34 謁見終了。
「正式な通達は後日行う。さて、今日はもう1人紹介せねばならぬものがいる。恵梨香、こちらへ」
陛下が手招きをする。
手招きされる私へ一気に視線が集まった。
私は緊張しながら陛下のそばへいく。
「彼女は恵梨香。聖女有紗の友人だ。そして金と水の豊富な魔力を持つ魔女だ」
おお……!
さすが聖女様のご友人だ!
魔女様ですって!
豊富な魔力とは、どれ程なのでしょう。
聖女様のご友人と言うことは異世界から来られたのでしょう?さぞや素晴らしいお力をお持ちなのでは?
貴族たちの会話が聞こえる。
やめて、私はそんなすごくないから。
「陛下、恵梨香様も殿下とご婚約なさるのですか?」
貴族の1人が離れた場所から聞いた。
他の貴族たちは固唾を飲んで陛下の言葉を待った。
「いや、恵梨香は王族との婚姻はない」
「で、ではまだそういった話はないと……」
貴族たちの私を見る目付きが明らかにかわった。
ギラギラした目は獲物を見つけたように光ったように感じた。
「恵梨香にはまだそういった話はないが、エドガー侯爵の養女としようと思っている。エドガー!」
「はい、陛下」
陛下に呼ばれて貴族たちの中から1人の男性が前に出てきた。
たくましい身体の背の高い男性だ。
若そうだが、よく日に焼けた肌が年齢をより若々しく見せているように思う。
「恵梨香をそなたの娘としてもらいたいのだが、どうだ?」
そうだった。
私はこの人の娘になるのか。
私を見るエドガー卿を私も見つめ返す。
悪いひとのようには見えない。
「私は喜んでお迎えいたしますが、恵梨香様の意見を尊重したいと思います。お互い、初対面のこの場で決めろと申されても判断できるものではありません。恵梨香様。この件はゆっくり時間をかけて話をしたいと思います」
そう言って頭を下げるエドガー卿に私はとても好感を持った。
「私もエドガー侯爵様とゆっくり話がしたいと思います」
エドガー卿がニッコリと笑ったので、私も笑顔をかえした。
「よかったわね、恵梨香ちゃん!闇の魔力だけじゃなくて金の魔力も水の魔力も持ってるなんて本当に凄いわ」
隣でその様子を見ていた有紗が急に私の手を握って言った。
その瞬間、広間の空気が凍りついた。
突然の有紗の言葉を、私は止められなかった。
闇の魔力……?
聖女の友人が宵闇の巫女?
ざわつく貴族たちはさっきとは明らかに違う目で私を見ている。
宵闇の巫女はこの国では嫌われ、差別の対象となっている。
闇の魔力については黙っていようと思っていたのに。
なぜそんなことを言ったのか。
有紗を見ると、彼女は嬉しそうによかったねと繰り返す。
この空気が見えていないのか。
「せ、聖女様のご友人が宵闇の巫女とはどういったことでしょう?陛下、ご説明を!」
「エドガー侯爵様の養女になるのが宵闇の巫女とは……。エドガー侯爵様、お考え直しになった方が……」
貴族たちはまた口々に騒ぎだした。
有紗はキョトンとした顔をしている。
何をそんなに騒いでいるのか?と言いたそうな顔だ。
貴族たちはこちらに詰め寄ってきそうなくらい興奮しているように見えた。
私の足元にカルラが身を寄せる。
貴族たちを睨み付けれ低く唸りだした。
それを見た陛下は大きな声を出した。
「静まれぇ!……恵梨香の闇の魔力は極々少ない。ほぼないようなものだ。だが、闇の魔力がほんの少しあるのも事実だ。しかし、それだけのために、豊富な魔力を私は手離すつもりはない。恵梨香はヴァンクリール国王、デオドラが認めた希代の魔女だ。文句があるか?」
陛下の言葉に、誰も意見はなかった。
「分かればいい。ではこれで謁見は終了とする。皆、帰って良いぞ」
魔女と言うことで押しきりました!
ブクマ、評価ありがとうございます




