで、肝心の愛子はどこにいるんだ?」

「…………あっ」


おい、なんだその間と「あっ」は。


「部屋の完成がうれしくて、愛子ちゃんを部屋にいれるのはうっかり忘れてた」

「それじゃあ意味がねえだろおおおおおおおおお!!」


俺の咆哮が部屋の中に5分程轟きわたる。


気持ちを落ち着けて話を続けよう。

「……まあ、今日のところは仕方ない。

おいテンキチ。早くこの部屋から出してくれ」

げんなりしつつも、最低限の要求を告げる。

しょせんテンキチのやる事だ。

まずこの部屋から出て、2,3発も殴れば俺の気持ちも落ち着こうと言う物だ。


「えっ、出られないよ?」

「はあ?」

「だってその部屋はセックスをしないと絶対に出られないように作ったんだから」

「セックスって。ここには一人しかいないんだが」

「でもセックスしないとその部屋からは絶対に絶対に絶対に出られないよ」

「誰とやるんだよおおおおおおおお!?」

「そんな事言われてもボクは知らないよ」

「お前が! お前があああああああああああ!!」


俺はオナニーをしたいのに大した用事も無くダラダラと会話を続けて部屋に居座る家族に対するぐらいの勢いで

ブチ切れて思いつく限りの罵詈雑言をテンキチに浴びせていた。



~5分程綺麗な映像でも見ておまちください~



ぜいぜいと息を整えながら気持ちを落ち着かせる。

怒ってもここから出られる訳では無いのだ。


「終わった? 怒鳴ったってミュートすれば良いだけなのにたかし君はアホだなあ」

イラッとする気持ちを押さえつけて、会話を続ける。

「何か、他の方法は無いのか。製作者なんだからバックドアとかそういうの」

「さっきも言ったけど、その部屋はセックスをしないと絶対に出られないんだよね」

「……いっそ部屋ごと破壊して出口をだな」

「残念でした! その部屋は核兵器の直撃を食らっても傷一つつかないように出来ているんだよね!」


オリハルコンか何かででも出来ているんだろうか。

どうやって作ったんだ。とも思うが、今は脱出の事を考えたい。


「……セックスと言うのは」

「うん?」

「セックスの判定と言うのはどうなるんだ。

例えばオナニーの事をソロセックスとか言うAV女優が昔いた気がするぞ」

「たかし君」

「なんだ」

「たかし君はバカなの? 自慰行為はセックスとは違うよ?

たかし君だって自慰行為した事あるでしょ?

でも童貞だよね?

童貞が自慰行為した事あるから童貞じゃないとか名乗ってたら単なるイキリバカでしょ?」


そりゃそうだろうさ。

そりゃそうなんだけどさ。


「……そもそもの判定はお前がやるんじゃないのか?

お前がセックス判定ボタンとか押せば簡単に部屋から出られるんじゃないのか?」


「セックス判定はボクの開発したセックス判定AIが判定するんだよ」

「そりゃすげえ」

そいつは宇宙で一番役に立たなそうなAIだ。


「例えば閉じ込められたカップルがお互いに指一本触れてなくても、AIが実質セックスと判定すれば

セックス判定は成功するんだ。

セックスだけに成功」


殺意で人を殺せたら、今の発言でテンキチは死んでいる。


「うーん。ひとつ解決策が無いでも無いよ」

「なんだ」

「ちょっと痛いんだけど」

「多少なら我慢はできるが」

「そう? まずキッチンで包丁を用意します」

「嫌な予感しかしないんだが」


「それでまず下半身の後ろ側。

まあ臀部だね。そこを(※残虐な表現)するんだ」

「おい」


「それで切り取った部位と(※卑猥な単語が検出されました)すればAIのセックス判定が成立するかもしれない」

「そこまでやって”かも”なのかよ。

ちょっと痛いぐらいで済まないぞ。死ぬぞ」

「ペニスを切り取ってケツの穴に突っ込むと言う方法も無くは無いけど。

フニャフニャの状態で挿入できるかわからないし、それで判定が成立するかどうかもわからないんだよね」

「できるかあああああああああああ!!」


だいたい、そこまでやってセックス判定が成功しなかったらどうなるんだ。

切り取り損って言うか成功しても死んだ方がマシだわ。



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